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第20話 異世界のお金


「なるほど、ここから3日間くらい歩けば街があるんですね」


「うむ。この辺りでは一番大きな街じゃな。いろんな場所からたくさんの人や物が集まってきておるぞ」


「何度か行ったことはあるが、本当にこの村とは比べ物にならねえほど大きいぜ」


 おいしい料理とお酒を楽しみつつ、村長さんやザイクからこの辺りの情報を教えてもらっている。


 どうやらこの村の近くに街があるらしい。徒歩3日が近いかは微妙なところだけれど、この世界では近い方なのだろう。


「街へ入るためには銀貨1枚が必要ですな。ケンタ殿はまだこの国の通貨を持っていないとのことなので、明日お渡ししましょう」


「ありがとうございます、とても助かります」


 この国で使用されているお金についても教えてもらった。この国では金貨、銀貨、銅貨が主に使用されているらしい。


 ものすごく大雑把に日本円に換算すると、金貨が1万円、銀貨が1000円、銅貨が100円ほどになる。ほどんど使われないが、金貨100枚分、つまり100万円分の大金貨という通貨もあるらしい。


 街の中に入れば両替商や持ち物を買い取ってくれる店があるらしいけれど、街へ入る際にお金を持っていないとどうにもならないからな。


「ケンタもここにいる間はこの村に住めばいいのによ」


「ザイクの気持ちはとても嬉しいけれど、俺には帰る場所もあるからこの村に住むわけにはいかないんだ。でもしばらくはこの湖の反対側で野営をして過ごしているから、またハリーと一緒にこの村へお邪魔させてくれると嬉しいな」


「キュウ!」


 俺のことは別の国からハリーと一緒に旅をしている旅人ということにしておいた。この国にはまだ来たばかりで何も知らないからということで、お金のことや街のことを一から教えてもらった。


 出会ったばかりでそう誘ってくれるのは嬉しいけれど、俺には元の世界に家とお金があるわけだしな。


「ケンタ殿とハリー殿ならいつでも大歓迎ですよ。さあ、もっと飲みましょう!」


「ええ、ありがとうございます」


 ハリーがザイクの命の恩人であることとお酒の手土産を持ってきたこともあるかもしれないが、この村の人たちはみんな良い人みたいだ。初めてこの異世界へ来た時は凶暴な魔物と遭遇してしまいどうなることかと思ったけれど、ようやくいい縁に恵まれたようだ。


 マウンテンバイクだとそれほど遠くないことがわかったことだし、またお邪魔させてもらうとしよう。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「それではお世話になりました」


「キュキュ!」


「またいつでも来てくだされ」


「俺たちもまた会いにいくからな」


「ああ、待っているよザイク」


 翌日。村のみんなの見送りを受けてハリーと一緒に村を出る。


 昨日はいつも以上にお酒を飲んだこともあって、それほど寝心地の良くないベッドかつ初めて来る村なのにぐっすりと眠ることができた。意外と俺は図太いのかもしれない。


 朝食をご馳走になり、先日のダナマベアと昨日の酒のお礼ということで、リュックに入る限界まで野菜と魚をいただいた。この野菜と魚はとってもおいしかったし、持って帰って料理を作るのが楽しみだ。


「ケンタお兄ちゃん、ハリーちゃん、また来てね!」


「また来るよ、ミレルちゃん」


「キュキュ」


 ザイクの娘であるミレルちゃんとも約束をしたし、またお邪魔させてもらうとしよう。




「ふう~無事に到着したな」


「キュウ!」


 帰りも行きと同様にマウンテンバイクに乗って湖の反対側の小屋まで帰ってきた。


 帰りは一体のゴブリンと遭遇したが、マウンテンバイクのスピードにまったくついてこられなかったので戦闘にはならなかった。ベリスタ村のみんなからもらったお土産もあって重かったけれど、俺も怖かったから必死で漕いだもんなあ。


 たぶん明日は筋肉痛になりそうだ。すでにだいぶ足が疲労している感がある。


 でもこれであの村までは問題なく往復できることがわかって一安心だ。ベリスタ村から三日で行けるという異世界の街も少し興味があるけれど、さすがに外で野営をするのは怖いからそれはやめておくとしよう。


「家の方も変わりはないみたいだ。もらった魚は冷蔵庫に入れておいて、先にお風呂へ入ろうか」


「キュウ~♪」


 鏡を通って家へ戻り、お土産の魚を冷蔵庫に入れる。今日の朝漁に出て獲れたての魚らしいから楽しみにしておこう。


 あと村の生活もよかったのだが、あの村にはお風呂がなかったのは残念だな。聞いた話によると、身体はあの湖の水で洗うだけのようだ。マウンテンバイクで結構な距離を走って来て汗だくだ。まずは汗を流して疲れを取るとしよう。


 この後の昼食はもらったばかりの魚と野菜で何か作るとしよう。


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