モブと夏休み1
ー7月29日ー
夏休みの宿題を終え、今日は豊田さんと秋葉原デート!楽しみだなぁ〜
「速報です。秋葉原の路上で大規模な火災が発生しました。この事故で」
ん?あれ今日は……7月29日だね。2回目っちゅーわけか死ね!
"ピーンポーン"
誰だ?
「はーい」
「君が日野颯くんか」
せ、先生?!
「な、なにしにきた!んですか……」
「あぁ待った待った、私は弟の方で、兄とはまた別人です」
「?」
「初めまして、小金井武蔵です」
「えっえ?」
「混乱されるのも仕方ないです。実は私たちは、双子なんです!」
「へ、へぇ」
「兄は東で弟が武蔵です!」
「まじかよ…」
「早速ですが、私たちには"タイムリープ"させる能力があります」
「は、は?」
「兄は時を戻すほう、私は、時を少し戻すのと少し進めるほうです」
「な、急に話が飛びすぎでは?」
「まあ私は万能派というわけです。あと時を進めたとき、その間の飛ばした期間は空白、つまりなかったことになります。出来事も、記憶も」
「いや、だから」
「そして、残念ながら兄は行方不明なんです」
だめだ、話聞かないやつだ。
「そこでお願いです。兄を探してください」
「なんで?」
「地球がなくなるからです」
「やばい、これ夢?」
「現実です。いいですか、もとはと言えばあなたが悪いんですからねー」
「僕?なぜ?」
「7月5日、あなたは立川進を助けた。これが原因です」
「……え?」
「元々は幼馴染である高円寺菊が助けるはずだった。しかし君が助けてしまったせいで、世界線が変わってしまったんだ」
「世界線?本当なに言って」
「人の話は、ちゃんと聞いた方がいいですよ。兄さんから教わりませんでしたか?」
「えっ……すいません」
「薄々気づいているでしょ、この世界の一部の人間にはアビリティヒューマンという能力者がいる。あぁ前者のほうはださいから能力者でいいよ」
「はぁ」
「その中に、未来予知できる奴がいてね、その子が言ったんだ。"世界線が変わった。このままでは地球が消える"と」
「……」
「まるでSFだろ?でもこれが現実、現状だ。よし、これを踏まえた上でもう一度」
「……」
「私の兄を、探してください」
「……わかりました、はい」
「ありがとうございます!では今から私の家に来てください。仲間を紹介します」
「急だな」
「時間がないんです、ほら、レッツゴー!」
「ちょっ!」
ー???ー
「なにこの地下?てかどこ?」
「それはもうちょっとしたら説明します。ほら、このドアを開けるとっ、とー」
「広い……」
「みなさーん、日野颯くん連れてきましたー」
「この人たちが、仲間?」
「おぉー……なんだヒョロガリか」
「ヒョロガっ…」
「なんじゃ、顔は悪くないのぉ」
「若い、女性?」
「颯、本当にあんただったんだ」
「高円寺さん?!あなたもここの?」
「えぇ、そうよ」
「よかったー、あの、ここってどんな場所なんですか?ていうか、この人たちとの関係せ」
"ベチッ"
「いっ……」
「おいおい、新人にビンタとは、やるねぇ」
「あんた、ふざけんじゃないよ!」
「なっ」
「あんたあそこに来なければ、こんなことにはならなかった!!」
「菊、それはいかんのぉ」
「どうして?」
「この子は事情を知らなかった、仕方のないことじゃ」
「でも」
「でもじゃない」
「……」
「2人とも喧嘩しないでください。ごほん、改めてまして、ようこそ私たちの秘密基地へ」
「秘密基地、か」
「それでは早速、メンバー紹介!まず1人目はこの大柄でムキムキな子!」
「よろしく、俺は四ツ谷鋼29歳。お前のそのヒョロヒョロも鍛えてやるからな、よろしくな!」
「お願いします」
「続いて、この子!とっても変わった喋り方の子だよー」
「おっす、オラは阿佐ヶ谷雀じゃ、よろしくのう」
「どうもー」
喋り方のくせすご。
「この子女の子っぽいでしょ?」
「そうですね」
「実はこの子ー、男の子なんです!」
なるほど、おとこの娘ってやつか。
「性自認も男じゃぞ!」
「最後はこの子ー!」
「……」
「あれ?高円寺菊さーん?」
「私トイレ!」
"ガチャン"
「ありゃ長くなりそうじゃ」
「ったくー、菊はいつも長いからなー、雀もだけど」
「わしゃしょうがないだろ!見た目女じゃぞ!」
「中身男だろ……」
「んまぁこんな感じで?個性的なみんなだけど、それぞれかっこいい能力を持っている」
「おぉ」
「例えばあれ!」
「壁?てか、すごい跡、誰かが殴った跡…みたいな…」
「ご名答!四ツ谷鋼くんの能力は、この常人離れしたパワー!そしてー」
「よっ、と」
「あ、あれ?なんか体があぁ熱くなってきて…ちょっ、雀やめろ!」
「阿佐ヶ谷さん…?」
「よし、おりゃ!」
「んあっづ!!あづづづ!!」
「はっはっは、愉快じゃ」
「雀、ふざけんなぁぁ!!」
「えい」
「あづづ、あっづー!!颯助けあづづー!!」
「人の体を熱くさせちゃうんだ、最高で太陽と同じぐらいって言ってた」
あの人怒らせないでおこ。
「そして最後、高円寺菊さんの能力は……って言いたいところなんだげど、今は、ね」
「はい……」
「今日中に仲直りすること、それが今日のミッション」
「ミッション、ですか」
「ささ、行った行った」
「ちょっ……」
"コンコン"
「高円寺さん、僕だよ、日野だよ」
「……」
「その、本当にごめん。僕のせいでこんな面倒事にしちゃって、僕決めたから、絶対に小金井先生見つけるから、だから」
「このとうり。と言って、土下座する」
「?!」
"ガチャ"
「そんな頭下げられても、困るわよ、もういいよ」
「高円寺さんって、もしかして」
「そ、未来予知。て言っても、1分先の未来までしか見ないけどね」
「そう、なんだ」
「颯、私も言い過ぎた、ごめん。これからは仲間だしさ、仲良くいこ!」
「もちろん!」
「あとさ、さん付けやめよ、私のことは菊って呼んで?同級生だし……幼馴染だし!」
「……ありがと、菊」
「おぉ、仲直りが出来たようだね」
「はい、おかげさまで…」
「それじゃあ次のミッションだ、内容は、立川進を拘束すること」