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第120話 エレベーターに乗ったら異世界に来て喧嘩に巻き込まれた件⑦【唯我 新side】


~ドラコミシア王国~

 

 「この中でテメェが一番強そうだな!」

 「さぁ俺と喧嘩しようぜ!!」

 新は、目の前のバルバスにそう言い放つ。

 

 「人間だぁ?」

 「なんで、人間がここにいるんだ??」

 バルバスはここがリザードマンの国なのに人間がいることを不思議に思う。

 

 「ごちゃごちゃうるせぇ!!」

 「やんのかやらねーのか!ハッキリしな!」

 「まぁテメェが怖気づいても俺はテメェをやるがな!!」

 新はバルバスを恫喝する。

 

 「あぁ人間風情が魔族に向かってなんて口の利き方だ!?」

 「お前はママに魔族の恐ろしさを教えてもらわなかったのかww」

 バルバスは完全に新を舐め切っていた。しかし、その油断が後に仇となることをこの時まだバルバスは夢にも思わなかった。

 

 「貴様程度、下級悪魔たちで充分だ!」

 「行け!!悪魔ども!!」

 バルバスの命令に従うように、悪魔たち数十体は一斉に新に襲い掛かった。

 

 新は目にも止まらぬスピードで、悪魔たちを拳を放っていった。殴られた悪魔たちのほとんどが一発で沈み、再び立ち上がってくることはなかった。

 

 「なっ!人間の癖に貴様やるな...!!」

 バルバスは新の余りの強さに動揺していた。

 

 「新さんだ!!」

 「やった!!新さんが来てくれた!!これで、魔族たちを追い払える!!」

 周りのドラコミシアの兵士たちの新に気が付いたようで、歓喜の声を上げていた。

 

 「おいデカブツ!舐めてんのか!?こんな雑魚じゃ話にならねぇ!」

 「テメェ自ら掛かって来いよ!!」

 新がバルバスを挑発する。

 

 「デカブツだとぉぉ~!!思い上がりやがって!!」

 バルバスには鑑定や魔眼のスキルを持っていないため、新のユニークスキルの存在、新のレベルが1であることについては分からなかった。

 

 「そんなに死にたいなら、貴様にこれでもくれてやる!」

 「鉛魔法:鉛の雨リードレイン!」

 バルバスは上空に魔方陣を展開し、そこから拳銃と同じスピードで大量の鉛弾が降ってきた。

 

 「何だこりゃ!?」

 そう言いつつ、新は両手を前に構え、その大量の鉛弾をガードした。ガードしているとは言え、鉛弾のスピードは速く、当たれば当たる程、新の身体は傷つけられてゆく。

 

 「ハッハッハッハ!!」

 「どうだ、俺の鉛弾の味は?痛かろう!!」

 

 「ケッ!大して痛かねーよ!!」

 「何発こんな物撃とうが関係ねー!!」

 「俺の命には永遠に届かねーよ!!」

 新はまだまだ余裕の表情を見せた。それに対して、バルバスは気に入らなかったようで、さらに攻撃を激しくしていく。

 

 「チッ!ならコイツはどうだ!!」

 「鉛魔法:鉛の嵐リードストーム!!」

 バルバスの上空に存在する魔方陣はさらに拡大し、鉛弾の勢いもさらに増す。

 

 上空から降り注ぐ、鉛弾の降り注ぐ対象は新だけに留まらず、周りのドラコミシアの兵士、さらに魔王軍の下級悪魔たちにまで及んだ。

 

 「ぎゃああああ!!」

 周りの兵士達や悪魔たちから苦しみの声が聞こえる。

 

 「おい!これは俺とテメェの喧嘩だろーが!他の奴らまで巻き込むんじゃねー!!」

 「あとよ、あの悪魔みてーな奴らはテメェの仲間じゃねーのか!!」

 新は自分たちの仲間がバルバスの魔法に巻き込まれたこと、バルバスと同じ仲間であるはずの悪魔たちまで攻撃対象にしていることに怒りを感じていた。

 

 「俺以外の雑魚がどんなに苦しもうがカンケ―ないねww」

 「貴様も人の心配するより自分の心配をした方がいいんじゃないかww」

 バルバスは両手を広げ、余裕の表情を見せる。

 

 「キレたぜ!頭キタ!!」

 そう言い、新は両手のガードを解除した。鉛弾の嵐は容赦なく、新の全身を貫くが、しかし新は全く怯むことなく、バルバスの元目掛けて突っ走る。

 

