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狂鬼の鈴鹿~タイムリープしたらダンジョンがある世界だった~  作者: とらざぶろー
第九章 修練の3層5区

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17話 久しぶりの配信

 2層4区に広がる砂漠の中に現れる渓谷エリア。そこに鈴鹿たちはいた。


「案外時間かかるよね。もう陽が暮れちゃったよ」


 3層5区から2層4区へ来るのには、それなりに時間がかかる。ヨキがいるため、鈴鹿たちが2層4区まで下りてくる必要があるのだ。


 宵闇よいやみが広がる中、テキパキと鈴鹿が野営の準備をする。といってもベッド代わりにもなるイスと、焚き火台にガスコンロをセットするくらいだ。ダンジョンでの野営にも慣れ、実家のある八王子ダンジョンでもないので持ち込める物はそう多くない。5区に湧き出る宝箱から追加で収納袋をゲットできたが、宝箱から出てくる収納袋はサイズが大きくないのでキャンプ道具や薪を入れるには不便なのだ。


 ちなみに、2層探索中に見つかった宝箱の数は合計76個。2層5区の探索ツアーでポコポコ見つかったのと、エリアボス戦に行く途中などで発見した数だ。探そうと思えばもっと見つけられるのだろうが、そこまでするつもりが無いのでこの程度の数で収まった。それでも、並みの探索者では考えられない数の宝箱を見つけている。


 宝箱の内訳としては、食材が18個、アイテム5個(内収納袋2個、ヨキと灰ヶ峰にあげた)、武器10個、一式防具1個、個別防具10個、装飾品2個、ポーション5個だ。収納袋は本来もっとドロップ率が渋いらしいが、5区だとそこそこの頻度で出てくれる。これに加え、三体のエリアボスから宝箱が出現し、どでか収納袋と杖、それにアイテムを一つ手に入れた。


 2層5区では木製の宝箱に加え鉄製の宝箱も出現した。レベル100以上のモンスターが出現するエリアでは鉄製の宝箱が現れるようになり、レベル150以上のエリアでは銅製の宝箱が現れるようになる。エリアボスはその法則から外れることもあるが、宝箱によって出てくるアイテムの等級が変わってくる。そのため、2層5区の宝箱だからといっても出てくるアイテムは鉄製の宝箱から得られるレベルのアイテムであり、武器や防具も突出したものは何もない。収納にしまえるくらいしか利点を感じさせない武器たちだ。


 それでも鈴鹿からしたらカッコいい武器や防具なので、出てくれると嬉しいのだが。


「今日の夜ご飯は海鮮いっぱいのスープパスタで~す」


 収納から事前に温めるだけに準備しておいたスープを取り出し、パスタを入れていく。


 出雲では遠征していたこともあり、基本食材を焼いて食べるくらいだった。だが、高知では灰ヶ峰が機転を利かしてくれ、ウィークリーマンションに泊っている。これによってキッチンがあるので、ダンジョン探索用にご飯の下準備ができるようになった。素晴らしい。おかげで焼いて食べるだけ以外の選択肢が増え、ご飯が豊かになった。まぁ、焼くだけでもいろんな調味料で味を変えられるので楽しめはするのだが。


 それにウィークリーマンションは楽しい。3LDKの部屋を借りられたから三人で泊っているのだが、なんだか修学旅行や合宿に行っている気分になる。二人とも几帳面なのか散らかしたりしないので、ストレスもない。共同生活はパーティ感も感じられてとても楽しい。ルームシェアもいいなぁと思い始めてきた。高知から帰ったら部屋を借りてもいいかもと思える程度には。


 未だに各々別々でエリアボスに挑み続けるという、それは果たしてパーティと言えるのかい状態の鈴鹿たちだが、ことダンジョンでの戦闘以外であればパーティっぽさが出てきていた。ダンジョンでの戦闘が一番重要な気もするのだが。


