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第55話 アプリとカツ


「ケンタ、これは何?」


「これはアプリといって、それぞれがいろんな機能を持っているんだよ。アプリをダウンロードすればさらにいろんな機能を拡張できるんだ」


「あぷり、だうんろーど?」


「キュウ?」


 軽いお昼ご飯を食べてからリリスにプレゼントしたタブレットの説明をしていく。ハリーも定位置の俺の肩の上でその様子を見ている。


 もちろんリリスはこちらのことを知らないので、本当に一からスマホやタブレットのことについて説明をしていく。


 今思うと現代っ子はスマホやタブレットの扱いにだいぶ慣れている。今では小学生でも使いこなせているもんなあ。


「……すごい、こんなに簡単に計算ができるし、紙のようにたくさんの文字を保存できる。このカメラという映像を切り取る機能はこれだけで古代の魔道具以上の価値がある!」


 電卓アプリやメモアプリなど、俺達にとっては当たり前のアプリに毎回反応を示してくれるリリス。俺としてもタブレットをプレゼントした甲斐があるというものだ。


 それにしても、改めて考えてみるとスマホやタブレットってとんでもない代物だよなあ。リリスの言う通り、カメラアプリだけでもとんでもない性能をしているよな。


 しかも一年ごとに新型のスマホやタブレットが開発されて売り出されているのだからすごいことである。


「あとこっちのアプリは俺のスマホに連絡できるんだ。もしも俺が鏡の向こうにいる時に緊急事態があれば連絡してね」


「……遠く離れた場所に連絡できるこの機能だけでもどれだけ価値があるかわからない」


 確かにこのメッセージアプリだけでもとんでもない機能だ。とはいえこれは電波のあるこの周辺しか使えないけれど。


「この地図のアプリもすごい。ケンタの世界の地図がものすごく細かいところまで分かる」


「それぞれの店の情報を調べられたり、行きたい場所の行き方の検索までできるからね」


 元の世界からWi-Fiを使ってネットを繋いでいるから、マップアプリの位置は俺の家になっている。マップアプリもこれだけでだいぶ便利だ。


「地図を広げていくと丸い球体の地図になったけれど、これはどういうこと?」


「ああ~こっちの世界だともう常識なんだけれど、世界は平らな地面がずっと続いているんじゃなくて、丸い球体の惑星という星になっていて……」


「?」


「キュウ?」


「詳しくは天動説とか地動説とかで検索すれば出てくるかな」


 確かに普段立っている地面が丸いとか言われても最初は何を言っているのかわからないよなあ。


 そのあたりの説明や経緯は世界の歴史で習ったガリレオ=ガリレイさんたちに任せるとしよう。




「ケンタ、これは?」


「これはね……おっと、もうこんな時間だ。そろそろ晩ご飯を作らないと。こっちのアプリを使えば大体のことを教えてくれるよ」


「わかった、ありがとう」


 簡単なお昼を食べてからはタブレットに夢中になっていたリリスの質問へ順番に答えていった。


 それこそタブレットで調べればすぐに出るのだが、最初はアプリの簡単な使い方だけは教えてあげないと。ちゃんとAIのアプリを入れておいたから、これで聞けば大抵のことはわかるだろう。


「ハリー、家に戻って晩ご飯を作っているよ」


「キュウ!」


 ハリーは最初タブレットに興味津々だったけれど、途中から飽きてしまったようで、湖の小屋の周りを走っていた。晩ご飯は家で作ると伝えたところ、俺と一緒に来るみたいだ。


 さて、今日は昨日二人から希望のあった料理を作るとしよう。




「お待たせ、今日はトンカツならぬワイバーンカツだよ」


「キュキュウ♪」


「これがカツ!」


 今日の晩ご飯はクラウドワイバーンを使ったカツである。


 昨日のクラウドワイバーンを使ったステーキは本当においしかったし、どんな味がするか楽しみだ。


 ちなみにリリスを呼びに行くと、すごい集中力でタブレットに集中していた。まあ、熱中する気持ちも分かるけれど、カツは揚げ立てが一番おいしいので、ちょっと無理やりテーブルまで来てもらった。


 残念そうにしていたリリスだけれど、湯気が立ち上り、厚い衣をまとったワイバーンのカツを見ると、こっちにも興味を示したようだ。


「まずはそのまま食べてみよう。中はとても熱いから気を付けてね」


「キュウ」


「わかった」


 揚げたトンカツは俺の方で一口サイズに切ってある。トンカツといえばソースだが、まずはトンカツの味自体をちゃんと味わいたいため、そのまま食べてみる。


「おっ、こいつはいけるな!」


 ワイバーンカツを一切れ口元へ運ぶ。


 サクッと響く衣の音に続いて、ジューシーな肉の旨みと脂の旨みが口の中いっぱいに広がってくる。


「おいしい! 食感がよくて、中までアツアツ!」


「キュキュキュウ♪」


「次はこっちのソースをかけて食べてみよう」


 カツといえばソースである。


「っ!? 変な色からは想像できないほど濃厚な味! いろんな野菜や香辛料の複雑な香りが混ざり合っている!」


 確かにソースの色は黒っぽくて見た目はちょっとアレかもな。


 うん、やはりカツにはソースだ。しかしクラウドワイバーンの肉の味はすごいな。普通のトンカツだと、肉の味よりもソースの味がだいぶ主張してくるけれど、クラウドワイバーンカツは濃厚なソースの味にまったく負けていない。


 昨日のステーキもすごくおいしかったが、このカツもそれとは違った味わいでおいしかった。


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― 新着の感想 ―
タブレットを渡してしまった……………… 1回、検索で、第二次世界大戦の記事とか読ませると、1発で、武器とかを作ろうとするなと言った意味を理解してくれると思う(゜ー゜)(。_。)ウンウン
ワイバーンの種類が変わってませんか?
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