22話 ヨキの挑戦
ヨキと名付けられた少女は、今日も荒野を一人で探索していた。
「まずい。とてもまずい」
降り注ぐ日差しを受け、まるで宝石のように群青色に輝く枝分かれした角。毛先に行くにつれ明るくなるグラデーションを持った青い長い髪は、数日ダンジョンにいるというのに枝毛など一切ない艶やかな美しさを保っている。角と同じく照り付ける日差しをキラキラと反射する深い青色を宿す鱗に覆われた長い長い尻尾は、今は元気なさげに垂れてしまっていた。
鈴鹿の傍にいるときはいつもふよふよと宙を揺蕩う様に揺れているというのに、彼女の気持ちを表すように項垂れた尻尾が、荒野に一本の線を引いていた。
「私よりレベルの高いあの男が足踏みしている間に追いつかなければいけないのに、私はあれからまだ1レベルも成長していない……」
ヨキは頭を抱えていた。理由は簡単。目的地にいる2層5区のエリアボス、辰砂大鬼を倒せないからだ。辰砂大鬼を倒せないせいで一向に成長できず、何度も何度も殺されることでその度に鈴鹿の訓練の時間を奪い蘇生してもらっている現状。
お荷物。その言葉がヨキの頭を支配する。
「あぁ……私は鈴鹿様のお役に立ちたいのに、お手を煩わせているばかり……。自分は大概の事はそつなく熟せるなんて思い上がっていた自分を殴りたい……。私はダメな子。ダメな子でした……」
落ち込みながらも、気配遮断と気配察知をフルに使い2層5区という危険地帯を一人で歩いてゆく。
ヨキは自分の事を道具だと考えている。鈴鹿の役に少しでも立ちたいという思いが彼女の全てであり、彼女の存在意義であった。道具とは役に立つから身の回りに置かれるのだ。いつまでも使い道のない道具など、存在価値はない。
鈴鹿はそんなこと思わないかもしれないが、肝心のヨキ自身が自分を許せないのだ。もし鈴鹿から『ヨキはダンジョンの外で待っててくれ』なんて言われたら、投身自殺する自信がある。
「今日だ。今日こそ終わらせる。でなければ死だ。鈴鹿様のパーティメンバーを名乗る私が一向に弱いままなど、許容できるか。潔く死ね」
ヨキは自分の中で死ぬラインを今日と定める。例え鈴鹿が蘇生させようとも、その後に断りを入れて再度自分の命を絶つ。狂鬼の面を通して鈴鹿の性格も移ったのか、ヨキは頑固であった。
「探索者のことは詳しくないけど、普通は一度死んだら終わりなんだから。鈴鹿様に甘えすぎている。主に甘えるなど論外。死ぬな。倒せ。それが探索者でしょヨキ」
ヨキは探索者について詳しくない。ダンジョンについても同じだ。いつかお金を貯めて育成所に行きたいなくらいは考えていたが、その程度。パソコンも持っていなければ、携帯も通信制限がかけられていたためネット検索などもしてこなかった。
そもそもヨキはダンジョンに全く興味も持っていなかったし、探索者など住む世界が違いすぎて調べようなど思いもしなかった。
「鈴鹿様が私なら倒せると判断して、あの鬼たちを倒せと試練を与えてくださったのだ。なのにこの体たらく。倒せないとおかしいんだ。鈴鹿様のお傍に仕え続けるために、倒す」
やる気十分、気力十二分、覚悟天井知らず。ヨキは決意を胸に、遠くに見えてきた大鬼のいる村を睨む。
ここまででわかる通り、ヨキは大きな勘違いをしている。
そもそも大前提として、ダンジョンは一人で探索するものではない。前衛がいて後衛がいて、索敵役がいて指示役がいて、タンク職や魔法職など各々の与えられた役割をこなして探索するのだ。一人で探索するのは頭のおかしい者か、突き抜けた者のどちらかしかいない。
ヨキもそれくらいは知っていた。探索者はパーティで活動するものだというくらいは。野球やサッカーが、必要人数はわからなくとも団体競技であることは知っているレベルの常識であるから。だが、鈴鹿があまりにも当たり前かのように一人で探索するんだよと送り出すし、鈴鹿に話を聞いても一人で頑張ってたと言うし、パーティも1層1区以来だと言うのだ。灰ヶ峰も特に何も言わないし、そういうものなんだとヨキは思ってしまった。だって敬愛する鈴鹿が言うのだから。
百歩譲って、ソロ探索がおかしくないとしよう。低層ではあるがダンチューバーでもソロ探索をする者はいるのだから。しかし、ヨキが探索している場所が非常識な場所だということも、またヨキは理解していない。
