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第五章(8)

今回は間をつなぐための話のため短いです

 リーファの背が消えていくのを見ながら、マルファスは杖をおろした。


「貴方の差し金ですか、アウリュ殿」


 炎を遮断したあの結界。リーファのものではなく、魔王の力を感じた。あの結界がある以上、自分がどんな攻撃を放っても無駄だろう。


「申し訳ありません、レイア様……ですが、私もこれで良かったと思います」


 女王の命令を果たせなかった。だが、心の奥では、こうなることを望んでいた気がする。

 何も言わないまま別れてしまうより、せめて、最後に見る姿が愛する者であって欲しかった。彼女の耳に残るのが、あの青年の言葉であって欲しかった。


「命令を果たせなかったお小言は、後でいくらでもお聞きしましょう」


 霧のかかる森を一度だけ振り返り、マルファスは吹雪の中を歩き出した。

 レイアのもとへ行くのが彼の役目ならば、自分の役目はまだ、他にあるのだから。




   ※ ※ ※ ※ ※




 森の中を駆け抜けるリーファ。その姿を見ながら、アウリュとアースは無言で手を振った。次の瞬間、彼を襲うおうとしていた魔族や魔獣が塵となる。


「こんなことしかできませんが、許してください」


 アースのささやかな声にも気づかず、リーファはただ城を目指して走っている。彼のズボンに入っている指輪が、迷いの霧を跳ね返していた。


「どうかレイアに、最後の安らぎを……」


 アウリュは魔王にしてはあるまじき、祈るような声で呟いた。


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