 事前準備を済ませていたので、晩御飯は簡単に出来上がる。パスタが柔らかくなる前に、スマカメを取り出して配信を開始する。


「じゃ、配信するね。二人とも本当にマスクとかいらないの?」


「大丈夫です」


「問題ない。前回も顔出ししているからな」


 ヨキは急激なレベルアップによって容姿が変わっているため、隠さずともヨキを知る者は出てこないだろうから問題ないとの判断。灰ヶ峰は前回顔出しで出演しているから今更だろとの判断である。ちなみに前回の配信で顔を隠さなかったのは、どうせその後に死ぬと考えていたためである。


 ちなみに鈴鹿は狂鬼の面を着けている。前回大久野(おおくの)に突撃するために顔を出したため今更隠しても意味ないかもしれないが、仮面を着けることで配信しているという気持ちになるので着けることにしている。ビジネスカジュアルの企業でも気合入れるためにスーツを着用しているようなものだろうか。鈴鹿にとってダンチューバーの正装が仮面なのだ。


「あーあー。聞こえるかな? なんだか久しぶりですね。狂鬼チャンネルです」


【待ってました!!】


【お久しぶりです】


【狂鬼さん生きてた!】


 配信を予告していたからか、今日も今日とてすぐにコメントが流れてくる。


「前回から2週間くらい? 空いちゃってごめんね~せわしなくてさ」


【狂鬼さんが元気そうで何より】


【今度はダンジョン?】


「ダンジョンだよ。そのうちまたエリアボスとも戦う予定」


 今日は大久野をとっちめた配信振りの配信である。枠は雑談なので、ダンジョン探索の様子の配信はまた今度である。


 前回出雲でヨキたちと特訓をしていたのだが、その時は配信をしていなかった。理由は楽しかったから。


 ダンジョンの夜は暇なのだ。暗視のスキルがある鈴鹿にとって夜の中でわざわざ戦う必要はなく、かといってご飯を食べた後はやることもない。本を読んだりするが、それくらいだ。けれど、配信を始めてからはそれも変わった。単純に誰かとおしゃべりしながら過ごす夜は楽しかった。なので、ダンジョンに行ってる時はよく雑談配信を夜にしていたのだ。


 けれど、今は違う。今はヨキも灰ヶ峰もいるのだ。話し相手には事欠かない。そんな経緯もあって、前回は配信せずに探索を終えたのだ。ただ、視聴者をないがしろにするつもりもないので、今回配信することにした。パーティ結成の報告もする必要がある。


「さてさて、ちらほら質問も飛んできてるけどその前に、みんなに報告することがございます」


【怖い怖い怖い】


【狂鬼さんの報告予想できなすぎて怖いんですが……】


【またヤクザ潰すのか? それとも世直しのために国外行脚(あんぎゃ)始まる?】


 いろいろと憶測のコメントが飛び交う中、鈴鹿は気にせず発表する。


「実はパーティを組むことになりました! 今日はパーティメンバーの紹介をするよ」


【狂鬼さんの……パーティ?】


【特級すら簡単にほふった狂鬼さんに??】


【まさか……剣神!?】


「残念。剣神じゃないよ。今後一緒にパーティを組むことになった、ヨキちゃんです」


 カメラを動かし、焚火で暖をとっているヨキを映す。


「初めまして、ヨキです。狂鬼様とは大きく実力に乖離かいりがありますが、精進しょうじんしてまいります」


 ヨキが丁寧にスマカメに頭を下げて自己紹介をする。ヨキは三人の中では弱いが、世間から見たら十分強い。ステータスも悪くなければ、スキルもそれなりに揃っている。このまま2層5区のエリアボスを倒していけば宝珠によってスキルも充実するだろうし、無茶な訓練によってさらにスキルにも磨きがかかることだろう。


 それは画面を通しても感じられるはずだ。探索者の強さは対面すれば内包する力などでもわかるものだが、それ以外にも簡単に判別することができる。それが容姿だ。ヨキは存在進化の影響を受け美しい角や尻尾が生えている。これだけで探索者として実力があることが確認できるだろう。さらに、その整った容姿。鈴鹿にも負けず劣らずの美しい顔は、彼女のステータスの高さを表している。


 陽の光がないために深くくらい紺色の角や尻尾は、焚火の光を反射してつややかな藍色を浮かび上がらせている。毛先に行くほど淡くなる美しく長い髪は下ろされていて、枝毛すら見当たらない髪が彼女の動きに合わせて揺れ動く。白くきめ細やかな肌に整った目鼻立めはなだちは、まるで絵画から抜け出してきたような美しさをたたえていた。