 「馬鹿め!!自らガードを解くとは!!」

 「鉛魔法:鉛の箱リードキューブ!!」

 バルバスの右手から魔方陣が展開され、そこから1立方メートルの鉛の四角い立方体が構築された。

 

 「死ね!!」

 バルバスの右手からその鉛の立方体が放たれた。

 「この鉛の立方体はとてつもなく重いぜ!!それにこのスピード!!押し潰されればどんな生き物でも圧死すること間違いなしだww」

 

 鉛の比重は11.34である。これは鉄の比重より重く、鉄の比重は7.85である。つまり1立方メートルの鉛の重さはなんと11.34tにも及ぶ。車の重さが1~1.5tとすると、この鉛の立方体は車8~11台分に相当する。

 

 新はその向かい来る鉛の立方体に対して、拳をぶつける。

 「どりゃあああああああ!!!!」

 

 「馬鹿かwwアイツww」

 「鉛の塊に拳で敵うはずがないだろww」

 

 しかし、バルバスの予想と結果は違っていた。新の拳は鉛の塊を停止し、さらにはるか彼方へと吹き飛ばしてしまったのだ。

 

 「なっ!そんな馬鹿な...!!」

 

 「やっとテメェのニヤケ面が凍ったみてぇだな!」

 新はニヤリとした笑みをバルバスへと向ける。

 

 鉛はその比重が鉄より重い反面柔らかいという性質を持つ。しかしだからと言って、その衝撃をまともな人間が喰らったらタダでは済まない。これは"超人"と呼ばれた唯我新だからこその芸当である。

 

 「テメェとは気合の入り方がちげーんだよ!!」

 新は動揺しているバルバスの懐に飛び込んだ。右手をポキポキと鳴らし、力を込める。

 

 「どっせーいいいいい!!!!」

 

 「ウグッ!!」

 バルバスはとてつもない一撃によって吹き飛んだ。建物を何個も貫通した。

 

 (なんだこの力は本当に人間か...?人間は貧弱な存在で、我々魔族はそんな人間よりも上位の存在のハズ!)

 

 バルバスは新の一撃で吹き飛ばされて、崩れた瓦礫の中から立ち上がろうとするが、ダメージから足が痙攣しており、上手く立ち上がることができないでいた。

 

 

 そんなバルバスなどお構いなしのように新はどんどん近づいてくる。そして、バルバスが立ち上がる前にそのバルバスのすぐ目の前に新は現れた。

 

 「よぉ大分お疲れみたいだな!!」

 新はバルバスに対して嫌味を言う。既に新の身体はバルバスの魔法鉛の嵐リードストームによるダメージが完治していた。血の流れはピタリと止まり、傷跡は塞がっていた。それを見てバルバスは確信した。この男は人間の皮を被った化け物だと。

 

 「やった!新さんの勝利だ!」

 「魔王軍に一矢報いたんだ!!」

 「やったあああ!!」

 周りの兵士達も浮かれたように喜んだ。しかしその時、一人の兵士がバタリと倒れた。それに続くようにまた一人、また一人と突然兵士や街の住人が倒れた。

 

 「なんだ...!?オメェら大丈夫か?」

 新は突然のことで動揺を隠せなかった。

 

 「は、ハハハ!アーハハハハ!!!」

 「やっと効いたか!テメェらの身体は今"毒"が身体を蝕んでんだよ!!」

 「知らないみたいだから教えてやるww」

 「鉛にはなぁ"毒性"があるんだよ!!一度にあんなに大量の鉛が身体に入ったらそりゃ体は鉛中毒を引き起こす!!」

 「悔しいだろぉww」

 

 バルバスの高笑いが新の耳に伝わる。その時、新の中でプツリと何かがキレた。

 

 

 新の両手から蒸気が漏れた。

 

 「テメェには後悔する暇さえ与えねぇ!」

 

 「な、何をする気だ!!やめろ!!」

 バルバスの全身は震えていた。先ほどのダメージによるものではなく、目の前の新から漏れ出す脅威、威圧、圧倒的な恐怖によるものだった。

 

 「オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!」

 

 「オラァァ!!!!」

 新の両手の拳によるラッシュがバルバスの全身を捉える。バルバスの全身の骨は砕け散り、悲鳴を上げる暇さえ与えず、全長2mを超える巨体のバルバスを上空数十メートルまで舞い上げた。

 

 「百発だ!百発テメェに叩きこんでやった!」

 「また俺に挑戦する気があるならまた来な!!今度は他に誰もいないとこで喧嘩しよーや!」

 

 (あ...あ、コワい...!人間、あの男...コワい!!!)

 バルバスの脳内は新に対する恐怖で支配されていた。

 

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