ダンジョンにおいて4区5区は探索非推奨とされるほど、モンスターが強い。エリアボスを避けて探索するレベルの者は論外。トップを目指す探索者であっても、リスクと手間を勘案し1~3区のエリアボスラッシュを選択するのが、今の日本の探索者の主流である。そんな危険な5区をソロ探索するのは、正常な防衛反応が働いていたら取らない行動だ。
そもそも、階層で最奥のエリアというだけで危険度が最も高いのに、5区のエリアボスにソロで挑ませるなど遠回しに死ねと言っているようなものだ。いじめと訴えても差し支えなく、パワハラ以外の何物でもない。現にヨキは何度も何度も辰砂大鬼や配下の鬼たちに殺されているのだ。
本人は自分が弱いばかりに死ぬんだ……なんて思っているが、そんなことはない。いたって順当な死。結果の見えた実験に付き合わされているようなものだ。これで勝てるほうが異常だと、悲しいかな鈴鹿は理解できていない。
鈴鹿は自己評価が高くない。自分を凡人だと思い込んでいる。なまじ前世では平々凡々サラリーマンをしていたし、FXでは上手く行かずに全財産失うような男だったのだ。凡人かそれ以下の評価をするのも仕方ないのかもしれない。
だが、この世界では違う。鈴鹿が為していることは、この世界の一般常識からかけ離れているのだ。そのことを、鈴鹿は上手く理解できていない。凡人の思考回路だからこそ、『俺が何かやったって? いやいやいや。みんなできるよ』と自分を卑下する。謙遜文化が生んだ無自覚の化け物が鈴鹿である。
そんな実際頑張らないだけでやればできるんじゃない?くらいに考えている鈴鹿は、ヨキを平気で死地に投げ入れる。自分はレベル差倍以上の猿猴を倒すことができたんだ。レベルもスキルも整っているヨキならできるだろと。死んでも蘇生できるし、安心して戦って来いと。細く小さな背中を叩いて見送る。
ヨキは、鈴鹿がヨキの能力を把握して倒せる相手だと判断して大鬼を選んだと思っているが、そんなことはない。ヨキのレベルで戦える5区のエリアボスが2層からで、戦闘経験がないから多くのモンスターと戦えた方がいいよねと選んだに過ぎない。宝珠というアイテムがなければ、鈴鹿はヨキも淵の番と戦わせていたかもしれないのだ。鈴鹿に思考を求めるのは求め過ぎである。
そもそも、ヨキは狂鬼の面の効果によってレベルもスキルも後天的に与えられたに過ぎない。探索者について知らないどころか戦う技術もスキルの扱い方も知らない、ただの元女子高生だ。蜥蜴さえいなければ、今頃大阪で事務作業に従事していたはずの、ただの普通の女性なのだ。
そんな女性に武器を手渡し、まっすぐ進んだところにいる大きな鬼を倒してこいという、ゆるふわな指示を出して向かわせているのだ。ひどすぎる。鈴鹿は度重なる脳の損傷で頭がやられてしまっているのかもしれない。
ヨキのステータスは強い部類だ。ただ相手の攻撃を防ぐばかりであったとはいえ特級まで至った大久野のステータスに加え、淵の番とガスマスクの能力も付与されているのだ。ステータスもスキルも優秀な探索者といえる。だが、鈴鹿が求めているのは逸脱した探索者である。その高みに行くために、ヨキはワラワラと村から出てくる鬼たちを睨み付けるのだ。
収納から一本の斧を取り出す。猪首狩。1層5区のエリアボスのドロップアイテムであり、ヨキの名前の由来ともなった両刃の戦斧である。
猪首狩は黒をベースに朱色が映える美しい戦斧だ。そこにヨキの一式装備である黒を基調とした棘蠍の防具が良く似合う。ウエストがベルトで締められていることで彼女の美しいプロポーションが強調されモデルの様に見えるが、担ぐのはいかつい戦斧のため処刑人の様にも見えてくる。
「はぁ、本当に……本当に腹が立つ」
戦鬼頭が指揮を執る複数の小隊が、ヨキを囲い込むように展開してくる。ヨキのレベルは136あるが、この鬼の村にいるモンスターのほとんどは2層5区最大のレベル130である。出現するのは5区というただでさえ強いモンスター達だ。決して格下の雑魚などということは無く、モンスターの大群に襲われるモンスタートレインのようなこの戦闘は、この時点で激戦必至であり容易に殺されるレベルの戦闘を強いられる。実際ヨキは初めて大鬼に挑んだ時は、大鬼を見ることも叶わずにこの小隊や他の鬼に殺されていた。