【めっちゃ綺麗なんですが……】


【え、こんな美人な人どっかのギルドにいた?】


【美しい。それに存在進化先が竜種とは縁起がいい】


「ヨキは在野ざいやの探索者だからね。多分みんな知らないよ。俺が発見した逸材だから」


 そもそもヨキは狂鬼の面で強制的にレベルが一気に上がった結果のため、知っている者がいたとすれば知ったかぶり以外の何者でもない。ヨキは鈴鹿が逸材と褒めたことで照れているが、焚火のおかげで画面の視聴者にはバレずに済んでいた。


【狂鬼さんがパーティに加えるってよっぽどだぞ】


【ソロの狂鬼さんが良かったのに……がっかり】


【わ、私の席が……!!??】


 ヨキについてはzooに報告した時と同じように視聴者からはすんなりと受け入れられた。一部コメントが荒れているが、気にする必要はないだろう。


 鈴鹿の探索の仕方は鈴鹿が決めるのだ。パーティの方が楽しそうだと感じたからパーティを組むし、強くなれると思うからパーティでは戦わず各々エリアボスと戦っているのだ。死を伴う探索であろうとも二人は付いてきてくれる。それができる稀有な人材であり、得難い仲間なのだ。


【狂鬼さんカップル配信に転向する感じ?】


「ん? ああ、ヨキもそうだけど、パーティはもう一人います。デデン! 灰ヶ峰くんです」


「前回の配信でも出ていたが、灰ヶ峰だ。これから狂鬼とパーティを組むことになった。よろしく頼む」


 真っ赤に濁った血だまりのような眼をスマカメへと向ける灰ヶ峰。灰ヶ峰も鈴鹿やヨキ同様に抜群に容姿が整っている。よどんだ瞳はマイナスかもしれないが、顔の造形は彫刻の様な美しさである。鈴鹿同様魔力の影響を受けず黒髪の灰ヶ峰は、身長も高く気だるげな眼が一部の女性にぶっ刺さりそうな容姿をしていた。そこに元ヤクザというバイオレンスな要素も加わった男だ。


 ヤクザというにはいかつさが足りない顔をしているが、冷酷さという意味では灰ヶ峰はヤクザである。自分自身の感情が薄いからか、えげつないことでも淡々と行う。標的が女子供であろうとも、倫理観など分娩台ぶんべんだいに忘れてきましたとばかりに、やる価値があると判断すれば一切のためらいも見せずに実行する。


 それは視聴者にも伝わっていることだろう。なぜなら前回の配信で灰ヶ峰は自身が所属する蜥蜴の悪事をツラツラと語ってみせたのだ。それを実施してきた側である灰ヶ峰に良い印象を抱く者はいない。いるとすれば灰ヶ峰の顔だけしか見れない者だろう。


【いやいやいや、冗談きついって狂鬼さん】


【なんで蜥蜴の人生きてるの? 蜥蜴って全員死んだんじゃないのか?】


【どういうこと? なんで蜥蜴の幹部が仲間になるんだよ!】


 やはり灰ヶ峰はなかなか印象が悪いようだ。当然だが。素直に受け入れてはもらえない。それを理解しているから先にヨキを紹介したのだが、ヨキの流れでさらっと紹介できると思ったがやはり難しいか。


「あ~、整理すると、蜥蜴は壊滅した。これは間違いないね」


【ぼやかされてるけどニュースでもやってるよね】


【あの巨大探索者のヤクザ組織がほぼほぼ全滅したからな。蜥蜴が壊滅は正しい】


【蜥蜴滅ぼした功績は教科書載るレベルの偉業】


【けどそこにまだ幹部が残ってるってこと? これから狂鬼さんが死刑するの?】


「しないよ、しない。灰ヶ峰も当初は自分がしてきたあやまちから自殺しようとしてたんだけど、俺が引き留めて仲間になれよって誘ったんだ。もちろん無理やりじゃないよ」


 無理やりは鈴鹿の信条に反するためしていない。当然あそこで断ったとしても鈴鹿は灰ヶ峰の意志を尊重して好きにさせただろう。断ったからといって殺すことも無い。それは鈴鹿の中の道理に沿わないためだ。


