表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/77

交錯する運命

 依入は朝から落ち着かなかった。

 何しろスーツなんて就職活動の以来だ。いつも着ていないから、きちんと着こなしているかさえ不安になる。これから毎日スーツだと思うとなんとなく、やっと社会人になれたような。そんなうれしい気がしていた。

 依入は朝食を済ませると、そのまま母親に声を掛けた。

「お母さん、じゃ、行ってくるね。帰ってきたら、学校の話、いっぱいするから」

「そうね。頑張ってらっしゃい」

 まるで学生のころに戻ったようだ。

「ふふ、いってきます」

 依入は玄関から駆けていった。子供の時から同じ風景。依子は依入を見送ると、娘が独り立ちしたことに喜びを感じて安堵(あんど)した。


 北高。

 勝田(かつた)が一身上の都合で教師を辞め、新任教師が来るまでの一週間の間、二年八組には担任教師がいないという事態が続いていた。高校の授業は専門の先生が行うので、さしあたっての問題は朝と夕方のホームルームのみ。教員同士の約束では前回の職員会議の時に、予定が空いている先生が出るということになっていた。

 実際には受け持ちのクラスのホームルームが終わったあとで三崎が出ることが多かった。と言うのも、あの職員会議以来、担任を持つ教師は、できるだけ自分のクラスのホームルームを長く行うことが多くなってしまったからだ。先生方は時々窓際をちらちらと見て、二年八組の生徒が廊下で遊んでるか遊んでいないかを確認したりしていた。

 もし、彼らがまだ遊んでいたら、職員室に戻るとホームルームに出るように、教頭に頼まれてしまう。すでに教室に入っていれば、誰かがホームルームをやり始めたということになる。


 午後。

 依入は朝からの説明で頭の中がぱんぱんになっていた。

 覚えなくてはならないことが次から次へと出てくるからだ。面接の時に話した谷口教頭先生が、かいつまんで教えてくれているものの、まだまだありそうだ。

 それにまだ、自分の受け持つ生徒と会っていないのだ。

 依入が職員室の自分の机で、配布された書類に目を通しつつ、整理していたとき、唐突に谷口先生が声を掛けてきた。

「さて、藤木先生。じゃあ行きますか」

 午後の、ホームルームだ。

「あ、はい」

 うぅぅ。緊張をするぅ

 依入は子供の時にやったピアノの発表会の前の日を思い出して、変わらない自分に少しだけ呆れた。

「さっきもお話ししたとおり、先生の受け持ちは二年八組になりますから。ホームルームのやり方は後で説明しますけど、とりあえず見本ということで要領だけでも押さえてください。今日はとりあえず紹介ということで」

 依入と歩きながら、谷口教頭が説明していた。

「あ、はい」

 返事はする。

 生徒達がちらちらとこちらを見て、こそこそとうわさ話をしているのがわかると、何となく落ち着かなくなって上の空になってしまう。

 先生ってこんな気分だったんだ……

 依入はそんなこと考えながら、谷口に連れられて教室に入った。


 快里(かいり)は、いつも通り窓際の席で、中庭をぼうっと眺めながら考えていた。考えが巧くまとまらず、頭に浮かんでは消えていく。いつもと違って、どういうわけか、考えがストレートに着地しない。その理由がわからないので、少しだけイライラしていた。

 金曜日の午後のホームルーム。

 来週には期末テストが控えているとはいえ、二年だからまだ受験まで余裕がある時期だ。だから何割かの生徒は土日に何をして遊ぼうかと友達と画策をしていた。

 朝のホームルームでは教頭の谷口が来て、新しい担任を夕方のホームルームの時に連れてくると伝えていた。生徒達のあいだでは「次はどんな先生がくるのか」が、ちょっとした()け事になっていた。若い女性の先生とのこと。男子生徒には、否が応でも期待が先走っていた。

 廊下側の席の生徒が、廊下の職員室側を気にしはじめたころ、偵察役の男子生徒達が一斉に教室に走って戻ってきた。教室の一角に溜まっていた男子生徒達に伝令する。それを聞きつけた男子生徒達がわっと盛り上がったと思うと、次の瞬間には、ちりぢりになって席に散っていった。

 教室の前の席の方では学級委員のメイが、隣の女子との会話に花を咲かせていたが、ドアの向こうに谷口の人影を見かけると、急に姿勢を正して前を向いた。それが合図かのように、うろついていた周りの生徒が一斉に席に戻る。


