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第170話 天才 天童 進 VS 天才 スターリン-キル ~最終局面②~


~クロヴィス城 城内~

 

 「キャハハハハハハハハ!!!」

 

 キルはその両手に持つ大鎌で何度も何度もオレの身体を切り裂きながら、笑い声をあげる。

 

 オレは、身体強化と白魔法による強化補助、治療を行うことで身体へのダメージを最小限に抑えていた。

 

 「そんな無駄なことがいつまでも、持つわけないのッ!」

 キルのその表情はまた元の無表情に戻っていた。というよりも先ほど、見えたキルの満面の笑みはどうやらオレの見間違いだったようだ。そう見えるほど、彼女は嬉しそうな声を上げていたのだ。

 

 「貴様は...表情がないのか...いや...表情を失ったが正しいのか...」

 オレはキルに斬りつけられながら、そうポツリと呟いた。その言葉を聞いたキルの手がピタリと止まった。

 「いきなりなんですの...?」

 「貴方はこれから死ぬんですの...これから死ぬ貴方にはそんなこと関係ないですの!?」

 

 どうやら、ビンゴのようだな。手に組み込まれた魔導式、アレで力を得た代償として彼女は表情を失ったんだ。だから、言葉では喜んだり、悲しんだり、怒ったりすることが在っても彼女の表情は一切変わらない。まぁそのおかげで表情からの情報がなくて、次の行動が読み辛かったがな...。

 

 どうやら身体は動かなくても、発声や魔法やスキルの使用は可能なようだ。だったら、話は早い。

 

 

 「ステータスオープン...」

 オレはそう呟き、自らのステータスを確認する。

 

-----------------------------------

名前:天童進てんどうすすむ

種族:人間

性別:男

Lv.70

クラス:天命士【ユニーククラス】

残SP: 5000SP

◆状態◆

【失血多量】【プロテクト】【身体強化】

◆パラメータ◆

体力:759

筋力:802

魔力:850

物理抵抗力:799

魔力抵抗力:723

精神力:721

器用さ:612

素早さ:783

◆装備◆

武器:神聖剣セイクリッドブレード(+200)

防具:ホワイトプレート:修理済(+55)

◆アクティブスキル◆

《収納Lv.Max》《格闘術Lv.Max》《鑑定Lv.Max》《高速演算Lv.Max》《魔力制御Lv.Max》《剣技Lv.Max》《白魔法Lv.Max》《気配察知Lv.Max》《黄土魔法Lv.Max》《鷹の目Lv.Max》《身体強化Lv.Max》《錬金術Lv.9》《調合Lv.9》《聖剣技Lv.8》《魔力強化Lv.8》《聖障壁Lv.7》《料理Lv.7》《挑発Lv.7》《赤魔法Lv.5》《付与魔法Lv.5》《短剣Lv.3》《空魔法Lv.3》

◆パッシブスキル◆

《異世界語翻訳》《自動体力回復Lv.Max》《全属性耐性Lv.9》《全状態異常耐性Lv.9》《自動魔力回復Lv.5》

◆ユニークスキル◆

《超ラーニングVer2.0》

◆称号◆

異世界の天才児

信念を貫く者

-----------------------------------


 オレは天命士の習得可能なスキルをチェックする。

 

--------------------------------

★クラス:天命士★

獲得SP: 5000SP

□習得スキル


天災

・干天 -2000SP

・雨天 -2000SP

・蒼天 -2000SP

・天雷 -3000SP

・驚天動地【ロック】 -5000SP

・天変地異【ロック】 -5000SP

・???【ロック】

・???【ロック】


天法術

・韋駄天 -2000SP

・天衣無縫 -3000SP

・飛天【ロック】 -5000SP

・昇天【ロック】 -8000SP

・???【ロック】

・???【ロック】


天命

・月天子召喚 -4000SP

・十二天召喚 -4000SP

・熾天使召喚【ロック】 -10000SP

・聖天子召喚【ロック】 -10000SP

・閻魔天召喚【ロック】 -10000SP

・???【ロック】

・???【ロック】


--------------------------------

 今までのクラスとは桁違いにSPを消費するようだ。その代わり効果、威力はアドミニストレータのお墨付きって事なんだろうな。

 

 そのスキルの一覧をざっと確認すると、オレの頭の中で声が聞こえてきた。

 『天童進の体力ダウンを確認...スキルを習得しますか?』

 

 "この状況を何とかできるスキルはどれだ?"

 

 オレはシステムにそう聞き返した。

 

 『《天衣無縫》のスキルならこの状況を打破できます。スキルの効果を説明しますか?』

 

 "いらんッ!時間がない!テキストだけ表示しろッ!"