鈴鹿にとってモンスターは基本的にエリアボスの事を指している。鈴鹿は強すぎるスキルによって、低層に分類される2層では鈴鹿という存在自体が適正外となってしまっていた。故に、通常モンスターは『面白い存在』であり、脅威とはならないのだ。だからこそ、鈴鹿は大鬼戦における鬼の大群もただのいい訓練程度にしか考えていない。そこに含まれる絶望するほどの物量攻撃を、鈴鹿は軽視している。
大鬼のエリアボス戦は圧倒的な鬼の大群による物量戦を強いられることだ。本体の大鬼の前座などでは決してない。しかし、鈴鹿は大鬼と戦っていないがために、大鬼が強くて他の鬼は邪魔者程度と思ってしまっている。故に、ヨキがどれほど無謀な環境に置かれているのか、鈴鹿は理解できていなかった。
「お前たちのせいで私は鈴鹿様からダメな子と思われてしまう……。私の光に……そんなことを思わせるなんてあってはならないだろうがッッ!!!」
一斉に襲い掛かる戦鬼たちを、ヨキは戦斧を横薙ぎに振るうだけで煙へと変えてしまう。ヨキが込めた一撃の重さが、それだけで伝わってくる。
戦斧はその重量を活かした一撃が魅力の武器だ。剛よく柔を断つという言葉を体現する武器。小技含め、一切合切を鎧袖一触にするのが戦斧の魅力である。だが、当然戦斧での重撃は万能という訳ではない。一撃を振り切った直後。どうしても隙が生まれてしまう。
無防備にさらされるヨキの背中。ヨキの動きが硬直した直後、気配遮断を解除した暗殺鬼がヨキの首を取りに行く。
完璧なタイミング。戦鬼頭の指示のもと、暗殺鬼が確実に挑戦者の首を取れるように合わせられた捨て身の連撃。鈴鹿が一人で挑んだ親分狐戦で、舎弟狐が捨て身で鈴鹿に張り付いてきたように、自分は死のうとも確実に仲間が討ち取れるように行動するモンスターの決死の攻撃。
だが、それは敵わない。
暗殺鬼が現れた直後、身体が八つ裂きにされ即座に煙へとその姿を変えた。
「何も学ばないのねお前たちは。戦斧を振るった直後だぞ? カウンターの剣戟が発生するのは当然でしょうに」
ヨキにとって戦斧とは隙の無い武器なのだ。振るった直後の身体の硬直などあるはずもなく。見せられる隙など誘っている以外ない。その場に残っている戦鬼頭や暗殺鬼たちが再度特攻しようとするが、ヨキの方が早い。
「お前たちなんてどうでもいい。いるんでしょ、その奥に。私はお前たちのボスにしか用がないんだよッ!!!」
戦鬼頭たちを置き去りに、ヨキは鬼の集落に突っ込んでゆく。櫓からヨキ目掛け矢が射かけられるが、ヨキは避けない。ただ突っ込んでいき、戦斧を振るう。決して戦斧が当たっていないというのに、まるで直接叩き折ったかのように矢が総じて粉砕し力なく落下していった。
「はぁああああ!!!」
気合十分。上段から戦斧を振り下ろせば、閉ざされていた集落の門が粉々に砕け散る。毎度毎度破壊しているというのに何度も修復される門。ヨキは鬱陶し気に門を越え、集落の奥を目指しひた走る。
集落に足を踏み入れれば、大量の鬼が歓迎してくれる。普通の探索者なら卒倒しかける数のモンスターの群れ。だというのに、ヨキは何も思わない。鬱陶しいほどいて嫌だな。それしか感じない。
それはヨキが鬼たちを軽視しているからでも、ヨキが鬼たちよりも圧倒的に強いからそう感じるわけでもない。単純明快。ヨキは知らないのだ。これだけの数はモンスタートレインであってもそう集まらない数であることを。こんな数のモンスター相手に一人で挑むのは確定した死であることを。ヨキが挑んでいる有象無象の如くいる鬼たちは一匹一匹が強力なモンスターであることを。ヨキは知らない。何故ならヨキはダンジョンについてこれっぽっちも知識を持ち合わせていないから。
それは鈴鹿よりもひどい状態。鈴鹿は1層1区に挑むときは本やネットで調べもしたし、1層1区から順番に探索してきた背景がある。だがヨキは違う。レベル1の状態から急激に力を与えられてレベルは136もありスキルも相応に揃った状態で、鈴鹿にダンジョンに放り込まれてしまった。ヨキはヨキで、鈴鹿が倒せと言った相手を倒せばいいだけと、ろくに調べようともしない。
その結果、この無知で無謀な探索者が出来上がった。
しかし、ヨキはその無謀を覆そうと力を付けてしまった。他の探索者では至ることすら困難な頂に、ヨキはすでに手をかけている。
「邪魔ッ!! するなぁああああ!!!」
戦斧を横薙ぎに振るえば、戦斧のリーチ外の斬撃が鬼たちに襲い掛かる。背後を取ろうとした暗殺鬼も、周囲の鬼を指揮していた戦鬼頭も、襲い掛かっていた戦闘鬼も。まるで巨大な獣の爪で切り裂かれたかのように抉られ煙へと姿を変えてしまう。
