モブとゾンビ鉄道3
12号車に入ると、動かなくなったゾンビが数体倒れていて、スーツをきた男性や、怯える女性、そして学生集団がいた。
「おい、脱げ」
スーツの男がそう言った。
「噛み跡を確認する、全部脱げ。お前らは前を見てろ!」
「おい、小さな女の子がいるんだぞ。気持ち悪いロリコンがリーダー気取るなよ」
ちょっと強引すぎたか…
「チッ、そんなの趣味ねぇよ、おい!お団子の女!」
「は、はい!」
「この子の検査しろ」
スーツ男は、怯えていた女、つまりそこにいる団子女を呼び寄せた。
「ご、ごめんね、嫌だよね、こんなお姉さんじゃ」
「ううん、おばさん怖くなさそうだし!」
「おばっ…礼儀のなってないガキね…」
「おい!"立派な"女性が子供にそんな口調かよ、本当におばさんじゃないのか?」
「なっ、追い出さない!あんた、こいつを!」
「落ち着け、こいつらは人だ」
「まぁまぁみんな落ち着いて」
小淵沢がそう諭すと、団子女は落ち着いたが、スーツ男が眉をひそめた。
「待てよ…お前知ってるぞ、数年前に強盗してやつだろ!コンビニの現金盗んだやつ!おいおいこんな奴と組んでる人間信用していいのか!なぁみんな!」
学生集団は、うんうん頷いた。よく見たらこいつら、北町の制服だし…同調圧力に屈しやがって、ふざけんな!と八つ当たりしてたら、身体検査が終わった。
「それで…後ろにいる白衣の人と、そのでっかい人は?」
「我々も彼らと避難してきました」
「……」
「あぁそう、とりあえず俺の名前は」
「興味ない」
「なっ…」
「あの、そこにいる北町の生徒たち、君たちは何してるんだ?」
「いや、こうやって窓の外にスマホを出せば、ちょっとWi-Fi繋がるんですよ、やってみてください」
「なっ、教えてくれよ!何で言わないんだ!」
「だって、ずっと1人で喋ってるから、話しずらかったし…」
「ったく、最近の学生は礼儀を知らないもんな、ゆとりと変わんねぇ」
お前はいくつなんだよ…50ぐらいに見えるぞ。
「それに政府の動きもとろい、テレビニュースもようやく報道してるころじゃないか?snsでは昼からそういうニュースが流れてたんだ、なのに危機感のない奴らばかり、だからみんなゾンビになったんだ。俺は違う、オールドメディアなんかに期待しない。常に新しい……」
あー、やばい奴だ。ネットニュースに長文で批判的なお気持ち表明をしてる正義感強すぎるタイプだ。嫌いなタイプなんだよな…
「あの、お団子さん」
「え?私?いや私は」
「だから興味ないって」
「チッ…さっきから生意気な人ばっか…」
「あなたも、中野の避難所へ?」
「えぇ、知ってるか知らないけど、上野の方は感染した子供を連れてきた家族のせいで崩壊したらしいから」
「そうなんですね…」
「まっ、中野の方も安全かどうか知らないけどね」
「そうですか…」
「ねぇ」
そのとき、少女が俺の袖を掴んだ。
「弟探すの手伝って!」
「あぁそうだったな、前の方にいこう」
「ついていくぞ、少年」
「私たちはここで休んでます、お気をつけて」
「えぇ」
北町の群れを掻き分け、おびえる人たちを避けて前にいく。
「そうだ、名前教えてくれる?俺は颯、呼び捨てでいいよ」
「私の名前は韮崎ダリア。よろしくね、颯」
「よろしく、ダリア」
先頭まで行くと、ひとりの男の子が、壁にもたれかかっていた。
「いた!リンドウッ!?」
「どうした?」
「ん……」
俺はその子の肩を見て後悔した、残酷なほどくっきりと噛み跡の残ったばしょから、赤黒い血が小さな服に滲んでいた。
「おう、見つかったか?」
「それが…」
事情を話した。
「…混乱を招くわけにはいかない、とにかく、中野まで発症しないことを祈ろう」
「あ、あの…さっきから何話してるんですか…?」
なっ、団子女!?盗み聞きとかいかれてんのか…
「こっちの話だ、お前には関係ない」
「関係ないっ…て……」
なっ、バレた!
「ギヤアアアアァァァァーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「何だ!」
「こいつ、噛まれてる!!ゾンビよ!!!」
その一言で現場はパニック、みんな一斉に後ろの方へ逃げていった。
「お前ら…やっぱり裏があったんだな!お前らはユダだ!次の駅で降りろ!」
まずいぞ……どうしたら……