 オレはシステムにそう告げる。

 

 『かしこまりました!では3000SPを消費して、天衣無縫を習得します!』

 

 『《天法術:天衣無縫》のスキルを習得しました!』

 

 「天法術:天衣無縫!!」

 早速オレは、天衣無縫を使用した。

 

 すると、キルに斬られた傷口が忽ち元通りになっていく。さらに驚いたことにキルに斬られたハズのオレの影も元通りにオレの影として戻っていく。その異変にはキルもすぐさま気が付いた。

 

 「な、何ですの...!?私が斬ったはずの進の影が...!?」

 「行くな、ですの!!」

 

 どうやら、オレの影のコントロール権が完全にオレの戻されたようだった。慌てたキルは今のうちにと大鎌での斬りつけを何度も何度も繰り返すが、既にオレを傷つけるには至らなかった。

 

 「何で、効かないんですの...?」

 

 影が戻ったことにより、オレの身体の自由も戻った。天衣無縫の効果を改めてテキストで確認する。

 

-----------------------------------

《天法術:天衣無縫》

一定時間あらゆる切り傷を無効にする。

また、使用時から10分前に斬られた箇所全てを元に戻す。

斬撃系の攻撃にのみ有効。

打撃系の攻撃は元に戻さないので注意が必要。

-----------------------------------

 

 斬撃系の攻撃の無効、そして過去10分間で斬られた箇所を元に戻すスキルか...天衣無縫と言ったら、天女が着ていた羽衣のことで、その羽衣は一切の縫い目がなく美しいって伝説だよな。

 

 その羽衣の状態は完成されたモノで一切の切れ目などない。そこからのこの効果って訳か...まさか、物理的に斬られたわけではない影に対しても有効だとは...さすがはユニーククラスのスキルだな。とオレは少し感心してしまう。

 

 「さてと...形勢逆転だな...!スターリン-キルッ!」

 オレは動揺するキルの前で首をゴキゴキと鳴らす。

 

 「な、何を言っているですの!!」

 「私にはまだ英霊たちがいるんですの!!」

 

 「それに、リオン姫の方だって、苦戦しているですの!」

 「貴方は彼女を助けなくていいですの?姫を守るナイトさん?」

 

 キルはリオンの方を左手で指差しそう言い放つ。その瞬間オレはキルの左手を斬り落とす。

 

 「ッ――――――――!!」

 

 あまりに突然のことで、キルは言葉を失う。

 

 「な、な、何で反応できないの...!?」

 

 「さっきまで、貴方の攻撃は全て、防げていたのに...?」

 キルは切断された腕を抱えている。既に魔族特有の再生が始まっており、ブクブクと切断面から腕が生え始めていた。

 

 「さっきまでは、手を抜いていたわけではないが、貴様を斬るべき相手か見極めていたんだ...」

 「だが、オレの仲間に手を出すっていうなら、貴様を斬らねばならんッ!!」

 

 進はこれ以上、キルがリオンを傷つけるなら天童流剣術を使うつもりだった。

 

 「ハァ、ハァ...」

 

 キルの呼吸が乱れる。この時初めて彼女は、自分が戦っている相手が圧倒的に自分より格上だと感じたのだ。

 

 「貴様には、二つ選択肢をやる...!」

 

 「一つ目は、この英霊たちを今すぐ消去し、オレ達への攻撃を止めろ。そして、二階への道を通すこと...」

 オレは二階への階段を指差しそう提案した。

 

 「二つ目は何ですの...?」

 ゴクリと生唾を飲み、キルはオレに尋ねた。

 

 「―――二つ目は、貴様が攻撃を止めず、オレに塵一つ残さず、この世界から消し去られるって選択肢だッ!」

 

 「そんなことをしたら、リオン姫はどうなると思っているですの?」

 

 「リオンはああ見えてもこの世界では強い部類だ...それにオレの修行を一か月近く受けているんだ!いくら複数の英霊が相手でもすぐに死ぬことはない!!」

 「リオンが死ぬよりも貴様を殺す方が早いと断言してもいい!―――なんなら試してみるか?」

 

 オレは神聖剣セイクリッドブレードをキルに向ける。

 

 進のこの言葉は決して冗談などではない。キルはそれを直感的に感じ取っていた。進なら本当に有言実行してしまうだろう。

 

 

  "死ぬのはイヤなの...!!"

 

 キルは死への嫌悪を感じていた。こんな気持ちはあの地獄のような日々以来だ。

 モレク様やジャハンナムのみんなに会えなくなるのは本当に嫌だ。あそこは私の居場所なんだ。

 キルは心の底からそう感じていた。でももしモレク様が進にやられたなら...そう考えずにはいられなかった。

 

 「分かったの...降参なの...!降参するの!!」

 キルは大鎌を手から離し、両手を上げた。そして、手を叩き、英霊たち消し去った。


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