異世界転生
異界覇王のテンプレハーレムのリメイク版です!
内容はかなり変えてますが気にせず新しい小説を読む感じでご覧下さい。
☆とりあえず一話が出来ましたので投稿しました。誤字等がありましたら教えて下さいm(__)m
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トラックの機体からは火花を撒き散らし激しい炎が燃え上がっていた。黒煙は回りを覆いながら天に向かって伸び、遠くからは消防車のサイレンの音がうるさいくらいに響いている。そんな燃え盛るトラックの近くに1人の男が仰向けで倒れていた。
目に見える光景は真っ赤に染まっていた。鮮やかな赤ではなく暗い赤色が光に反射して鏡のように自分の顔を写す。
もう見飽きた顔だ。だけどいつもと同じ顔ではない。自身の黒髪は血で汚れ、その目はどこか虚ろだ。
全身から濁流の如く血が流れ続け、アスファルトの地面に赤い水溜まりを作っていく。口の中には鉄の味が染み渡り、吐き出したくなるがもうそんな力さえ残っていなかった。
掠れる意識の中、一人の少女が俺に向かって叫んでいるが何を言っているか全く分からない。少女の必死の表情は次第に悲惨な表情になり、少女の目から涙がボロボロと零れ、俺の頬に落ちていく。
そんな少女の泣き顔を見ながら意識を失い、雨宮颯真の15年と短い人生は炎と共に消え去った……
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「…きろ…おき…のじ…」
誰だろうか。知らない声がまだ覚醒しきれてない頭に響く。身体を揺さぶられ意識が朦朧とするなか目を覚ます。とはいっても目を開けたわけではなく未だ目を閉じた状態だ。しかし俺の中では新たな睡魔が襲いかかり、誰かの事など忘れて二度寝に入ろうとした瞬間
「起きるのじゃ!」
「ぐはぁ!」
不意打ちのグーパン。何者かの容赦ない一撃が俺の頬に放たれ、強制的に意識が目覚める。殴られた衝撃で少し空中に浮き上がり、数秒もしないうちに地面に叩きつけられる。
「痛ぇ……は?」
目に飛び込んだ光景は樹海のような薄暗い森だった。天を見上げても太陽の光は木葉に遮られ、遠くからはなにやら獣の鳴き声が聞こえてくる。しかしそんな暗くて辛気くさい森の中で完全に場違いな人物が俺の目の前で仁王立ちをしていた。
「やっと目を覚ましたかこのバカ者は……」
呆れたように肩をすくめる美少女がいた。黒いミニ和服を纏い、帯は赤色。その容姿は和服美人を思わせるような美貌。腰まで届く綺麗な黒髪。雪のような白い肌に強調される深紅の瞳は尻餅をつく俺を映していた。
「小学生?」
「誰が小学生じゃ!」
そう。目の前にいる美少女の見た目は身長が俺の頭ひとつ分くらい低く、顔立ちには幼さがよく感じられ小学生くらいなのだ。故に真っ先に頭に浮かんだのはその言葉だった。テンプレなら誰?と言っているところだが生憎俺はそんな属性を持ち合わせていない。
「わしはこう見えても15歳じゃ!失礼な奴じゃのう」
「あ、ああ。すまん。悪かった」
確かに初対面で小学生とか言われたら誰でも怒るだろう。後から自分の言った言葉がかなり失礼だったことを自覚し身体を起こして頭を下げる。
「…まあよい。わしはルミア。お主の案内人じゃ」
「…え~と。俺は雨宮颯真だ。それで案内人ってなんの事だ?」
「お主…覚えておらんのか?」
「だから一体なん…ッ!?」
ドクン!