 そこには、長い髪の女性が、教頭、谷口の後に続いて、緊張した面持(おもも)ちで入ってきていた。

 快里は視点を窓の外から動かし、興味がなさそうに彼女の方をちらっとみて、再び窓の外を見たが、また振り向いて新人教師を凝視することになった。

 彼女だ。

 なるほど、そういうことか。

 快里はそう思いながら、ホームルームの号令を待った。

「はい」

 意味のない合図のように、低い声で谷口が学級委員に(うなが)す。

「起立」—「礼」—「着席」

 メイが小柄ながらに()りのある声を出す。元気の良さが、メイの良いところだ。

 谷口は全員が座ったことを確認するのを待たずに口を開いた。

「ええと、彼女が新しくこのクラスの担任になる、藤木先生です」

 すでに生徒の視線が集まっていたために緊張をしていた依入だが、教頭に紹介されたとき、それはピークに達した。緊張して口が渇き、手の平が汗ばむ。まるで胸の動きが分かってしまうほどに、鼓動が大きく速くなった。彼女は、それがまた余計に恥ずかしく、気にはなったが、とにかく喋らなくちゃと自分を励ましていた。

「藤木依入(えいり)です。初めてクラスを受け持つので、至らない点があるかもしれませんが、よろしくお願いします」

 依入は笑顔で挨拶をした。笑顔になることで、緊張も少しほぐれてきて、胸がすっと楽になるような気がしていた。

「ええと。藤木先生は新任なので、私がところどころサポートをしていくことになるかと思います。みなさん、特別、問題は無いと思いますが、あるとしたら……」

 谷口は探すように周りを見まわすと、快里を見つけてこういった。

「本間、若い先生なんだからお手柔らかにな」

 気がつくと、快里は依入の方を凝視していた。

 つい先日行ったコーヒースタンドで店員をしてた人だ。髪を下げているが間違いないだろう。

 快里はそう思ったが、余計な詮索をされるのも面白くないので、普通に挨拶をした。

「先生、よろしくおねがいします」

「あっ……!よろしくね、本間君」

 依入も、快里の顔を見て、何かに気がついたようだった。ただ、快里の様子があまりになにも変わらないので、気がつかないのだと思っていたのだが……。

 谷口は鼻でふぅっと息を吐きながら快里の方を見た。見るからに快里を邪魔者扱いするような雰囲気だ。そして再び全員の方を見た。

「ええと、このクラスの学級委員は……」

 ちらっと名簿を見る。

「佐々木さんですね」

「はい。佐々木生芽衣(いめい)です。よろしく」

 生芽衣(いめい)は手を机について気良く立ち上がって答えた。若干、緊張したせいかトーンの高い声だ。

「よろしく。佐々木さん」

「えぇと」

 谷口は何かを確認するように再び名簿をみた。

「彼女は佐々木稲委(いねい)さんと双子なので、見分けづらいと思いますが……。学級委員のほうが生芽衣(いめい)さん、お姉さんの方は稲委(いねい)さんですね」

 予備知識をわざわざつけていたかのように、谷口は名簿だけを見ながら話をした。

 メイは自分たちのことを『見分けづらい』と言った谷口を不満げに見ていた。

 彼女としては姉であるネイと同じように見られるのが嫌らしい。

 確かに外見も違うように努めている。ネイは髪を下ろしているが、メイは眼鏡を掛けているし、ツインテールだ。双子であることはすぐに分かるが、違いは誰が見てもわかる。谷口は配慮も何も考えないで言ったのだろう。

 快里は、こういう考えてるふりをして、何も考えていない大人が大嫌いだった。そんなことを考えながら、ちらりとメイの顔色を確認して、新しく入った担任の方を眺めた。いつのまにか、落ち着かないようないらいらした感じは収まっていた。

「じゃ、あなたが佐々木……」

生芽衣(いめい)です。ササキだけだと姉と(まぎ)らわしいので「メイ」って呼んで下さい」

 メイは姉を紹介しようと思ったのか、姉の方をちらっとみたあと、快里の方を振り向いた。

「それから、実質、学級委員の本間(ほんま)君です。彼は実質、生徒会長もやっています」

「……実質ってなんだよ」

 快里は突然、生芽衣(いめい)に紹介されて思わず反応してしまったが、落ち着いた様子で依入に会釈した。

「よろしく。実質ってどういうことなのかな?」

「とくに何もしてないんですけどね。なぜか、実質……なんだそうですよ」

 快里は(あき)れた雰囲気がでないように、淡々と振る舞った。

「だって大抵のことは、彼が決断してるんですよ。生徒会でも相談役、学級会でも相談役。決めているのはいつも彼。だから実質、学級委員だし実質生徒会長なんです。本当の学級委員である私の仕事はいつも雑用」

 笑いながら言う。

「なんか変わってるのね。どうして本間君は、自分で生徒会長とか、学級委員とかやらないの?」

 ストレートだが、そう思うのも無理はないだろうなぁと感じながら、快里は答えた。

「やりたいわけじゃないんですよ。体力がないんで、本当は何もやりたくはないんですけど」

 快里は笑顔を作りながらそういった。

「あんまり高校生らしくないこと言うのね。ダメよ、そういうことを言ってちゃ」

「先生。本間君、生まれつき心臓が弱いから……」

 依入は失言してしまったと思って『はっ』と息を飲んだ。残念ながら収まったばかりの心臓が、また元気になってしまっていた。依入は他の人よりも心臓が大きいらしく、どきどきすると胸の動きが目立つことが多い。

