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第127話 超人 唯我 新はジルダを救いにクロヴィスを目指す②【唯我 新side】


~クロヴィス城 応接室~


 「実は、バルバスのことなんだが...ドラコミシアの奴らに捕まってしまった...」

 メルクロフが重々しい表情をしながら他の"ジャハンナム"のメンバーの前で発表した。

 

 「う、嘘だよね...?」

 一番動揺したのは、モロトルフだった。

 

 「そのことについて、既にモレク様には報告してきての!」

 キルは補足するように皆に説明し出した。

 

 「―――ってことがあって、モレク様は大変悲しんでいたの!」

 「それで、この決着は私達"ジャハンナム"で着けようってモロトルフと話していたの!」

 

 「つまり、ジルダ王女の王権を抜いた後にバルバスと交換を持ち掛けるってことでござるか?」

 ベリヤは先ほどまでと打って変わって真面目な表情で会議に参加する。

 

 「ただ、あの人間恐ろしく強かったんだ!多分ボクらと同じくらいに...」

 

 「でもこっちは私を含めて5人いるの!」

 

 「キルちゃん...あの人間は何をするかまるで分からないんだ...!」

 ヴィクトルは何か恐ろしいものを思い出したかのように語る。

 

 「アッ!!」

 その時、突然ヴィクトルは何か思いだしたかのように大きな声を出す。

 

 「どうした、ヴィクトル...?」

 突然の大声に反応を示すメルクロフだった。

 

 「ね、ねぇあの人間何するか分からないじゃん...」

 

 「確かに常軌を逸している行動が多かったな...奴の能力を含め」

 

 「ってことはさ...ボク大量の兵士を殺したじゃん?アイツ怒ってバルバス殺したりしないかな...!」

 

 「・・・・・・・」

 一同に沈黙が走る。

 

 「おい!ヴィクトル!分身はまだ近くにいるか!!」

 メルクロフは慌てて、ドラコミシアの街の中に配置したヴィクトルの分身体の有無を問う。

 

 「うん!大丈夫まだこっちの感覚は共有しているよ!」

 

 「よし!今すぐ誰でもいい!ドラコミシアの奴らとコンタクトを取るのだ!」

 

 ヴィクトルの分身体は1000kmまでの展開が可能であり、そこで得られる感覚情報を共有することができるという大変優れた能力なのである。偵察に暗殺など、用途は多岐に渡る―――そんな能力を使い、メルクロフはすぐにドラコミシアの連中にコンタクトを取るように命じたのである。もちろん、バルバスの命の保証とジルダの命の保証を取引材料として。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 ~ドラコミシア王国 中心街~

 

 街の中は魔族の襲撃で家々や施設は破壊され、大量のけが人や病人が街中に溢れていた。まるで野戦病院の中のような状態だった。

 

 新にやられ全身の骨を砕かれ、全身から大量の出血をしている男がいた。鉛魔法の使い手、バルバス=ニコラスである。ドラコミシアの兵士数十人に拘束され監視をされ街の中心街に倒れていた。しかし、上位魔族であるため、既に自然治癒が働き、多少喋ることができるまで回復していた。

 

 

 「お~い!!俺にボコボコにされた奴おる~?」

 新が意気揚々と走ってきた。

 

 「アッ!新さんだ!!」

 「新さんが来たってことは他の2人の魔族は倒しちゃったってことですか!?」

 

 兵士の一人が新に尋ねた。

 

 「いや、ワリィ!ジルダは攫われてしまった!」

 

 「そうですか...」

 

 兵士たちは全員、新の言葉を聞いて、ドンヨリと落ち込んでしまった。

 

 「でも、安心しろ!俺が必ず助けてきてやるからよ!」

 「それで、そのためには...」

 

 新が倒れて動けないでいたバルバスに近づく。

 

 「おい!!起きろ、クソ野郎!」

 「テメェらの仲間がジルダを攫った!何か知ってんだろ!教えやがれ!」

 今にも殺しに掛かりそうな鬼気迫る表情でバルバスの胸ぐらを掴み、恫喝する。

 

 「ヒイィィィ!!も、も、もうやめてくれ...」

 「もう殴らないでくれぇぇ!!!!!」

 

 バルバスは既に戦意が喪失しており、新に対して完全に怯え切っていた。バルバスの顔は既に腫れあがって、元の顔の原型はなく、大量の唾液と鼻水がダラダラと顔を流れていた。

 

 「うるせぇ!」

 そんなバルバスを新は容赦なく殴る。

 

 「グへェ!!」

 

 

 「おい、言わねーならこのままテメェを殺す!」

 新は右の拳をバルバスの目の前に見せる。

 

 「お、俺はまだ死にたくない...!」

 

 「もう貴方に逆らいません!誰も傷つけませんだから、許してください!」

 

 バルバスの目から大量の涙を流し、新に命乞いをする。

 

 「あぁ?男ならよぉ、最後まで自分を貫けよ!!」

 「ワリィ奴は最後まで悪でいろよ!死にそうになったからってそうやって今までのことを許しを乞うなんてダセーよあんた...!」

 

 「そいつを殺すの止めてもらおう!!」

 その時だった、新の近くに一匹のスライムが現れた。

 

 「あぁ?今度はなんだよお!?」

 

 「ボクだ!ヴィクトルだ!!」

 

 「ヴィクトル?さっきの奴か...」

 「で、何の用だよ」

 

 「そいつは我々の大事な仲間だ!だから返してもらおう!」

 「こちらにはジルダ王女いるんだよ!」

 

 「へぇ...ってことはなんだ、人質交換でもしようってことか!」

 新がそのスライムに言った。

 

 「話が早いね!まぁそういうこと!」

 

 「我々はクロヴィス王国にいる!ジルダ王女を返して欲しければ、そいつを連れてこい!もちろん生きた状態でだ!」

 

 「テメェら、魔族のくせに仲間とか...へっ!気に入ったぜ!」

 「いいだろう!俺はこいつを殺さねぇ!そして俺がテメェらの元にこいつを連れていくぜ!」

 「そこで決着着けようや!!」

 

 新はそう言い、ニヤリとした表情でヴィクトルの交渉に応じる。交渉に応じると同時にそのスライムは溶けだし、ただの水と化してしまった。

 

 

 

 「新さーーん!!ひどいですよ~!!」

 遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。ここに来る途中に置いてきたコノハだった。コノハは新が倒したコカトリスの死体を引きずりながら、ここまで来たのであった。

 

 「ありゃコノハか!」

 「いっけね忘れてたぜ!!」

 

 「ワリィワリィオメェのこと忘れてたぜ!!」

 

 「もう!新さん酷いっすよ!」

 

 「今日はそいつ食べて、明日にはクロヴィス王国を目指す!!」

 

 こうして、新はジルダ王女を救うためクロヴィス王国を目指すこととなった。

 

 

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