心臓が大きく跳ねる。心拍はけたたましく鳴り響き、脈動する度にあの真っ赤な光景が甦る。
全身の骨が砕かれ、自身の肉を潰される感覚に再度陥られる。血生臭い臭いがなぜか鼻につく。死に迫る恐怖に身体は悲鳴を上げるかのように震え始め、呼吸が荒くなる。
「思い出した…」
いっそのこと夢であってほしい。しかしあの痛みは夢で語れるほど甘くないものだ。
「俺はあの時、死んだのか?…」
「…そうじゃ。お主は交通事故で亡くなったのじゃ…」
不穏な空気が流れる。ルミアの真剣な表情は消え、悲しそうな表情になり、俯きながらも重々しい口調で話を進める。
「…わしはお主が聞きたい事全て知っておるのじゃ」
自分が死んだ事に確かにショックを受けたが今は悲しむ場合じゃない。ルミアと名乗った少女が全て知っているのなら一刻も早く聞かなければいけない事がある。
「…なら教えてくれ、俺は何で生きているんだ?」
「転生じゃ。お主は地球とは違う世界に蘇ったのじゃ」
「…つまり異世界転生ってわけか?」
「そうじゃ」
異世界。地球とは全く異なる存在。そしてアニメやゲームのなど舞台として作られた空想の世界。そんな異世界転生の言葉に颯真は心を震わせた。颯真はガチのオタクではないがラノベとかは読んでおり、大抵の本は転移系か転生系の本を愛読していた。そんな空想の出来事が自分の身に起きていることに颯真は落ち着いてはいられなかった。しかしそこでふと気になることが頭に浮かんだ。そう。定番のあの人だ。
「ん?ということはルミアは神様?」
「ククク。残念じゃがわしは神ではない。さっきも言ったであろう。わしは案内人だと」
ルミアがいつの間にか手に持っている黒い扇子で口元を隠しながら笑う。
「そういえば言ってたな。てか案内人ってなんだ?一体何の案内人なんだ?」
「もちろんこの世界じゃ。本来わしはここにいないはずなんじゃがお主の力にちと問題があってのう。いわゆるわしはお主の監視役みたいな者じゃ」
「どういう事だ?」
「お主が思っている通りこの世界には魔法が存在するのじゃ。もちろんお主にも魔法が使えるのじゃが、その魔法が能力不明なためこのまま放置するのは危険と神が判断したのじゃ」
「まじかよ…」
魔法を使えることに高校生ながらも子供のようにドキドキしてるがまさか神に危険と判断させるほどのヤバい力らしい。正直魔法が使える嬉しさ半分と危険視される困惑半分の複雑な気持ちだ。
「試しに使ってみるといいのじゃ」
「いやいや、無茶いうなよ…。魔法の使い方なんて知らないぞ…」
「うむ…ならばお主が思う魔力を想像して右手に纏ってみるのじゃ」
「分かった」
ルミアに言われた通りに魔力を想像する。イメージは光だ。その光が右腕に絡み付くように念じる。
バゴォォォォォン!!
突然、激しい閃光が放たれ、颯真は瞬間的に目を閉じた瞬間大爆発が起こった。大轟が響き、颯真、ルミアもろとも光は全てを呑み込んだ。
「え?」
目を開けたら空だった。先程まで木ばっかりだったのがその森を見渡せるほど高い上空にいる。上を見てみると太陽と雲が一段と近く感じられる。しかし上を見た瞬間、目を疑う光景が目に入った。
「ルミア…お前…」
バサバサと羽ばたく黒い翼。まるで天使の羽を黒く染めた翼はルミアの背に生え、太陽の光を覆うように大きくはためかせていた。
「これは後で話すのじゃ。そんなことより下を見るのじゃ…」
「下?」
ルミアに言われた通り下を見ると悲惨な光景だった。先程いた場所は直径20m深さ15mのクレーターが生まれ、吹き飛ばされた土の破片がパラパラと小雨のように降ってくる。そんな巨大なクレーターを見てルミアは戦慄した。あまりにも馬鹿げている威力に。
「これは…わしの予想の遥かに上を越えたのう…」
確かにこの威力は越える魔法は存在する。魔法を使ったならまだ理解できた。しかし颯真が放ったのは魔法でもなくただ魔力を出しただけでこの威力だ。唖然するしか出来ないのは当たり前とも言えるだろう。
「嘘だろ……」
颯真が感じたのは恐怖だった。ただ軽い気持ちで魔力を想像したらこの有り様だ。こんな力を持つ自分に嫌気が差した瞬間だった。
「安心せい。これは魔力のコントロール不足による暴走じゃ。わしがちゃんと扱えるように教えてやるのじゃ」
「ルミアが教えてくれるのか!?」
「うむ。任されよ。その代わりわしは厳しいぞ?」
ルミアはニヒヒと可愛く笑うと少し寂しい胸を張った。そんな彼女を見て微笑ましくなる。
「ああ、大丈夫だ!」
今この瞬間、空中で少し変わった師匠と弟子が生まれた。