「ごめんなさい。あんまり不用意こと……言わない方がいいわね」

 依入は、年下の高校生に怒られて、思わずしゅんとなってしまっていた。

 快里はそう言いながら沈み込んだ若い先生を見ながら、ちょっとだけ胸の奥が痛い感じがした。

「いえいえ、初めてお会いしたんですから。運動したり厳しい仕事とかをしなければ大丈夫なんですよ。それから、一月に一度は検診に行かないとならないので、その日は午後のホームルームは欠席させてください。先生」

 依入は、そう優しく言われ、思わず舞い上がってしまいそうだった。

 先生……。依入にとって夢にまで見た『先生』。依入はうれしくて顔がはにかんでしまいそうになるのを必死に押さえていた。

「あとぉ。私の姉の稲委(いねい)です。ネイって呼んであげてね」

 ちょっとそっけなくいう。メイはどうやら、身内を紹介するのが何となく照れくさいらしい。

「え、え、なんで私?あ、あ、あの、稲委(いねい)です。はじめまして」

 ネイはいきなり自分を紹介されたので少々びっくりしたが、落ち着くように努めて先生の顔を見た。何となくなにかを思いついて口を開く。

「先生、あれ……えっと……どっかで……」

 稲委(いねい)が言いかけたところで、生芽衣(いめい)が遮るように割り込む。

「顔は似てますが……、妹のアタシは眼鏡をしてるし、髪の毛も縛っているのでわかると思います」

 のんびり屋の姉に活発な妹。幼い時は性格もあまり変わらなかったような気がするが、この姉妹は、いつのころかこのパターンが定着していた。

 メイはそう笑いながら言った後、じとっとした目で谷口の方を睨んだ。

「眼鏡はダテだけどな」

 窓の外を見ながら、ぼそっと快里が呟いた。

「ダテのなにが悪いのよ!いいじゃん。ダテだって」

「別にいいけど」

「もう……!あ、そうそう。話を戻すとぉ。このクラスの決めごとは大体、快里が決めてるんですよ。快里に意見を求めるとたいてい一番ベストな答えが返ってくるから、大体その意見にまとまるの。なんでも知ってるし、大抵のことは彼に聞けばいいから、先生も多分楽ですよ」

 生芽衣(いめい)は少しだけ興奮して話していた。

 最初は先生の前ということで改まって、快里のことを本間君と呼んでいたが、いつのまにかいつもの呼び方が出始めていた。

「ふぅ……」

 またメイは余計なことを言う。快里はため息をついた。

 それと同じタイミングで谷口がため息をつく。

「ふぅ。楽ですめばいいけどなぁ」

 谷口が口を挟む。

 マイペースが速くて元気があるのはメイの特徴だと、依入は把握したようだ。一生懸命さがなんとなく好感が持てる。

「ええと、かいり……くんってどなた?」

「あ!本間君の名前が『かいり』なの。快晴(かいせい)(かい)(さと)でかいり、珍しい名前でしょ。そういえばぁ……。先生の名前も珍しいよね。えいりって言ってたよね?」

 いつの間にかため口になる、人見知りをしない生芽衣(いめい)の癖だ。

「そうよ。ちょっと珍しい名前でしょ」

「えいりかぁ。先生、どんな字を書くの?」

()るに(はい)る。()るっていうのは、人偏(にんべん)に衣装の衣よ。……そうよね。『えいり』なんて名前、他にはいないよね。でも、メイさんも珍しい名前よね?」

「でしょ。アタシたちの名前もかなり珍しいと思うんだ。アタシたちが生まれたときに、お父さんがあんまりない名前で、双子だから発音が似てる名前にしようって決めたみたいなの。一応、エピソードもあるんだよ。今度話してあげるね」

 メイはひたすら話を続けている。およそ学級委員ではないタイプだと思うのだが、彼女はいつもこういう世話役をやりたがる。

「佐々木生芽衣(いめい)さん。そろそろいいですか?」

 谷口が口を挟んだ。

「あ、なにが?」

「あなたがしゃべり続けると、ホームルームが終わらなくなります」

「あ、そうね。藤木先生、またおしゃべりしに行くね」

 名残惜しそうにメイが話を終えた。

 谷口がメイが黙ったのを確認すると、ホームルームのまとめに入った。

「ええと。というわけで藤木先生は明日の朝のホームルームから二年八組を担当することになります」

「それから来週頭から期末試験なので、今週は部活が休みになります。寄り道をせずに早めに帰って、勉強をして下さい。くれぐれも赤点を出さないように。赤点がでると大変なのは、先生も同じです。あと、市内のゲームセンターとか、カラオケボックスとかには、坪井先生達が見回りに行くはずなので、生活指導を受けないように」

