第八話
あれから、一週間が経った。学校もいつも通り登校して、友達ともいつも通りくだらない話ばっかりして、カズのいない毎日を、いつも通り過ごした。まだ一週間、この一週間は、私の人生の中で一番長い一週間だろう。
「真子、次の問題やってみろ」
数学の教師が、私の名前を呼んだ。はっとして数学教師を見上げる。すると、ぼうっとしてた私に数学教師は青筋を立てていた。もちろん私は授業など全然聞いてない。
「あ…えっと…」
この状況をどうやって抜け出そうか、私は頭をフル回転させた。
「何だ、分かるのか分からんのかはっきりしろ!」
数学教師の怒鳴る声が私の頭を響く。私はなぜか左ななめ前の方を見た。まるで誰かに助けを求めるように。
そこはカズの席だった。
「真子! もういい、そのまま立ってろ!」
数学教師の怒鳴り声なんか、もう耳に入らなかった。
ついカズの席を見てしまった。私は、今までカズに頼りすぎていたのだと、改めて実感した。カズは私の全てだったんだ。
カズの葬式の後からたくさんのことが分かった。志帆先輩はカズの友達の姉だそうだ。カズの相談に乗っていたそうで…つまり恋の相談。私についての相談…。私のヤキモチは無駄だったみたい。私はなぜか、少しだけ嬉しかった。
「カズ、私に自分のこと忘れろって言ってた」
「うん」
「カズの気持ちいまいち分かんないよ、しぃ」
「普通に考えてみないさいよ。分かるでしょ?」
私はしばらく考えた。でもやっぱり、少女漫画風のことしか思い浮かばなかった。
「その様子だと、少女漫画風のことしか思いつかなかったみたいね」
「ご名答…」
そんなことしか思い浮かばない自分が情けない。
「ま、多分真子が思ってることで正解よ。自分の事が忘れられないせいで、真子が悩むなんてイヤだってね」
「本当にそうだったら良いな…」
カズが私を思ってそう言ってくれたなら嬉しい。でも無理だ。
「私カズの事忘れない。って言うか忘れられない。カズがなんと言おうとね。それに、カズを忘れられないせいで悩むのなんて本望だよ。私、まだカズのことでちっとも悩んだことない。まだ、カズのことで悩みたい」
詩織は驚いてた。そんな詩織に、私ははにかんだような笑いをしてしまう。
カズが死んだ、その事実は変わらない。まだまだ心は揺らいでて、たまに無性に泣きたくなることだってあるだろう。でも私は頑張らなくちゃいけない。カズのいない世界を私はこれから生きていくのだから。
でも、大丈夫。たとえ迷子になったとしても、もう一人で戻れるから。
これから私は、カズのいない世界で生きてく。
今まで読んで下さった方、ありがとうございました。
まずは謝罪を。終り方について…本当にごめんなさい。この終り方には不満を持つ方が多いでしょう。
「迷子のキモチ」って言う題は、迷子になった真子の気持ち&真子の気持ちが迷子になったと言うのをかけてみたんですけど、どうでしょう…?
これで終ってしまいましたが、今まで読んで下さった方は本当にありがとうございました。感謝しています。
また、文の構成や表現・終わり方などにもアドバイスをくれると嬉しいです。