そう、ヨキは無知なのだ。ダンジョンや探索者について何一つ知らない。サッカーは手を使っちゃダメなんでしょ? 野球はバットで打つ競技だよね。探索者はダンジョンでモンスターと戦う職業だよ。ヨキにとって、ダンジョンはそれくらいの知識しかないものだ。
そこに、鈴鹿があることないことを吹き込み続けた。
『ヨキに与えた力には、淵の番っていう滅茶苦茶強くて武芸の達人のエリアボスの能力を付与してるよ。だからヨキはきっと戦斧も達人並みに使いこなせるはずだよ!』
『知ってるヨキ? 探索者ってスキルを使えば割と何でもできるんだよ。ヨキは剣術のスキルレベルも高いから、きっと一振りすればいっぱい斬撃だせたりするはずだよ! そうすれば戦斧使ってても隙なんて皆無でメチャツヨのはず!! 背後の敵もいち殺だ!!』
『戦斧は一撃にかける武器だからね。一撃必殺。仕事人だね。ヨキならそのうちエリアボスも一撃で沈められるよ。だってヨキだし』
『でもあれだよね。連撃すればするほどダメージが増加するとか強そうじゃない? ヨキは連撃もいいかもね。一撃必殺と連撃。うん。どっちも覚えれば最強だよヨキ!』
ヨキが敬愛してやまない鈴鹿がそう言うのだ。つまりそういうことなのだろう。それは正しく、それは実現できることで、期待されているヨキはそれができなければおかしいのだ。
鬼の群衆を穿つように、ヨキが戦斧を振り下ろせば進路上の鬼たちが一撃で煙となり果てる。ヨキの戦斧が当たっていないというのにだ。それはまるで見えざる斬撃が飛んでいる様であった。
スキルの解釈による能力の拡張。鈴鹿は天童から学び、自分も多くの強力なスキルを手にしたことで実現できた。灰ヶ峰はスキルとは想像の具現化をアシストすることであり、スキルがなくとも魔力を用いて実行すれば実現できると能力の拡張を行った。
だが、ヨキは違う。鈴鹿ができるよと言うから、実現させた。鈴鹿の期待に応えるために。自分の光ができると言ったのだから、そこに疑う余地など一片の隙間もなく、ただただ信じるのみ。それはこの世界の法則と同じ。リンゴは木から落ちるし、卵もおしりを潰せば立たせることができるのと一緒。鈴鹿ができるというのだからできるのは当然なのだ。少なくともヨキにとっては。
無論、思い込んだだけでそんな簡単に為せるわけがない。全力で走れば100メートル10秒切れるっしょ。俺足速いし。そう思い込んだところで、走れば13秒も出せれば御の字だろう。それと一緒だ。普通は剣術のスキルが発現していたところで、戦斧を振れば斬撃が発生して敵を倒すなんてできるわけがない。
だが、ヨキは違う。ヨキは与えられていた。高レベルのスキルたちが。
普通はスキルのレベルが上がる過程で、出来ることと出来ないことが見えてくる。初めは右も左もわからないから、少し覚えただけで何でもできるかもしれないと思えてくる。まるで自転車を初めて手に入れた時のように。どこまでも行けると思えてくる。しかし、出来ることが増えてくると自ずと出来ないことも理解できるようになってくる。本当は頑張ればできるかもしれないのに、なまじ経験があるせいで無理だと諦めてしまう。やろうと思えば自転車で日本一周できるのに、無理無理と諦める様に。自ら可能性に蓋をしてしまう。
しかしヨキは無知の状態なのに高レベルのスキルを保有しているという、異質な探索者がヨキなのだ。ヨキが信奉する鈴鹿が言ってるんだからできる。そう信じ抜けるのがヨキであり、何度も死ぬほどの戦いを臆せず突っ込み続けるヨキに、スキルが応えてゆく。
ヨキが集落を突き進んでいけば、ひときわ大きな屋敷の前に目的の巨大な鬼がいた。赤い大鬼。3~4メートル近くある巨大な鬼は、筋肉を怒張させ巌のようであった。その大鬼の持つ戦斧と、ヨキの戦斧が衝突した。
「今日こそその首獲ってやるッ!!」
体格が何倍も違うというのに、ヨキの一撃で大鬼がわずかに押された。そして、ヨキの攻撃はそれだけではない。ヨキの一撃は数十合の斬撃となるのだ。戦斧本体を受け止めたところでそれで終わりではない。絶え間なくヨキに襲い掛かる鬼たちに斬撃が分散されるが、それでも何合かは大鬼の身体に無視できぬ傷を負わせる。
恐ろしい力。一振りが一撃とはならず、ヨキが連撃をすればするほど対処できない数の斬撃が飛んでくるのだ。それはまるで辰砂大鬼のように、物量で全てを押しつぶす脳筋の戦い方である。