 ヤクザを放流するなんてと思うかもしれないが、鈴鹿が気にすることではないので気にせずする。その結果灰ヶ峰が復讐を誓い今度こそ鈴鹿の身内に標的を定めて身内が害されたとしたら、それは鈴鹿の見る目がなかっただけである。凄まじく後悔するだろうしやるせなさで気がおかしくなるかもしれないが、ifの話ばかりを考えても仕方がない。鈴鹿は深く物事を考えられないのだ。今したいと思ったことをするだけである。


【訳が分からない。許されないだろそんなこと】


【狂鬼さんも裏で繋がってたってことなのか?】


【自分が何してるのかわかってるのかよ!!】


「ん? 何かしてるの?」


 珍しく、鈴鹿がコメントに意見する。


【そいつは犯罪者集団の幹部で、この前の配信でも自慢げに犯罪歴をベラベラ語ってたような奴じゃんか。そんなやつと仲間になるなんて、お前もそっち側の人間だったってことか!!】


「ん~、まぁよくわからんが、君には君の理屈があって、俺には俺の理屈があるからな。灰ヶ峰は灰ヶ峰で警察に出頭したけど帰されたんだよな?」


「ああ。蜥蜴の内情や現状について説明しに行ったな。俺については不起訴以前に逮捕状も発行されていない。前回配信で語った内容は、あくまで蜥蜴という組織が行ったことであり、代表である大久野にまつわる犯罪履歴だ。俺の犯罪を語った覚えはないぞ」


 鈴鹿がヤスや雨道うどうに会っている間、灰ヶ峰は出頭していたらしい。鈴鹿とパーティを組む以上、指名手配のままでは鈴鹿の足を引っ張りすぎる。鈴鹿という超越者に対して警察が何かできるとは考えていないが、今回の狂鬼事変の後始末も含めて一度清算しにいったそうだ。


 警察に出頭した時点で即刻死刑が行われる可能性もあったと思うのだが、そこは灰ヶ峰の想定通りに事が進んだらしい。国は狂鬼に手を出せないという、虎の威を借る作戦がはまった。


 当然警察側も灰ヶ峰の出頭に色めきだち、証拠を搾り取れるだけ搾り取って探索者法に則って殺そうとした。だが、それはできなかった。理由は簡単。灰ヶ峰が現在狂鬼とパーティを組んだことも報告したからだ。


 不撓不屈の永田経由で鈴鹿に連絡すれば、裏取りは簡単に取れた。特級だろうと一級だろうと、蜥蜴に関わる人間をことごとく殺しつくした狂鬼が、仲間に引き入れた人材。誰が手出しできるというのか。そもそも狂鬼が今回の凶行に及んだ理由が、友人を含む身内を狙われたからだと配信で言っていた。では、パーティという狂鬼の身内になった灰ヶ峰を殺した時、狂鬼の怒りの矛先がどこに向けられるのか。彼らが灰ヶ峰を無傷で解放した裏には、狂鬼の大きすぎる影がちらついていたからに他ならない。


 こうして灰ヶ峰は指名手配が解除され、鈴鹿と共にいても何も迷惑をかけない身分を手に入れた。


 もはや警察が機能していないように感じられるが、それもしょうがないのだ。鈴鹿が本気で暴れた時、2名の剣神以外は誰も止められない。剣神ですら、必ず鈴鹿を仕留められるともわからないのだ。ダンジョンによって地上に放たれた怪物を、人類は制御することはできない。


 それはまるで神の如き存在。神の機嫌を損ねないようにおもんぱかり、神の理不尽なる力が降りかからないように贄を差し出す。それが灰ヶ峰の自由であり、その程度なら安過ぎる対価であった。当然だ。そもそも蜥蜴が壊滅したのは鈴鹿のおかげであり、灰ヶ峰が出頭したのも鈴鹿のおかげなのだから。鈴鹿がいなければ灰ヶ峰どころか蜥蜴の壊滅すらできていたか怪しい。ここまで完膚なきまでの消滅は不可能だっただろう。そう考えれば、おつりがくるほどだ。


