モブと夏休み4
ー3月21日ー
"ドカッ"
「あぁ、すいませ」
「ちょっと、どこ見てんのよ!」
「すいません…」
「ふん、なにあいつ」
「雫知り合い?」
「知らなーい」
同じクラスのはずなんだけどなぁ。
ー教室ー
「今日で1年も終わりだね」
「またカンナと同じクラスがいー!」
「私もよ、クラス別でも仲良くしてね!」
「もちろん!」
あーあ、まぁ僕みたいなモブが話す相手なんて……
「よっ!」
「荻窪か」
「なんだよその反応、来年クラス別れるかもしんないんだぞ」
「別に、このクラスに思い入れとかないし」
「あっそー、まあ俺は中野さんと同じクラスだったらいいかなー」
「入学式でかっこいいって言われて一目惚れとか、おとぎ話かよ」
「どっちかといえばラブコメだろ」
「それ以降話してるとこ見たことないけどな」
「ねぇ見て、あいつらぼそぼそ話しててきもーい」
「雫聴こえる」
「あぁごめん」
「……お前本当にかっこいいって言われた?」
「……気のせいかも」
ー秘密基地ー
「どう?」
「うーん、あんまり中野さんとは話さないから、どういう人かまでは……あっ」
「ん?」
「よく、神田さんと一緒にいる」
「進の隣りにいる子ね、あの子もツンデレっぽいし、ヒロインと友達のキャラ被ってるね」
「だよね!優しい路線かおとなしい路線がよかったなー」
「颯きもい」
「……」
「はいはいしょげない、よしよしー」
頭撫で!!このシチュは神!!
「無駄話はそんぐらいにしろ」
「すいません」
今の無駄話カウントかよ。
「とにかく、今は中野雫の処理だ」
「兄さんの言う通りです!さすが兄さん!」
「ブラコンだな」
「ブラコンじゃの」
「2人とも地下行きます?」
「「……」」
「だから無駄話やめろって!お前らもっと真剣になれよ!」
「兄さん、落ち着いt」
「落ち着けないだろ!人死んでるんだぞ!」
「そうだけど……」
「いいか、私たちがやるべきことは、中野雫の処理と過去に戻って世界線を変えることだ」
「よっしゃ、早速行くか!」
「四ツ谷鋼落ち着け!決行は明日だ!」
「えぇ…?明日?」
「私が神田から聞いたの、彼女は明日ラジ館に行くって。わざわざ場所まで教えてくれたよ」
「でも菊と神田さんって」
「仲のこと?別に立川には興味ないし、ただの口実」
「そっか」
「颯、安心した顔だな」
「いや!」
「気持ちは分かるぞー、俺だって幾多の修羅場を乗り越えてきた男だからな!」
「それだめじゃろ」
「細かいことはいいって、それより颯の歓迎会しね?」
「ありじゃ!」
「いいじゃん!兄さんは?」
「まぁ今日は決行しないつもりだったけど…」
「決まりな、俺買い出し行ってくるー!」
「オラもー!」
「いってらっしゃーい」
「私たちは準備してるから、2人ともごゆっくりー」
「……………?!」
「菊?」
「……颯の部屋行こ、話したいことがある」
「うん」
「実はね、四ツ谷さんにお願いしたの、2人にさせてって」
「そうだったんだ」
え?え??
「あのさ、怖くないの?」
「怖いって?」
「だって私たち、同級生の能力者と戦うのよ?正直、気持ちの整理がつかない」
「そう、だよね、僕なんか能力すらないから、ただのザコっていうかモブっていうか」
「颯には、能力がある、この地球上で、最も強い能力がある、そしてそれに気づく」
「……それも、予知?」
「ただの勘!」
「なんだよそれー」
「私ってさ……」
「……ん?」
「…………」
「菊、どうしたの?」
「……私さ、颯が好き」
「!?」
「……返事は、全てが終わってから」
"ガチャ"
「いっぱい買ったぞー!」
「美味しそー!」
「菊、こっち手伝ってほいしぞい!」
「おっけー!じゃね」
「……」
まじか、このモブキャラである僕が、女子に告白された……
「颯、早く食べよー」
「はーい」
……絶対に、中野さん倒さないとじゃん。