大鬼がたまらず力技でヨキを配下の鬼たちの下へ吹き飛ばす。距離を空けようとも、ヨキは周囲の鬼に一切気を引かれることも無く、何度も大鬼に突貫し続けた。大鬼が面倒くさいことをする前に、早く倒さねばと一撃に気合いを込めて大鬼に襲い掛かる。
ヨキの連撃は隙が無かった。一振りするだけで周囲に数十の斬撃を放つヨキは、モンスターに群がられても、大鬼と交戦しても的確に相手にダメージを積み上げてゆく。
何度目かの衝突。ヨキが警戒していた咆哮が大鬼から放たれた。
『ヴォォォオオオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!!』
「本当につくづく鬱陶しい奴だな貴様はッ!! 一人で戦う気概がないのか腰抜けがッッ!!!」
大鬼の咆哮は鬼の能力を引き上げることができる。咆哮を聞いた鬼たちにバフがかかり、動きが段違いとなった。ヨキが繰り出す周囲を切り裂く無数の斬撃に、鬼たちが対応してくる。遠方からはヨキの斬撃を縫うように矢が射られ、矢に意識が向けば暗殺鬼が足元を刈り取りに攻撃を仕掛け、戦闘鬼たちが絶え間なくヨキに迫りくる。
先ほどまでは戦斧を一振りすれば周囲にぽっかりと穴が空いたというのに、取りこぼしが加速度的に増えてゆく。大鬼に襲い掛かるどころか、近づくことすら困難になってしまった。
「クソッ! クソッ!!」
濁流の如く迫りくる鬼たち。5区のモンスターがエリアボスのバフを受けて突っ込んでくるのだ。その強化は絶大。ヨキの斬撃を掻い潜ってきた鬼たちが、命と引き換えに一撃を入れてゆく。片腕がもがれた戦闘鬼が剣を振り下ろし、両足を奪われた戦鬼頭がヨキの動きを阻害するために死すら厭わず張り付き、動きが止まったところに降り注ぐ矢が足や腕へと突き刺さり、ヨキすら気取ることができなくなった暗殺鬼が振り下ろす剣がヨキの左目を縦に切り裂いていく。
それは高知に来てからというもの、何度も何度も繰り返された光景。
無数の斬撃を飛ばせるようになり、ようやく大鬼を見つけて追い詰められるようになったというのに、大鬼の咆哮一つで簡単に覆されてしまう。ヨキがいくら戦斧を振り回そうと、強化された鬼たちが通常モンスターを凌駕する力を持ってヨキを追い詰めその命を奪っていく。いつもなら。
「これで終わらせると決めたんだ……鈴鹿様のパーティの一席に座る私がッ!! これで終わるわけないだろうがッッ!!!」
戦鬼頭や戦闘鬼たちに張り付かれて動きを阻害されていたヨキは、身体にさらに力を込めて振りほどき、戦斧を振るう。それは連撃。武芸の心得を筆頭にスキルたちがヨキが思い描く動きを補助することで、実現する。
求めるは辺り一帯の鬼の始末。地形を変えるほどの斬撃の嵐が、振りほどかれた鬼たちを、隠れ潜んだ鬼を、降り注ぐ矢を、洩らすことなく粉砕する。
土煙が風によって晴れれば、ヨキと大鬼の間にいた邪魔過ぎる鬼たちは綺麗さっぱりといなくなっていた。ただ、ヨキも無傷ではない。脚や腕、背中にも矢が刺さり、左目は暗殺鬼によって斬られ使い物にならない。
それでも、大鬼が見えるようになった。ならば、あとは戦斧を振り下ろせばいい。そうすれば、斬撃が大鬼の首を刈り取るのだから。
「終わりだッ!!!」
ヨキが叫んだ時、大鬼の顔が歪んだ。死を恐れての顔ではない。それは勝利を確信した者の顔。敗者を見下す、勝者の顔であった。
瞬間、ヨキは爆発に巻き込まれた。
爆発によって吹き飛ばされたヨキは宙を舞い、枯れ葉のように勢いを落とさずに転がってゆく。ようやく止まれたのは、ヨキが袈裟斬りで破壊した集落の門にぶつかった時だった。
ヨキがこじ開けた空間を埋め尽くすような爆撃は、魔法鬼による攻撃魔法の結果。集落の鬼が半数を切ると出現する、大鬼の虎の子の鬼たちだ。当然大鬼の咆哮による強化もされており、魔法の威力は通常よりも上げられている。
そう、ヨキは大鬼と戦う上で、セオリーを無視しているのだ。辰砂大鬼自体は2層5区のエリアボスの中では弱い。手足のように大鬼を支援する配下の鬼たちと大鬼の連撃こそが、大鬼の真価である。そのため、大鬼と戦う場合はひたすらに集落の鬼を削る必要があった。