 そんなわけで、灰ヶ峰は現状普通に生活していて問題ないことになっている。過去に何をしていたかは知らないが、鈴鹿が生きている間は罪に問われることも無い。


【そんなの嘘だろ。適当言ってるだけ】


【違うね。探索者なんだから拘束できないだけだな。特権階級かよ】


【幻滅だわ。していいこととそうでないことの区別もできないのかよ】


【アホすぎ。ソロだから人気だっただけで、犯罪者とパーティ組むとか堕ちたな。つまんな】


 鈴鹿を擁護する声もあるが、まぁいろいろと好き放題コメントが流れてくる。芋虫西成から言わせれば、舐められてるんだろうな。どうでもいいが。


 鈴鹿は温まったパスタをとりわけながら、コメントに返答する。


「俺はさ、別にお前らのために探索してるわけじゃないんだよね。色んな景色見たくて、強くなりたくて、美味しいご飯が食べたくて、ただ楽しくて探索してるんだよ。その一つに、俺が見てる景色を配信したらみんなも楽しいかなと思っているだけでさ。決して、君を楽しませるためだけにダンジョン探索してるわけでも、パーティを組んでるわけでもないんだよ」


 パスタをとりわけながら鈴鹿はスマカメを見る。いつしか瞳孔が縦に長くなり、黄金の瞳はぎらついていた。


「だから、見たくなければ見なければいいし、文句が言いたいならコメントしていればいい。けど残念ながら俺は何一つ変わらない。やりたいことをやるし、この二人が俺にとって自慢のパーティメンバーだと思っているからパーティを解散する気はない。そして、事前に言っておくが俺やこいつらに対して一線越えるようなことしたらどうなるかは理解しておけよ。匿名だから問題無いなんて思わないことだ。何故だか俺はネットの先のお前のことを存在ごと消すことも容易そうだからさ」


 理屈はわからない。だが、喧嘩を吹っかけてきたコメントに対して、その大元を消滅させることもできる気がする。できる気がするならできるだろう。この程度でそんなことをするつもりはないが、個人情報の晒しなどした暁にはしてしまうかもしれない。


「ま、とはいえ灰ヶ峰に文句がある奴もいるよな。被害者ならなおのことだ。だから文句があるなら直接来い。灰ヶ峰には復讐しに来た奴とは正面から戦えって言ってあるから、こいつ殺したかったら正面から来い。それなら俺も認めるし、それで灰ヶ峰が殺されても仕方がない」


 灰ヶ峰に挑むということは探索者だ。探索者ならば正面から来い。正面から来るならば、灰ヶ峰はそれを受ける義務がある。今まで散々やってきた行いのツケだ。だから、その結果灰ヶ峰が死のうとも、鈴鹿は蘇生しない。それが灰ヶ峰の人生だと割り切って終わりだ。


「もちろん、俺に文句があっても同じだ。正面から来るならちゃんと対応しよう。間違っても、人質なんて取ろうとしないでくれよ。あ、ヨキについてはそもそもそんなことしちゃダメだからね。ヨキは蜥蜴とも無関係だし、ヤクザでも何でもないから。勘違いして絡んできたら、俺が相手するからね」


 コメントに一応釘をさしておく。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。灰ヶ峰憎しで鈴鹿まで恨むのは別にいいが、ヨキに飛び火することは許さない。


「はい、ご飯」


「ありがとうございます」


「ありがとう」


「じゃ、そんな訳で、見たい人だけ残って飯にしましょ。いただきま~す」


 エビやホタテがゴロゴロ入ったペスカトーレ風スープパスタを食べながら、アンチ沸き立つコメントの中から建設的な質問を選んで答えていくのだった。

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― 新着の感想 ―
最高に狂ってるなあ、爽快!
痛烈な皮肉 最高の回でした 自分は支持しています
書籍化するから感想欄に嫉妬民がわいてんのか。 なろうじゃこの作品が最近の楽しみなので便所の落書きと思って気にせず好きに作品書いてくれることを祈る。
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