叔父さんと一緒に猫の国へ
雑談や今後の事を話したり、テレビを見たりしながら時間が過ぎて行った。
深夜0時、叔父を伴い洞窟に入った。祠の左側にぽっかりと開いた横穴を進んで、石段を降りて行くと小広間に着いた。
そこには、いつもの様に淡い金色の光を纏ったジャミアの姿があった。金色の猫目がキラリと光る。その姿を見て叔父は腰を抜かさんばかりにびっくりしていたが、わたるが、この猫がいつも王国へ運んでくれる猫である事を説明すると、安心して心を落ち着かせてくれた。
「ジャミア、この間ルナには話したんだけど、今日は俺の叔父さんも一緒に行きたいんだ。いいかな?」『はい、ルナ様からはお伺いして折ります。初めにそちらの方を王国迄お連れして、すぐにわたる様をお迎えに戻って参ります。』「すまないな。手数をかけて。」『いえ、これも使命ですので。』
わたるは叔父に、ジャミアにしっかり掴まっていれば猫の国へ連れて行ってくれる事を話した。そして、ジャミアに全てを委ねて置けば安心な事も。 向こうにはルナと言う猫姫様がいて迎え入れてくれる事も。そして、すぐ後でわかるも行くと言う事も。
どうやら深夜0時に王国への道が開かれるのは、祠の左側の横穴の様だ。 この小広間にやって来てしまえば、午前0時に縛られる事は無いみたいだな?
わたるは石段に腰をおろすと、ポケットからタバコを取り出して火を点けた。往復には少なくも30分はかかるだろうから、仮眠でもして置くか?そんな事を考えながらタバコを吹かしていると、そんな事は無かった。
丁度タバコを吸い終わった頃に、縦穴の下から淡い黄金の光が風の様に吹き上がって来たかと思ったら、眼前にジャミアの姿があった。
「あれ?ジャミア、叔父さんを王国に送り届けてくれたんじゃ無いのか?」『はい、ルナ様の元へお連れしました。』「あれ?僕の感覚だと片道少なくても十数分はかかるから、往復には30分以上かかると思ってたんだけど?」『はい、私もその位走っている様な気はしますが、こちらの時間の経過の事に付いては全くわかりません。』「そうなんだ?何か不思議だな。」頭に疑問符をいっぱい浮かべながら、ジャミアの背に乗ると淡い黄金の光に包まれて縦穴を急降下して行った。
ジャミアの背中に乗って草原を走っていると、心なしか以前見掛けた時より草原に横たわっている猫の数が少なくなっている様な気がした。
程無くして、すずらんの花の形をした赤い屋根と白壁の家に着いた。ルナに迎えられリビングに入ると、既に叔父がソファーに座りコーヒーを飲んでいた。
「おう、わたるいやに早かったじゃないか?私もちょっと前に着いたばかりだ。お前は確か往復30分以上かかると言ってたよな?」「ええ、確かに。僕もそこの所よくわからないんです。」ルナに聞いてみたが、以前と同様、時間的な事はルナにもわからないと言う事だった。