大鬼にダメージを与えると全体バフを行う咆哮を行使するため大鬼にダメージを与えず、集落の鬼を殲滅してから大鬼を倒す。それが辰砂大鬼の戦い方である。当然、それでもかなりの難易度がある。そもそも適正エリアのモンスターが100体以上を倒す必要があるのだ。それに魔法鬼による絶え間ない攻撃魔法も加えられ、それでいて大鬼も襲い掛かってくるがダメージを与えることはできない。神経を使う戦いが求められる。
一方、ヨキは違う。そんなセオリーなど知らないため、ただただ大鬼を倒そうと突っ込んでゆく。有象無象の鬼たちは邪魔なものだけを倒し、あとはひたすら大鬼にダメージを与えていく。結果、大量に集落の鬼が残った状態で咆哮が発動され、毎度強化された鬼たちに殺される流れとなっていた。
何度も死ねば、普通ならやり方がダメなのかもしれないと思うだろう。だが、ヨキはそもそも探索者としても素人なので、やり方が違う以前にただ自分が弱いだけだと思ってしまう。崇拝する鈴鹿ならば問題なく倒せるだろうと思うからこそ、自分が至らないのだとヨキは考える。
その結果、強化された集落の鬼をようやく半数倒すことができたが、ここに来て温存されていた新たな鬼である魔法鬼が出現し、ヨキは追い詰められていた。
「ハァ……ハァ……」
何とか立ち上がろうとするが、爆発を受け左腕が動かなかった。ブスブスと焦げ臭いため、炭化してるのかもしれない。吹き飛ばされた拍子で矢が深く刺さったのか、脚も動かすだけで耐え難い痛みを訴える。穂先が神経を傷つけたのか、脚を動かすだけでつま先は痺れ腰に激痛が走るのだ。
瀕死。ようやく、強化された鬼たちを倒したというのに、新たな鬼の出現。大鬼は優雅に後方で指揮をしており、ヨキは大鬼の首を取れなかった。
『あぁ、全くなんてみすぼらしい』
その時、ヨキの眼前に一つの仮面が浮かび上がった。それは無垢なる面。真っ白いだけの面だ。陰影によって目の位置と口が動いていることはわかるが、何にも染まっていない仮面が浮かんでいる。
『不快、嫌悪、怖気が走る。このような者と統合されるなど、恥辱の極み』
這いつくばるヨキを見下ろすように、仮面が言う。ヨキはその仮面に心当たりがあった。
鈴鹿がヨキに与えた力は3つあると教えられている。蜥蜴というゴミ組織の代表である特級探索者大久野、3層5区のエリアボスにして武の達人である練鱗淵の番、そして大久野が使ったという呪われたようなガスマスク。ヨキはガスマスクなんて詳しくはないが、浮かんでいる仮面はガスマスクとは思えない。けれど、被り物という点では共通している。
『ほら、みじめで弱く醜悪な宿主よ。希いなさいな。這いつくばって頭を地面に擦り付けて救いを乞いなさいな。虐げられ続けた哀れな人生で学んだでしょう。あなたは何も為せないし、何もできないし、かけられた期待は悉く裏切るのだから』
仮面がヨキの瞳から心の内を透かすように、告げる。この場を切り抜けたいならみじめに助けを求めろと。
『助ける条件はその身体の所有権の譲渡。問題ないわよね。どうせこのままじゃあなた死ぬんだから。あなたが崇拝する化け物に失望されたくないんでしょう? これ以上呆れられたくないのでしょう? 私の光なんて妄想をいつまでも抱いていたいのでしょう?』
ヨキはこれ以上死ぬわけにはいかなかった。鈴鹿の手を何度も煩わせるなど、鈴鹿が気にしていなくともヨキは自分を許せないだろう。今日でケリをつけると決めた。ダメならば鈴鹿の元を去り潔く死のうと考えていた。
仮面の言う通り、このままでは死ぬだけだ。満足に動けず、身体はぼろきれのような有様。厄介な魔法鬼たちは集落の奥にいるため蹴散らそうにも簡単にはいかず、再度大鬼に迫ろうとも次は止めを刺されてしまうだろう。
『ならば代わりなさい。その身体の使い方を教えてあげる。あの鬼どもを皆殺しにして、大鬼を喰らう。あなたの大好きなあの化け物に褒めてもらいたいのでしょう? ならば、私を取りなさい。ほら、あなたに拒否権などないでしょう?』
フラフラとヨキは起き上がり仮面へと手を伸ばす。無垢なる仮面に宿る力があれば、この場を制することができる。鈴鹿に自分の有用性をアピールできる。道具は主人の役に立ってこそ。ヨキはそれを体現できる。
この仮面を手に取れば。
ガシッ。ヨキは仮面を手に取った。
……いや、表現がこれでは違う。ヨキは仮面を鷲掴みにした。あまりにも力を込めて掴んだからか、仮面が軋み、バキリと嫌な音が鳴った。
『いきみ過ぎ。ほら、弱いあなたの代わりに戦ってあげるのよ。感謝と共に顔に―――』
「黙れ」