 何がおかしいのか、谷口は少しほくそ笑んで言った。

「では、以上」

「起立」—「礼」—「着席」

 メイは教頭の話が終わるのを見計らって言った。そのよく通った声で、帰りのホームルームが終わった。


 放課後。

 試験中といえども『二年』の期末試験。初日から試験勉強をまじめにする生徒はほとんどいない。

 ゲーセンやカラオケで先生が見回る店は、たいてい割れているので、そこさえ避ければ、遊ぼうと思えばなんとでもなる。まして制服さえどうにかしてしまえば、よほど顔が割れている生徒じゃないかぎり、目印は無いから見つけようがない。

 もちろん生活指導の教諭から言わせると、そんなことをしてもわかる時はわかるのだという。たいていは近くに北高のシールが貼られた自転車が止まっているし、見回りに店舗に入れば、目線を努めて合わせないようにするか、ちらちらみるかどちらかで、何にせよ意識されるのだそうだ。

 何しろ遊びたいパワーと取り締まる側との戦い。部活が休みでこれほど遊びに向いてるタイミングはない。当然友達同士である程度の策は練っているので、生徒達は教室からはあっという間に消えていった。

 教室にいる生徒は一瞬で半数以下になり、掃除当番はちょうど順番が回ってきたアンラッキーに文句を言いつつ、ロッカーを開けてバケツに水を汲みに行っていた。


 これから病院に検診に行って、帰りにコーヒースタンドでコーヒー豆を買っていこう。

 快里は帰り支度をしながら、何となく考えていた。

「ねぇ快里。学級委員としては、依入先生に学校を案内してあげようと思うんだけど」

 メイが目の前にいきなり現れる。『学級委員としては』なんて台詞、どっからでてきたんだか……。

「あぁ、案内してあげれば、先生喜ぶんじゃないの?」

 あえて興味がなさそうに快里がいった。

「でしょ。だから快里もつきあって」

「え?僕は学級委員じゃないよ」

「いいじゃん!つきあってくれてもさ〜」

「まあ、少しぐらいはね。今日は病院の日だからさ」

 少しぐらい遅れても良いか。そう思いながらメイに答えた。親父には今日は担任が来るので、もともと遅くなると言ってある。

「えぇ。嘘ぉ。いつもこの日じゃないよねぇ?」

「うん、まぁいつもは違うんだけど、親父が学会で、もうすぐ日本を()つからさ。その前に()てもらわないとならないんだ。それに今、学会用の資料作成で忙しいみたいだし」

「そっか、じゃあ早めに行った方が良いんじゃないの?」

「一応、父さんには遅くなるって言ってあるから。少しぐらい大丈夫だと思う」

「じゃ、いこ!ネイも一緒だよね?」

「あ、うん」

 相変わらずネイはメイにペースを握られてる。そう言いながら3人で荷物を持って教室を出た。

「ねぇメイ、先生は?」

 待ちくたびれてネイがいった。

「職員会議じゃないの?」

 メイが何も考えてない顔をして答えた。

「何時に終わるのかな?」

「わかんない」

 さらっというメイ。

「え?約束してないの?」

「うん。でもそのうち会議終わったら出てくるかなと思って」

 メイはいつもこうなのだ。

 快里はメイとネイと30分ほど職員室前で待っていたが、職員室に動きはなかった。試験前の忙しい時期なので、教師達もいろんな仕事があるのだろう。

「ね、メイ、会議って何時までか知ってるの?」

 ネイが待ちくたびれたように。廊下の窓際に寄りかかって言った。

「うぅん。しらない」

「試験の前って、職員会議ってさ結構遅くまでやらなかった?」

 不安な面持ちでネイが言う。

「やったかも知れないよね。僕はあまり遅くまで学校に残ってないからわからないけど」

「試験前でしょ?長いかもしれないよね……。メイ、ちょっと考えが甘かった?」

 ネイと快里の二人から立て続けに言われて、メイは、しょんぼりした顔で話す。

「そうかも……」

 快里は腕時計をみた。

「ごめん、悪いけど僕はそろそろ病院に行くよ。父さんがまってるかもしれないから」

「そうだよね。ごめんね、快里」

 メイが言う。

「大丈夫だよ。事務の人がたぶん診察の順番を入れ替えてくれてるから」

 がっかりしているメイを慰めるように快里は言った。

「じゃ、またね」

「うん」

「メイもネイも、適当なところであきらめた方が良いよ」

 快里の言葉に、ネイとメイが同時に答えた。

『うん、そうする』

 快里はメイとネイを教室に残して、病院へと急ぐことにした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