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第17話 マリーの決心③【マリーside】

 

 

 

 

 私は口惜しさと後悔から泣き叫んでいた。

 

 一しきり泣きつかれて座っていると、急に地鳴りが起こった。

 

 何が起きたのか―――

 

 驚き、周りを見渡す。

 

 村長さんやルイーズさん、あの少年も慌てているのが分かった。

 

 そして、村長から地龍が起きたという知らせが来て、避難することになる。

 

 何でこんなことに―――?

 

 「今日は立て続けに起こったことでもう気力が限界だった。」

 

 村長の家に来て、あの少年を探した。

 

 しかし、彼がいなかったので、村長に聞いてみた。

 

 そうしたら村長が地龍の撃退に出発したと言った。

 

 「えっ、あんな私と同じ歳くらいの少年に行かせたのですか?」

 

 「そうじゃ―――」

 「わしだって止めたが、本人がどうしてもと言って聞かなかった。」

 「それにルイーズもこの少年なら大丈夫と言うんでな―――」

 

 「もしあの二人に何かあったらどうするんですか!」

 

 私は少し興奮気味に訴えた。

 

 あの少年は私の恩人―――、それに聞きたいことだってある。

 

 「しかし、あの二人が行かずともいずれ地龍はこの村に来るかもしれん。」

 「その時また村人が死ぬかもしれない。」

 「それに食料や家に被害がでたら、冬を越すことも難しくなる。」

 

 「それはそうですが・・・。」

 

 私はまた自分の無力さで胸が痛くなった。

 

 どうかあの二人が無事に村に戻ってきますように―――

 

 私はそう信じて待つことにした。

 

 ◆◆◆

 

 半日後、ルイーズさんがあの少年を肩を貸して運んで村に戻ってきた。

 

 村の皆、もちろん私も喜んで歓迎した。

 

 あの少年は疲れ切って、気を失っていた。

 

 すぐにルイーズさんの家に運んで、布団の上に横にした。

 

 私が看病したいと村長に申し出た。

 

 私はすぐに少年の元に駆けていった。

 

 すごい安心した顔で眠っている。

 

 闘いに疲れたんだろう―――

 

 この少年は強い―――、そして誰かを助けることのできる優しさを兼ね揃えている。

 

 私はあんな風な強さに憧れ、私も誰かを助けたいと心から思った―――

 

 そして叶うことならあの少年に付いて行きたいとお願いしようか。

 

 そんな風に考えていた。

 

 目が覚めた少年にそのことをお願いしてみた。

 

 いろいろ話したが何とか熱意が伝わり、一緒に旅をしてくれることになった。

 

 ◆◆◆

 

 そうして私はこの少年...いやススムさんと一緒にリーヨンの街を目指すことになった。

 

 「お母さん。それじゃ私行ってくるよ。」

 

 「絶対強くなって、困っている人を救える人になるから!!」

 

 これからだ―――

 

 これから私は私のような悲しい犠牲者を出さないように誰かを"救える"人間になるんだ。

 

 そう心から誓い、私はロレーヌの村から旅立つ。





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