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強襲

「天然人たらしな世界最強の皇女、異世界に転生し新たな生を満喫する」の第二話でございます!!是非最後までお楽しみください!!

えー…あとですね、こちらも大変長らくお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。

ビュン───



「…!」



なんだ?今の影は…雲…ではないな。あまりにも通り抜けるのが早すぎた。

それに妙な違和感を感じる。まるで何かに狙われているような……



ビュン───



「…まただ。」


「…ここは一度警戒して中に戻るべきだな。」



そう思って、カウラ嬢の方を向こうとしたその瞬間、黒い鳥のような大きなものが、カウラ嬢目掛けて飛んでくるのが見えた



「カウラ様───!」


「え?」



ザシュッ!



「ぅぁ゛!」



余は思わずカウラ嬢を庇い、背中を思いっきりあの大きな爪で引っ掻かれてしまった。

まずいな、この子供の身体ではだいぶ致命傷だ。



「っ…カウラ様…お怪我は、ぐふっ……あり…ませんか…?」


「ぇ…ぁ…ぁ…ッ」



カウラ嬢の顔を見ると、余の血が少し顔に付いてしまっていた…申し訳ないな。

かなり気が動転しているようで、ずっと口がパクパクとしている。でもとりあえず怪我とかはないようなので安心だ。



「くそっ…奴め…どうしてくれようか…」



まずい、安心したら急激に怒りが込み上げてきてしまった。頭では大事なお客様の前で粗相をしてはならないとわかってはいるが、どうも昔から怒りを抑えるのだけは苦手なのだ。

余は立ち上がり、空の上で余の周りをクルクルと回っている不届き者に手をかざし、一旦挨拶代わりに魔法をぶっぱなしてやろうと思った。



「さて…これで地に落とすことが出来ればいいんだが…」


「せっかくの機会だ!得と味わってくれ…!!」


「黑雷槍───!!」



そう叫ぶと、余の手から少し大きな黒い稲妻を凝縮した槍の様なものをあの鳥目掛けて放った。

しかし、ギリギリ避けられてしまった。

───だがそれでいい。黑雷槍は余が創った魔法だ。それは尋常ではない速度を出せると共に、目標を追尾するのだ。しかもそれは目標に当たらない時間が長引けば長引くほど威力は増し、速度も上がる。これは余の魔力が尽きない限り相手を追い続ける。

だが継続的に魔力が消耗するため、燃費が悪い。それに加えて他の魔法からの耐性が低いため、だいたいの魔法を当てられると相殺してしまう



「だが…貴様は魔法を使えるほどの知恵はないだろう!」


「耐久戦だ、貴様が貫かれて死ぬか…余の魔力切れが先か!」



まぁ正直これの威力は言うほど強くないため、ほんとに血に落とせるだけで十分だと思っている。

とりあえず他の魔法を打つのもいいが…生憎あんなスピードで動く敵に当てられる程の自信はない。

でもその内父上達が騒ぎを聞き付けてやって来るだろう。それまでの時間稼ぎだ。治癒はあまり得意では無いので、こんな大怪我は治せないし応急処置位しか出来ないだろう



「まぁ…やるだけ無駄ではないだろうか…」


「治癒──」


「あー…流石にこれ程の傷ではそもそも効かぬか…」



思っていたよりも傷は深いようだ。出血の量からみて、もう長くはないだろう。

まぁ良い。2度目の人生。あの時みんな死んでしまったはずなのに、余だけ更に4年もの時を生きながらえさせて貰ったんだ。それだけでも十分だろう…。



「カウラ様…最後に…こんなお見苦しいお姿を見せてしまい申し訳ございませんでした。あの鳥は余が責任を持って倒します故、どうか事の顛末を父上達にお伝え願います。」



せめて死んでしまう位なら、せめて死に場所位は選ばせて欲しいな。

父上達には申し訳ないが、余からの最初で最後の我儘だ。最後ぐらい、バチは当たるまい…。



「よし…耐久戦では貴様に分があるようだ。ならばこちらにも考えがある!」


「身体強化───強!」



身体強化の魔法には種類があって、弱と強、烈と鬼がある。

弱は今の10倍。強は30倍。烈と鬼は異次元なほど強化されるが故身体が壊れてしまう。

そして今余が使ったのは強、これ程であればあの高さに届くだろうか。



スッ……ズダァァァン!!



「ほぅ…思ったより飛ぶな。さて、一旦黑雷槍を当てて、その後に追撃をするとしよう」



あの鳥と同じ高さに来た頃に魔力で何も無い空間に床を作り、その上に着地した。

少し邪魔をして黑雷槍を当てようと思ったが、だんだん魔物と黑雷槍の距離が縮まっているのが見えた



「これは…わざわざ邪魔するまでもないな…」



ズガァァァンッッ!!!



『ギョェェェェ!!』



そうこう考えている内に、黑雷槍が魔物に直撃した。流石に長らく放置していた事もあり、その威力は凄まじかった。前の世界とは比べ物にならないほどだった。

そしてそのまま魔物は地に落ちてしまい、もう虫の息といった感じだった。



コツ…コツ…



「なぁ…知っているか?この世界にいるかは知らぬが、カラスという鳥がいるのを。」



コツ…コツ…



「カラスはな、基本的に弱った獲物しか狩らない。なぜなら、個人の能力がそこまで高くないからだ」


「だが、一度狩ると決めた獲物は…絶対に逃がさないし…絶対に狩るのだ」


「なら…もしそのカラスが…とんでもなく強かったらどうなる?能力が秀でていて、獲物を狩ることだけに特化しているとしたら?」


「…当然。例え弱っていなかろうと…先に攻撃を受けていようと───絶対に相手を仕留めるのだ」


「げほっ…かはっ…ぐぅ……はぁ…もう…ほんとに長くはないみたいだな。」


「光栄に思うがいい。たかが1匹の魔物風情が、この余を殺せるのだからな。」


「まぁ、先に死ぬのは貴様だがな」



そして余はその魔物の上に乗り、腕を大きく掲げた。

そしてその腕に魔力を収束させた。



「闇烏───」



その魔力の塊がまるで怪物の手のような形になり、余はその腕を勢い良く振るった。

その瞬間、その鋭い爪は魔物の身体を引き裂き、最早頭はどこかへ飛んでいってしまった。



「…ふぅ…まさか、たかが魔物1匹にここまで追い詰められるとはな…」


「けふっ…ぉぇ…」



だんだん吐く血の量が増えてきている。背中からもとめどなく血が流れ続けていて、本当にもう死ぬのだと実感が出てきた。



「…父上。母上。妹達よ……もうすぐ余も…そちらに行きます…。」


「そしたらまた…皆で……」



そして、余は魔物の死体の傍らで、意識を手放した───




はい、ということで「天然人たらしな世界最強の皇女、異世界に転生し新たな生を満喫する」の第二話、「強襲」でございました!いかがでしたでしょうか?是非とも楽しんでくださったのであれば幸いでございます!!これからもまだまだ投稿していきますので次回もお楽しみに!!

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