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第162話 鬼ごっこの結末


~ルルドの街~

 

 進がゲオルギを殺す、数分前ジャハンナムのヴィクトル、ベリヤは超人 唯我新に追われて街中で鬼ごっこを繰り広げていた。

 

 「ベリヤン...バルバスの位置見つけた?」

 

 「う~む中々検知が難しいでござる!」

 「普段から魔力を放出してくれていればいいのですが、我々は訓練で魔力を消すように指導されてきたでござるからな...」

 「バルバス殿もそれに忠実に従っておられるでござるッ!」

 

 

 「そっか~いや、そうだよね~!」

 「となると、短距離転移ショートワープを繰り返して、目視で見つけるしかないかな!」

 

 「ベリヤン!お願いねッ!」

 

 「もちろんでござるッ!」

 ヴィクトルはベリヤの腕にくっつきながら、短距離転移ショートワープを繰り返して、バルバスを探していた。勿論、新が全力で追いかけていることには気が付いている。

 

 「しゃらくせぇー!!」

 新の投げた石がベリヤの頬を掠った。

 

 「ひぃー!!」

 「な、なんでござるか!?今の剛速球は!?」

 突然の新の遠距離攻撃を受け、しかもただ石を投げただけなのに、その石は壁にめり込むほどの威力、完全にベリヤは追ってきている新と言う男が脅威だと認識した。

 

 「何となくだけどヴィクトル殿があの男を恐れる理由が分かったでござる...!」

 

 ベリヤが空中へと短距離転移ショートワープすると、既に目の前に大量の石つぶてが迫って来ていた。

 「くっ、空魔法:空間転移!!」

 ベリヤは目の前に魔法陣を展開し、全ての石つぶてをどこか別の時空へと移動させた。

 

 「ホントに恐ろしい男でござるな...!」

 ベリヤはヒヤリと垂れる汗を拭いながら、そう呟いた。

 

 「あっ!見て!ベリヤン!!見つけた!」

 「あそこだ!バルバスはあそこにいるッ!」

 そうヴィクトルは広場の方を指差す。バルバスと思しき長身の男が拘束具に身を包み、立っていた。

 

 「では、あそこに行き、バルバス殿を確保して、クロヴィス城に帰還するでござる!」

 

 ヴィクトルとベリヤはバルバスの近くまで短距離転移ショートワープで近づいた。

 

 「コノハ!!!!そいつらを何とか抑えろおおおぉ!!!」

 新は町全体に聞こえるほどの大声でコノハに向かって叫んだ。しかし、コノハは立ったままピクリとも反応がない。

 

 「チッ、どうしたんだコノハのヤツ!」

 「このままじゃ間に合わねぇ!」

 

 明らかにバルバスの見張りのようなリザードマンがぼぉーと突っ立っているだけなことに驚いていたのはヴィクトルとベリヤも一緒だった。

 

 「な、なんでこのリザードマン全く反応しないでござるか...?」

 答えはすぐに分かった。ゲオルギの操る催眠姉妹ヒュプノシスターが影からひょっこりと出てきたのである。

 

 「ヴィクトル様!ベリヤ様!早くバルバス様を連れて逃げてください!」

 「あと数十秒もしないうちに我がマスター、ゲオルギ様が殺されてしまいます!」

 

 「ゲオルギが!?」

 

 「はい、ですので、お二人にはバルバス様を連れ帰ってもらいたいのです!」

 「このコノハと言うリザードマンへの催眠ももう長くは持ちません!私ももう少しで動かなくなるでしょう!」

 「早くお逃げください!!」

 進に殺される間際、あの長い演説にも似た発言は何とか時間を稼ごうとするゲオルギの最後のあがきでもあったのだ。

 

 「わ、分かった!!」

 「ベリヤン!お願い!」

 ベリヤは拘束具を着けられたバルバスをそのまま左手で抱えこみ、転移の空魔法でクロヴィス城へと帰還したのである。その数秒後、ゲオルギは進によって、殺されたのである。それによって人形は魂が抜けたように動きを止め、コノハは正気を取り戻した。

 

 「クッソ!!逃がしたか!」

 遅れて、新も地面に降り立つ。

 

 「えっ、あの魔族は...!?」

 コノハは今まで見張っていたバルバスが突如として消えたことで状況を把握できずにいた。

 

 「わりーな!まんまと逃げられちまった!!」

 

 「いえ、僕の方こそ!新さんの力になれずすみません!!」

 コノハは平謝りをした。

 

 「まぁしょーがねぇーさ!!」

 「逃げられたんは、俺のせいでもあるし、コノハは気にしなくていい!」

 「それよか、これからどうするかは天童が来てから決めっから!!天童を待とーぜ!」

 そんなコノハを新は責めることなく、これからどうするかについては進の帰りを待つことにしたのであった。

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