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第93話 河原でバーベキュー


「よし、今日はここまでだな」


「ふう〜2人ともお疲れさま」


 昼休憩を挟みつつ、日が暮れる前に川のほとりへと降りていく。


 今日も特に魔物などと遭遇することはなく、無事に目的地へと到着した。空を飛んでいると魔物に遭遇する可能性はかなり低いらしい。やはりあのクラウドワイバーンに遭遇したのはよっぽど運が悪かったみたいだな。


 このまま予定通りいけば明日には目的地の街へ到着する予定だ。


「簡易式の結界を張ったからこの周辺には魔物が寄ってこない。あまりここから離れないように」


「うん、絶対に離れないから大丈夫!」


 リリスが湖の小屋にある結界を作り出す魔道具の簡易版を設置する。小屋の結界のように周囲の魔力とやらを取り込むことができるほど大規模ではないので、それほど広範囲ではないらしい。以前レジメルの街へ行く時にも使ったキューブ状の魔道具である。


 リリスに言われなくても危険のある場所でみんなから離れるつもりなんてこれっぽっちもない。


「それじゃあ手分けをして準備をしよう。そっちのテントは任せるね」


「おう、任せとけ」


「昨日組み立てたから大丈夫」


 少し休憩をしてから手分けをして準備を始める。ヴィオラとリリスはずっと魔力を使っていたので、だいぶ疲れているはずだ。俺もヴィオラに飛行魔法をかけてもらっていただけだが、結構疲れてしまった。ハリーの方はキャリーケースが窮屈だったらしく、今はその辺りを走り回っていた。


 今日はこの川の横で野営をする。この近くにちょうどいい村や街はないらしい。遠回りするという選択肢もあったが、結界の魔道具もあるから1日は我慢だ。


 俺とハリーは晩ご飯の支度をしつつ、ヴィオラとリリスにはアウトドア用の大型のテントを組み立ててもらう。今回はヴィオラが加わったけれど、元々大きなテントを購入していたこともあって、十分な広さがある。


 前回は俺が組み立てたけれど、昨日家の庭でみんなも一緒に組み立てた。リリスはちょっと背が足りなかったけれど、魔法を使えば問題ないからな。


「さて、こっちは火をおこして食材の準備だ」


「キュキュウ!」


 リリスの収納魔法でできた料理を持ってきてもらってもよかったが、外で野営をするわけだし外で食べるバーベキューにした。せっかく遠くまで来たのだから、この雰囲気も楽しむとしよう。といっても食材の下ごしらえとか面倒な部分は昨日家で準備しておいたぞ。


 収納魔法から出してもらったアウトドア用のバーベキューコンロを組み立て、炭と着火剤を用意する。今回は今まで使っていたバーベキューコンロを新調してコンロの周りにテーブルが付いている大きな物にした。これがあれば焼き肉屋で食べるように食卓を囲みながらバーベキューをすることが可能である。


 アウトドアショップのお店に行くとつい新しいキャンプギアがほしくなってしまうな。これもお金に余裕があってこそだが。




「おお、こいつはうめえな!」


「いろんなタレの味があって、どれもおいしい!」


「キュキュウ~♪」


 テーブルの皿の上に載った食材を次々と焼いていくが、みんな食欲旺盛なため、焼けた端から次々と肉が消えていく。まあ、肉は山ほど買ってあるからなくなることはないだろう。それほど高級な肉でなくとも日本の焼き肉のタレがあればおいしく食べられるのである。


「肉を薄く切って、その場で焼きながら食べるのは面白い。焼き立てでアツアツのお肉が楽しめる」


「俺の世界だとこういうシステムのお店は結構あるんだよ。焼き加減も自分の好きなようにできるし、みんなで調理しながら食べるのは楽しくていいよね」


 今では焼き肉屋でよく見かける光景だが、調べてみたら日本で客自身に焼いて食べてもらうシステムはできてから100年も経っていないらしい。こっちの世界でも俺の世界の焼き肉屋のようなシステムはないみたいだ。


「同じ肉でもタレを変えるだけで味が全然違うんだな。俺はこいつの味が好きだぜ」


「私はこっちのタレの味が好き!」


「キュ、キュウ!」


「ふむふむ、なるほど。俺はこいつが好きかな」


 それぞれが一番好きなタレを指差す。せっかくなので今回はタレを5種類用意してみた。


 ヴィオラは某有名焼き肉店の味噌ダレ味、リリスはド定番の甘辛醤油味、ハリーは韓国風の少しピリ辛なコチュジャン味、俺は大根おろしの入ったおろしダレと綺麗にバラバラになった。もうひとつは塩ダレで、スーパーに行けばこの何十倍もの焼き肉用のタレが販売しているのだから、改めて考えてみても日本人は焼き肉が好きだよなあ。


 普通なら賞味期限もあって一度にこれだけの種類は買わないけれど、収納魔法のおかげで冷蔵庫以上に保存できる。焼き肉のタレは野菜の炒め物にも使えるから便利なんだよ。


「ぷはあああ~! どの肉もビールによく合うぜ!」


「うむ、そいつはヴィオラに同意だ」


 やはりバーベキューといえばビールである。このキンキンに冷えたビールが焼いた肉や野菜によく合うのだ。他にもワインやハイボールなどいろいろな酒はあるのだが、今日は野外ということもあってビールだけにしておこう。


 それにしてもたまには外でみんなでワイワイやるのも楽しいものだな。俺の友人である雄二はキャンプやバーベキューが好きなのだが、その気持ちが少しわかった気もする。


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