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俺は、魔力0の最弱魔族!〜学園ランキング最下位の俺だが、理不尽跳ね除けトップへと成り上がる!〜  作者: ダンディー


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12.理事長凸!

 昼食を食べ終わると、学校は午前中におわるので、放課後は暇だった。


 明後日からは午後から戦闘訓練が始まるので、そうなれば空き時間は減るが、とにかく今はやることがない。


 俺たち4人はひとまず寮へと帰って来た。


 ローズマリーはこの後、実家に手紙を出しに街の中心にある中央郵便局へ行くらしい。シアは、王都観光もかねて彼女についていくそうだ。


 ナルキとおれは特にしなければならない事はないので、部屋に戻った。


「で、なにする? これから。」


 ナルキの質問におれは答える。


「特にすることもないし、剣でも振りに行こうかな。」


「またぁ? 昨日の夜もやってなかった?」


「日々の積み重ねだ。」


 そう言って、立てかけてあった剣を手に取ると、不意にドアが3回ノックされた。


 誰だろうと思いながら扉を開けると、前にはエイリア理事長が立っていた。


「エイリア理事長!?」


「入学おめでとう、祝いに来たぞ、エスタ。」


 突然の訪問に驚いた。


 エイリア理事長はにっこりと笑うと、ワイン一本を握りしめて部屋へ侵入してくる。


「中へ入るぞ。」


「あの、他の生徒もいるんですけど……」


「理事長である私が来てやったんだ、文句は言うまい。」


 んなめちゃくちゃな。


 彼女は俺の言葉を無視して、無理やり部屋の中へ入り込む。


「エスタ〜誰だった〜?」


 ナルキがそう言いながらこちらに顔を出すと、エイリア理事長と鉢合わせになった。


 瞬間、彼は驚いた表情で声を裏返しながら叫ぶ。


「え、エイリア理事長!?」


「お〜、エスタのルームメイトか? これからエスタと一杯やるんだ、君もどうだ?」


「い……いえ、そんな恐れ多い。」


 ナルキが困っているので助け舟を出す。


「エイリア理事長、俺もそいつもまだ未成年ですよ。」


「ああ、まあいいじゃ無いか、ほれほれ。」


 そう言うと、エイリア理事長はナルキの方に手を回し一緒にベッドに連れ込んで一緒に座り込む。


 困りながら、うろうろするナルキに理事長は強引に迫る。


「じゃあ、エスタと…………君名前なんて言うんだ?」


「ナ……ナルキです。」


「エスタとナルキの入学を祝って、乾杯!」


 そう言って彼女は一人でワインの蓋を外し、ごくごくと飲み始めた。


 相変わらず自分勝手な人だ。自由奔放ともいう。


「はあ、全く。」


 俺は、ため息をつくと、エイリア理事長に拘束されているナルキの腕を掴み、思いっきり引っ張る。


 そして、酒を飲む彼女から解放する。


「大丈夫か?」


「ありがとう」


 自由の身になったナルキは、感謝を言いながら即座にオレの後ろに隠れる。


「それで、何しに来たんですか?」


 おれがそう質問すると、彼女はおれの目を見て返す。


「入学祝いだって言ってるだろ? ほら、お前も飲め飲め!」


「飲みませんよ。そもそも入学祝いなら、この間宿に来たでしょ。」


「前のは合格祝い。これは入学祝いだ。」


「やかましいわ。あんた、本当に暇なんか。」


「さあ、暇なんじゃないか?」


 そう言ってケラケラ笑う彼女に、少し苛立ちを覚える。


「まあ、それはそうとして、少しお前と話がしたかったんだ。」


「話?」


「ああ。実はだな、学園内にお前を追い出そうとする風潮が出来ていてな。」


「はあ?」


「この学園の事情は複雑でな。教員の中に様々な派閥がある。その中には私のことを良しとしない派閥があって、私のお気に入りであるお前を退学にしてやろうって動きが見られるんだ。」


「んな滅茶苦茶な。」


「特にお前には魔力がないからな。魔力量主義である貴族達からは目の敵にされている。だからまあ、気をつけろ。」


「そんなこと入学2日目に言われても。そもそも勝手に生徒を退学になんて出来るんですか?」


「無理だな。」


「じゃあ大丈夫じゃないですか。」


「いや、それもそう簡単な話じゃないんだ。正規の手段を経てさえいれば、誰だって退学させられる。とりあえず、成績最下位から脱出できるようがんばれ。」


「何だそれ……。」


 エイリア理事長と話していると、不意にナルキがおれの服を引っ張ってくる。


 なんだ?と思い、ナルキの方を見ると、彼が耳元で囁いた。


「ねぇ、エスタって、エイリア理事長とどんな関係なの?」


「え? どんな関係って……。近所のおばさんみたいな?」


「近所のおばさん!?」


 ナルキは再び声を裏返らせて驚いた。


「そんな驚くことか?」


「いや、だってあのエイリア理事長を近所のおばさんって……」


「まあ、正確に言うと、語弊があるが。距離感的にはそんな感じってだけで。でも言われてみれば、おれとあの人の関係ってなんなんだろう?」


 会話を聞いていたエイリア理事長は、口を挟む。


「師弟でいいんじゃないか?」


「ああ、確かに年1だけど剣技を教えて貰ってたし。一応師匠になるのか?」


「まあ、私が勝手に教えていただけだがな。」


 そんなやりとりを交わす俺たちを見て、ナルキは口をぽか〜んと開けていた。


「エスタって、あのエイリア理事長に剣を教わってたの!?」


「いや、だからそんな驚く事か?」


「驚く事だよ!? だってあのエイリアだよ!?」


 ナルキが興奮して顔を近づけてくる。


 そんな彼を、おれは冷静に突き離す。


「いや、だってただの理事長だろ? オルエイ高等学園の。」


「普通の人がオルエイの理事長になるなんて出来ないよ。もしかして、エスタ知らないの?」


「何が?」


「彼女のこと。」


「まあ、確かにあんまり知らないかもな。」


「だって彼女は……」


 ナルキがエイリア理事長のことを言いかけた時、エイリアが再び口を挟む。


「私のことなどいいから、飲め飲め〜!」


 そう言いながら、彼女は勝手にコップに酒を入れて、俺たちに渡してくる。


「いや、だからおれ達まだ未成年で…」


「私が許可する。」


「あんた仮にも教育者としてそれでいいんか。」


 それから俺たちは、エイリア理事長の猛攻にあった。


 理事長は既に酔っ払っていて、手のつけようがなかった。


 1時間後、彼女があばれるのに満足して帰った頃には、もうくたくただった。






 おれ達は疲れて地面に倒れこむ。


「ところで、エイリアさんって、結局何者だったんだ?」


 俺が聞くとナルキが答える。


「『白銀』のエイリア。魔王を超えし伝説の6魔族、六天魔神の一人。魔界最強の一角だよ。なんでそんな常識しらないのさ。」


「え、あの人そんなにすごい人だったのか。」


 魔王を超えしって、とんでもない魔族じゃないか。


 なんで学校の理事長なんかやってるんだ? いやオルエイの理事長ってすごいことなんだけどさ。

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