可視化できるほどの魔力がヨキの身体から噴出する。それはヨキの激情を表わしているかのようであった。
ヨキは憤怒していた。煮えたぎる火山が爆発したように、ヨキは怒りで目の前が白く塗りつぶされてしまうほどの怒りが沸き起こる。
「何が身体を寄こせだ? 何が希えだ? 一体全体誰の事を化け物と蔑んだ?」
ヨキが仮面を視る。藍色の目の瞳孔が、爬虫類のように縦長になっていた。竜の目を開き、睨むでもなく、ただただ仮面を凝視する。
このガラクタは何をほざいているのだと。一体何を勘違いしているのかと。理解できない仮面の戯言は本当にこれから聞こえてくるのか確かめるように、ヨキは仮面を握りしめ凝視する。
『とち狂ったの? あなたじゃ死ぬだ―――』
ミシリ、バキリ。仮面が喋るごとに、歪み、割れ、壊れそうになる。ヨキの圧に屈したのか、はたまた壊れることを嫌ったのか、仮面が黙る。
「お前のことは聞いている。装備者に毒魔法の力を与える仮面でしょ?」
瞳孔が開いたヨキの竜の目が、仮面を映す。
仮面は否定しようとした。毒魔法を与えるわけではないと。あれは大久野だからああなっただけだと。しかし、ヨキが握る力を強めていくせいで、仮面は何も言えない。
「道具風情が何をいけしゃあしゃあと喚いているの?」
ミシリ。
「道具が主人の役に立つこと以上に重要なことがあるとでも?」
バキバキ。
「道具が傅かない理由がわからない。お前は、私を、なめているのか?」
バキリッ。
とうとう仮面に亀裂が入る。握りしめる部分から放射状に割れ、仮面に無視できないほどのヒビが入り崩壊寸前となる。
仮面は何も言えなかった。壊れるから黙っていたのではない。哀れな主人に呆れて黙っているのではない。
この女に、仮面は鬼を見た。あの恐怖の象徴たる鬼を。仮面を喰らった鬼神を。この女にも感じてしまった。仮面の根源が女に屈する。これには逆らってはならないと。一度刻み込まれた敗北の経験が、仮面を女に傅かせる。
仮面はもう何も言わない。一度入った亀裂が広がり砕け散ろうとも、何も囀らなかった。そして、砕けた仮面はヨキの中へと吸い込まれてゆく。ようやく、ヨキは3つの力を調伏した。その結果、存在進化が解放される。
竜の角や尻尾の鱗が、淵の番が纏う魔法を弾く強力な鱗へと置き換わる。脚にも鱗が生えそろい、足首より下は鉤爪が現れた。手はいつの間にか寒色系の黒色に染められ、顔には大きなマスクの仮面が着けられていた。鼻から顎まで覆う黒く硬質なマスクには、真っ赤に染まる赤い牙が顔を覗かせる。
前髪が眼を覆い隠すように下ろされているが、風によって時折晒される目は竜の眼。宵の空のように美しく染まる藍色の瞳が、爛々と輝きを放つ。
濃紺に染まる尻尾に角、地面を鷲掴む鉤爪、棘蠍の漆黒の防具に合わせるように黒く染まった手、闇夜に浮かぶ赤い牙はまるで血で染められたようだ。その見た目は様々な種族が入り混じった成れの果て。混成竜種夜姫。ただ、姫と呼ぶにはあまりにも禍々しい存在進化であった。
夜姫が調伏した仮面の名は『呪体腐心の面』。特定条件を満たした者の収納にいつの間にか現れる呪いの面は、身体を呪い心を腐らせ、使えば仮面に全てを奪われる。その代わり、強力な魔の力を以て標的を葬り去れる諸刃の剣だ。
デメリットがあるからこそ強力な能力を授かることができる。蜥蜴の代表であった大久野も、切り札としてこの呪いの仮面を持ち歩いていた。その面を、夜姫は自身に跪かせた。道具は道具らしく私の役に立てと。彼我の立場を明確にした。結果、呪体腐心の面が夜姫へと力を与える。それは夜姫が抱える激情を表わすような力。
夜姫はずっと怒っていた。鈴鹿に蘇生されてから今の今まで、常に怒りの業火が込み上げていた。
夜姫をあんな目に遭わせた反吐が出る組織にも、夜姫をそんなごみ溜めに売り払った産業廃棄物のような父親にも、そんな悍ましい人間と同じ血が流れている穢れた身の上で神の傍にすり寄る浅ましい自分自身にも、夜姫は怒っていた。そして、その怒りは目の前の鬼たちを前にしてピークを越えた。鬼にも勝てぬ自分の不甲斐なさと、道具風情が抵抗していたから大鬼を倒すのが遅れた可能性による怒りと、ウジのように湧いて出てくる鬼たちの鬱陶しさと、部下に護ってもらって前に出てこない姑息な考えの大鬼に、夜姫は赫怒したのだ。
