第154話 ルルドの街③
~ルルドの街 ギルド~
「では、こちらがアラタ様のギルドカードになります!」
「ありがとなッ!猫耳のねーちゃん!!」
新は笑顔でお礼を言う。
ギルドの受付嬢から新は、ギルドカードを受け取っていた。進の提案で新もギルドで冒険者登録をしておこうということになった。ギルドで冒険者として登録さえしておけば身分証として使用することもできるし、不要なトラブルを回避できると考えたからである。ギルドではクラスチェンジも行うことができるので、新にクラスチェンジをさせるというのも目的としていた。
進と新は二人でギルドに来ていた。マリー達は街でショッピングを楽しむらしい。バルバスはコノハに見張りをさせているようだ。魔族と二人にして大丈夫かと新に言ったが、コノハにはいざとなったら大声で叫ぶように言ってあるらしい。大声で叫べば、驚異的な聴覚を持つ新には聴こえるから大丈夫とのことだ。
獣人の国だけあって受付嬢も猫の獣人である。案の定、他の冒険者を見ても人間は一人もいなかった。魔族に王権を奪われたこともあって人間はほとんど近づかないのであろう。元々クロヴィスは閉鎖的な所があり、あまり他の種族を歓迎しない節があるらしい。というのも人間と獣人でかつて戦争やら差別問題が起こったことで、今でもあまりよく思っていない獣人が大半と言うのが真実なのだろう。
「何か久しぶりだな!天童とこうして二人でいるのも!」
「中学の頃はよくつるんでたよな~!」
「お前が勝手にオレに付いてきただけだろッ!」
確かにオレはこの世界に来てから早くも2か月近く、新も3週間くらい経過していた。新の話を聞く限り元の世界とこの世界では時間の進み方が違うようだ。元の世界の3日がこちらの1か月に相当するらしい。だからこの世界で1年近く暮らしても元の世界では1か月程度しか経過しない計算である。それなら、こっちで3年間過ごしても高校生活が終わっているなんてこともないだろう。
「新、この世界のクラスって何か知っているか?」
オレは新に聞いた。新がそんなことを気にする奴ではないことはオレが一番知っているが、とりあえず聞いておかないといけないという義務感で聞いてみた。
「あぁ?俺がそんなこと知るわけねぇだろ!」
まぁそう言うと思ったけどさ、そこまであっさり言われると、頭が少し痛くなる。
「クラスに着くと、自分のステータスに補正が掛かったり、新しいスキルを習得できるから何でもいいからクラスには就いた方がいい」
「ふ~ん、よく分かんねーけど、天童が言うならちょっと見てみっか!」
こうして、新のクラスチェンジのため、クラスチェンジを行える水晶の前までギルドの受付嬢に案内をしてもらった。
「へぇ~こんな玉っころでクラスチェンジとやらが行えるってのか!」
新がどんなクラスになれるのか少し興味があったので、付き添いの意味も兼ねて、オレは新と一緒にクラスを選ぶことにした。
「なぁどのクラスがいいと思う?」
クラス候補を前に新はオレに聞いてきた。
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◆ローグ
◆ライダー
◆バイキング
◆ファーマー
◆レンジャー
◆ヒーロー
◆ルイン
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「スゴイな新...オレよりも選択肢が多いぞ...!」
「パッと見ただけだと、どれがいいとか言えないから、説明をよく見てみよう」
オレはアドバイスをし、新と共にクラスの候補の説明を見ることにした。
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◆ローグ
相手から物を盗むことを生業にするクラス
気が付くとお金が溜まっていることがある
金貨だけでなく、装備品や相手の持ち物を
盗むことができる。
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◆ライダー
ドラゴンや猛獣を乗りこなすクラス
生物に乗りながら戦うことに長けている
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◆バイキング
世界の海を又に掛ける男の中の男
船上の戦いに長けているだけでなく、
航海術も身に着けることができる
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◆ファーマー
農家。
作物を育てることに長けているクラス
種をまけば、すぐに植物が育つぞ
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◆レンジャー
様々な地形での戦いに臨機応変に
対応することが可能
高い素早さを生かした連撃が強力
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◆ヒーロー
勇気ある者がなることのできるクラス
剣や槍など多彩な武器を扱うことができる
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「見た感じどれも良さそうだな...!」
オレは素直にそう思った。と言うよりも新の《超人》と《天上天下唯我独尊》のスキルがあれば大抵の敵にはクラスに付かずとも勝利できると考えているからだ。
「ということで、新が良いと思ったクラスにすればいいさ」
オレは身も蓋もないアドバイスを新に返した。
「結局俺任せかよッ!」
「まぁいいや!自由が俺のモットー!」
「直感だッ!直感でこれがいいと思ったクラスにするぞ!!」
「てかさ、このルインってクラスの説明ヤバくねーか!?」
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◆ルイン [ユニーククラス]
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ふと、一番上のそのクラスを指差しそう言った。
ユニーククラスということは、新にしか就くことのできないクラスということになる。説明が文字化けしてる...進はそれを読み、危険な香りしかしないことを悟る。
「それ絶対にヤバいぞ...!やめておいた方がいい!」
オレは一応止めておくが、もう既に新の興味はそのクラスにしか向いていなかった。
「よっしゃ、俺はこの"ルイン"とかいうクラスになるぞ!」
新はルインというクラスに決めた。
オレが止めたところで、新がこれと決めたものを簡単にひっくり返すわけないと思っていたが、ルインか...。アドミニストレータが関わっていなければいいが。余りにもチートのような性能のクラスがポンとあるとどうしてもアドミニストレータが用意した物じゃないかと疑ってしまう。
オレもせっかくだし、クラスチェンジを行うことにした。と言っても何になるかはもう決めている。今までずっと敬遠していた天命士というユニーククラスだ。
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◆天命士 [ユニーククラス]
神よりの啓示を受けることができるクラス。
神の力の一部を授かることができる。
主に殲滅系のスキルを習得できる。
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説明からして、危険な匂いがする。ユニーククラスの説明はどれもこんな物騒な説明しかないのかとオレは心の中でツッコんだ。
しかし、これから六魔将クラスの敵と戦うとなるとどうしても力が必要になる。そう考えたオレはついにこのクラスになることを決めた。




