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 ヴァーナードからの指輪は、色々と魔法陣を施したりしたいから、待って欲しいと言われた。


 それと、ヴァーナードには内緒で出かけたい時は、人をつけるから絶対に一人で出歩かないようにとお願いされた。それは内緒のお出かけではない気もするが、代わりにたまに一緒にお出かけしてくれるから一人でお屋敷から出ないと約束した。


 約束のおかげでたまにヴァーナードと一緒にお出かけできるようになった。


 嬉しい。


「新国王の戴冠式に出ることになった」


 ヴァーナードがいつもより早く帰ってきていう。


 つまり、今度のお出かけはその戴冠式なのだろうか。


「あれ、最近王様が亡くなって、子供がなったって聞いた。小さいのに王様なんて大変だね」


 女王様の夜会で紹介していた子供が王様になったと聞いた。


「ああ、そちらは小さすぎて王様の勤めはできないと判断された。私たちが行くのは別の王……アリアも知っているだろう。ヴィクタが王になることになった」


「ヴィクタ……ああ、ユナちゃんのことが好きな! じゃあ、ユナちゃんが女王様になるの?」


 ユナちゃんなら、賢いし優しいからきっといい女王様になれるだろう。


「いや、おそらくは政治を安定させるため、貴族と縁付くことになる」


 そう聞いて、ちょっと残念に思う。


「ユナは、結婚を考えていない。できるだけ自立して生きたいようだ。私から誰かを紹介したりはしないが、友達としてアリアが話をするのは好きにするといい」


「今度恋バナをするっ」


 ユナちゃんは法律の勉強もしていたし、とてもカッコいい女の子だ。だからこそ、もしヴィクタくんが好きなら応援してあげたい!


「アリアは、ヴィクタが国王でいいと思うか?」


「んっと、よくわからないけど。ヴィクタくんいい人だったし、頑張り屋さんだから。前の王様、一緒に踊った時、お尻触ってきたりしたからあんまり好きじゃないから。ヴィクタくんの方が、きっといい王様になれると思う」


 政治とか王様の仕事は知らないけど。


「……前の王に、他に何かされたか?」


「えっと、なんだっけ、ベッドにくれば、天国を見せてくれるって言ってたけど、天国は死んでから行くところですよって、教えてあげた」


 ヴァーナードが珍しく微笑んでいる。


「あ、でも、ヴァーナードのベッドは好き」


「っっ」


 いうと、何も飲んでないのにヴァーナードが咽込んだ。


「えっと、ヴァーナードは、お尻触ってもいいよ」


「そういうことは言わなくていい」


 注意されてしまった。


「それで、無理にとは言わない。参加するなら、衣装の準備もあるからな」


「前の夜会の時は怒られたけど。参加していいの?」


 本当はそういうのに参加したり、奥様たちとお茶会するのも貴族の奥さんの仕事だ。だけど、ヴァーナードはそういうことはしなくていいと言っている。


「アリアが参加したいならな。それに、まだ時間がある。悩んでるなら、ドレスだけ作っておいて、後で決めてもいい」


「ヴィクタ君ならお祝いしたいから、参加する」


「わかった」


 許可が出た。


「それと」


 ヴァーナードが話を変える。


「ブルームバレー国に行きたいと言ってただろう。仕事の目処が立ったから、卒業式の後で出発できるようにする。それまではくれぐれも勝手に行こうとしないでくれ」


「……覚えててくれたの?」


「忘れられるわけがないだろう」


 私はすでになんで行きたかったかちょっと忘れているけど、ヴァーナードと旅行に行けるのは嬉しい。


「シファヌに準備するように言っておく」


「はぁい」


 嬉しいと思って、思い出したことがある。


「あ、ヴァーナード。今日はもうお仕事ない?」


「どうした?」


 怪訝な顔を返されてしまった。


「えっとね、一緒にしたいことがあるの」


「なんだ。お茶か? 菓子でも食いたいのか」


「えっとね。一緒に、お風呂に入ってみたい」


「……」


「今日読んだ本に書いてて、私もヴァーナードと一緒にお風呂に入りたいなって。だめ?」


 ヴァーナードがキツく目を瞑った後、なぜかシファヌ先輩の方を見た。


「ご主人様、湯場の用意をしてまいります」


「違うっ」


「ご安心ください。その後は有給を取らせていただきます。あとは自力で頑張ってくださいませ」


 シファヌ先輩は仕事のできる人だ。なんの合図か、親指を立ててそういうと、ヴァーナードの返事を待たずに寝室の奥にあるお風呂場へ去っていった。


「っっっ」


 ヴァーナードが何故か頭を抱えている。



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