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第137話 天才 天童 進 VS 超人 唯我 新①


~ルーガルの村 村長宅~


 「で、現状について整理しようか!!」

 村長の家の一回にオレ達は集合していた。メンツはオレ、天童進、マリー、フラムさん、リオン、新、コノハというリザードマン、クロヴィス王国ジェネラルのトーマ、新にボコボコにされた魔族バルバスとこんな感じのメンツがテーブルを介して並んで座っていた。新だけは一歩下がって壁にもたれ掛かって話をするようだ。

 

 「まずは、新の方から話を聞かせてくれ!」

 「なんでこの世界にいる?お前はエレベータに乗って来たんだよな?」

 オレは真面目な面持ちで新に尋ねた。

 

 「ああ!そうだ!俺はエレベータに乗ってこの世界に来た!」

 「お前が天童グループで謎の組織とバトルって聞いたから、助けに来たのに気が付いたらこの世界にいたってわけだ!」

 

 「ちょっと待て!オレが天童グループでバトってるって誰から聞いたんだ!?」

 全く身に覚えがない話についオレはツッコんだ。

 

 「誰って...そりゃ朝霧ちゃんだよ!」

 新はキョトンとした表情で答えた。

 

 「朝霧...だと!?」

 

 どうやら、オレと新の認識には少しズレがあるらしく、嘘の設定を新に教え込んだのはオレが地球にいた時に入っていたオカルト研究部――――そこで同じ部員だった朝霧鏡花らしい。

 何故、新にそんなウソを教えたのか...というよりも奴はこの世界にくる方法を知っていた。そうなると、奴はアドミニストレータと繋がっている可能性が出てくる。

 

 「新、お前エレベータに乗った時に不気味な女に出会わなかったか?」

 

 「ん?ああ出会ったぞ!でもあれはやべーぞ!とんでもないくらいのプレッシャーを放ってきやがった!」 

 「あんな女初めて出会ったね!」

 

 「アイツに出会ったってことはもらったんだろ?」

 「何らかのスキルを?」

 アドミニストレータはこの世界にオレ達を送り出すときに何かしらのスキルを渡すはず、そうしなければこの世界で何かを成すには力不足だからだ。あの女が送り出したやつを早々に見殺しにするとはどうしても思えない。奴はおもちゃが育ち切った後にじっくりと痛ぶって殺すのが趣味のような女だ。

 だから、新も何かしらのスキルをアイツから貰っているはずなんだ。

 

 

 「スキルだぁ?何だよそりゃ?」

 

 新のこの発言でオレは背筋が凍った。この男まさか、この世界で一回もスキルというものを自覚、認識していなかったというのか...オレは新と仲良さげに話をしていたコノハとかいうリザードマンの方を見た。すると、コノハはオレとは目線をずらす様な動作をしてきた。

 

  "この男マジだ!!"

 

 オレは改めて新の危機感の無さ、現状把握をしようとしない、自由さを思い知らされた。そういえばこの男はこういう性格をしていたんだった。オレは急に頭痛を覚え頭を抱えた。

 

 「おい!どうした天童!体調でも悪いのか!?」

 新は能天気にオレに尋ねてきた。

 

 「いや、大丈夫だ!ちょっと眩暈がしただけだ...」

 

 「おいおい、本当に大丈夫かよ!体調がワリィときは早く眠るに限るぞ!!」

 

 「新、ちょっと"ステータスオープン"って言ってみろ!」

 とオレがそう言うと新は"ステータスオープン"と唱えた。すると新の目の前にステータス画面が開かれた。 

 「うぉっと!何だよコレ!?」

 「俺のステータス...?はぁゲームかよ~!」

 

 マジか、ここに来る前にアドミニストレータは"ステータスオープン"について何かしら言っていたはずなのに、新はここに来て初めて自分のステータスを見たってことか...オレはこの時ばかりはアドミニストレータに同情してしまった。

 

 それから、オレは新がこの世界に来てからについての話を聞いて、ドラコミシアの王女ジルダがクロヴィスにいる魔族に捕まってしまったので助けに向かう途中という話を聞いた。リオンは酷く驚いていた。自分と同じ世界五大美女と評される彼女が魔族に囚われてしまったことについて何か思うところがあるみたいだ。

 

 次に、オレはトーマさんからクロヴィスを襲ったとかいう魔族モレクやエレナのことを聞いた。

 恐らく、兵士や王族は誰も殺されてはおらず、地下に幽閉されているのではとのことだった。

 

 オレは代わりに新たちにオレがこの世界に来てからのことを話した。マリーとの出会いのこと、魔坑道でのサンドルとの戦いのこと、神殿騎士ガリアとの戦いのことについてだ。

 

 「おいおい、天童...お前大分楽しそうなことやってたんじゃねーか!!」

 新がずいぶん興奮したように言ってきた。

 

 「楽しくはないだろ...!こっちは命がけで闘っていたんだ!」

 

 「い~や、天童!お前は楽しかったハズだ!なんせお前は俺と同じ戦いを好むタイプの人間だからな!」

 

 ずいぶんと勝手なことを思っていたんだなとオレは感じたが、これ以上言いあっていても仕方ないので、これからについての話を進めた。

 

 「――――というわけで、オレが六魔将モレクを倒す。何か異論はあるか...?」

 

 「お前のような者がモレク様を倒せるわけないww」

 新の連れてきた魔族がまた煩いことを言い出した。

 

 「新ちょっと黙らせてくれ!」

 

 「あいよ!」

 「おい!今天童が話してんだろ!茶々だすんじゃねーよ!!」

 

 「すみません!すみません!すみません!」

 何と美しいフォームの土下座なのだろうか...!いやホントに新に酷い目に遭わされたんだろうなっていうことが想像に難くなかった。

 

 「ああ、でも天童!俺からも一ついいか...?」

 

 「ん?どうした新?」

 

 「なんでテメェがモレクをやる予定なんだ!?」

 「俺だってジルダちゃんを連れ去った頭やる権利はあるんじゃねーのか?」

 

 「そりゃオレの目的は"王権"だからな...お前はジルダ王女を助ける役割があるだろ?」

 

 「いやそんなことはカンケーねぇよ!」

 「天童!お前まだ自分の方が上だと思っているんじゃねーのか?」

 新はオレを睨みながらそう言った。

 

 「新...だったら久しぶりにヤルか?」

 オレはニヤリとした不敵な笑みを浮かべ答えた。

 

 「そうだな...俺達が分かり合うにはそれっきゃねーよな!!」

 

 「だったら、場所を変えよう...!」

 「オレ達の闘いをするには狭すぎる!」

 そうオレが提案した。

 

 「ああ!いいぜ、もっと広い...そうだなこの近くの人気のない荒野にでも行こーぜ!」

 

 こうしてオレと新の約2年ぶりの闘いが始まるのだった。

 

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