魔法鬼たちが夜姫へ向けて一斉に攻撃魔法を放つ。炎もあれば風もあり、水や土も混じった様々な魔法が夜姫に向けられた。対する夜姫は満身創痍。脚には深々と矢が刺さり満足に動けず、左腕は焼け焦げ左目も切り裂かれて見えていない。
それでも夜姫は笑った。血に染まる赤い牙を剥き出しにして、およそ姫とは名乗れないほどの凶悪な笑みを浮かべて戦斧を振るう。
戦斧から見えざる斬撃が飛ぶことは無かった。変わりに魔法を、いや集落ごと飲み込むような地獄の業火が魔法を喰らい鬼たちに襲い掛かる。
「アッハッハッハッハッハッ!!!」
凄まじい熱気。建物はあまりの温度に一瞬で炭化し、地面は高温にさらされガラス状に溶けている。直撃を避けた建物が、残火によって轟々と燃え盛る。さきほどまでいた鬱陶しい鬼たちの半数以上が、夜姫が振るった業火に飲み込まれ煙へと変わってしまった。
「鈴鹿様はおっしゃったのだ!! 魔法は魔力を込めれば込めるほど何でもできるとッ!! ハッハッハッハッ!! どうだ鬼たち!! 地獄の釜が開いたぞッ!! 踊れェエエエエ゙エ゙エ゙エ゙!!!」
夜姫が求めたるは万物を燃やし尽くす絶対なる炎。鬼も、魔法も、何もかもを燃やし尽くす。夜姫の美しい蒼くグラデーションされた髪のように、夜姫が出現させる炎は蒼炎であった。蒼色の焔が辰砂大鬼の集落を飲み込んでゆく。
鬼たちもただ蒼炎に飲み込まれるだけではない。大鬼の咆哮を再度受け、視界を埋め尽くすほどの魔法の弾幕で応戦する。戦闘鬼たちは大鬼の指示のもと夜姫に止めを刺しに走り出し、すでに動いていた暗殺鬼が夜姫の眼前に姿を現す。だが、彼らが夜姫に触れられることは無い。
夜姫が戦斧を振るえば蒼炎がうねり周囲は斬撃が地形を変えてゆく。夜姫の射程に踏み込んだ鬼たちは、一刀のもと黒い煙へと姿を変えてしまう。大鬼に強化されているというのに、夜姫の攻撃がわずかでも掠った箇所から蒼炎が浸食し燃やし尽くす。まるで炎に呪われたように、避け損なえば待っているのは死。
夜姫が何十体もの鬼の死を築き上げながら、大鬼の下へと確実に踏みしめてゆく。
「いつまで隠れてるんですか? 頭張ってるならさぁああ!! 率先して前出んのが頭の仕事でしょうがぁああああ!!!」
夜姫が戦斧を振り上げる。大鬼との距離はまだ何十メートルも離れている。けれど、大鬼は夜姫の攻撃が届くことを意識し、一歩踏み出す。動かなければ死ぬ。動いても死ぬ。しかし、動かなければ夜姫を屠れるチャンスは絶対にない。だからこそ、大鬼は一歩踏み込んだ。
だが、夜姫は大鬼を待ってはあげない。散々後ろにいたのだ。最後も何もできず後ろで寂しく朽ち果てろ。その思いを込めて、今からの攻撃に全神経を捧げる。
『戦斧は一撃にかける武器だからね』
そうだ。鈴鹿はそう言っていた。ならばこの一振りに全てを捧げるべきだ。
これまでの汚名返上。鈴鹿の手を何度も煩わせてしまったが、もう大丈夫だと鈴鹿に言えるように。あなたのパーティメンバーは、あなたに相応しいと思ってもらえるように。夜姫は強く強く柄を握りしめる。
「断絶」
言葉によるイメージの補完。そう一言呟き振り下ろされた後、大鬼は掲げた武器の戦斧ごとまとめて一刀両断され崩れていった。それだけではない。あたりにいた鬼たちもみな、押しなべて斬り伏せられている。
全てを断つように振るわれた一振りは、文字通り、大鬼にまつわる全てを断ち切った。
次の瞬間、大鬼から溢れ出る煙が夜姫へと吸い込まれる。鈴鹿に与えられた力には遠く及ばぬが、ようやく、夜姫はエリアボスを倒しレベルが上昇した。
まだまだ鈴鹿には遠く及ばない。業腹だが灰ヶ峰にも及ばない。それでも、夜姫は一歩を進むことができた。
存在進化が解除され、ヨキは地形が大きく変わり果てた鬼の集落へ倒れ込む。
「鈴鹿様……お待たせいたしました」
そう満足げに呟き、ヨキは気を失うのだった。
名前:福山桐子
存在進化:混成竜種(幼)
レベル:136⇒142
体力:1199⇒1240
魔力:737⇒758
攻撃:991⇒1056
防御:1187⇒1228
敏捷:656⇒709
器用:878⇒913
知力:731⇒745
収納:506⇒534
能力:武芸の心得、剣術(8⇒9)、盾術(7)、体術(2)、身体操作(7)、身体強化(4⇒6)、魔力操作(8⇒9)、見切り(7)、火魔法(9)、挑発、気配察知(5⇒6)、気配遮断(4)、魔法耐性(8)、状態異常耐性(6)、精神耐性(3)、痛覚鈍化




