モブと情熱
あの後、裏口から逃げて大通りまで出た。そして日付が変わったと同時にタイムリープをし、鋼さんと再開するところまで経った。そして鋼さんにこれから起こる事について語った。
「そうか、あの女、気づいてやがったか」
「なのであの裏口を使うのも厳しいと思います」
「そうだな、じゃあもう1つ方法があるんだ。そっちを試してみよう」
-深夜-
結局、北町の裏口から入り、遠回りして体育倉庫に入る作戦にした。
「あの女の人はどうするんですか?」
「うーん、倒すしかないかな」
「でも相手は銃持ちですよ」
「だから、これ」
「これは…」
「俺になんかあったときは、そいつで回復さしてくれ」
「…わかりました」
寿命が長いことを祈ろう。
「あとこれ、スタンガン」
「どうやって使うんですか?」
「まぁ、敵に向かってやるんだ、あとは習うより慣れろってやつだ」
「わかりました…」
「よし、行くぞ!」
「はい!」
-体育館-
「これだけ広いと、敵に見つかりそうで怖いですね」
「まぁ流石に大丈夫だろ」
「なにが、大丈夫だって?」
「避けろ!颯!」
"バン"
「鋼さん!」
「いいから隠れて!あと回復してくれ!」
「はい!」
「素手相手に私が負けるとでも?」
「悪いがお前に相手してる暇はないんだ、さっさと消えてもらおうか!」
"バン"
鋼さんは華麗に避けた、はずだった。
「ガハッ」
「鋼さん!」
弾丸の軌道が、変わった?
「ふっ、お前の能力、ずるくないか?」
「あなたこそ、その弾丸をものともしない筋肉、ずるいんじゃない?」
「名前の通り、鋼なんだよ、そんな軟弱な弾にはびくともしないね」
「あらそう、じゃあ…」
そう言うと女の人は舞台裏に入りって、すぐに大きな武器を持って戻ってきた。
「ははっ、舞台袖にロケランが置いてるのかよ、とんだ学校だな」
「鋼さん!逃げて!」
「颯も逃げろ!先に倉庫に行くんだ!」
「でも!」
「後から行く!約束する!」
「…はい!」
「逃がさないわよ!」
"ドカン"
「グハッ」
「行かさねぇよ」
「ちょっと、やめて!」
「女をやるのは趣味じゃないが、やられる前にやれってこった」
"ピッ"
「応援求む!体育館!あとガキが1人地下に入った!」
「チッ、せっかくかっこつけたんだから、話しきけや!」
"グシャ"
-階段-
振り返らないで降り続けた。上のほうからグシャっと音がした気がしたが、鋼さんにダメージは入っていない。一安心、と思った時、下のほうから階段を駆け上がる音か聞こえてきた。
「くそっ、鋼さんは降りてきてなさそうだし、どうすれば…」
そうあたりをうろうろ見渡していると、職員用の休憩室を見つけた、たまらず中に入るとすぐに、俺たちを捕えようしている人たちが階段を駆け上がっていった。
「一難は去ったか」
「いたぞ!四ツ谷だ!」
鋼さん!?大丈夫か…と鋼さんのHPを確認しようとした時、この部屋に入ろうとしている人影が見えた。急いでロッカーに隠れると、外から3人組の男たちが入ってきた。
「いやー疲れた、それにしても騒がしいな」
「反朝廷の連中が侵入してきたらしいです」
「おー怖い怖い、俺たちも呼ばれたりするかもな、なあ阿佐ヶ谷」
雀さん!?
「……」
「どうした?体調悪いのか?」
「あぁいや、なんでも」
「あっ今連絡入りました!顔写真付きです!」
「こいつらか、いかにも悪い顔してんな」
「名前は四ツ谷鋼と、日野颯」
「はっ!」
「どうした!阿佐ヶ谷」
「あぁいや、なんか頭がいたくてのぉ、その顔と名前を見ていると、頭が痛くなってしょうがないんじゃ」
「骨の髄まで朝廷の犬だな」
「お前らもじゃろ」
「そうだな!あはははは!」
雀さん、もしかして思い出してきてるんじゃ?
"コンコン"
「なんだ、わざわざノックしてきて」
「入っていいですよー!」
「おじゃましまーす」
「なっ、お前は!」
「すぐに連絡を!」
"グシャ""グシャ"
「ふう、颯、もう出てきてもいいぞ」
ロッカーが出ると、足元には血が流れていた。
「あぁ下は見るな汚いから、雀も、一旦外に出よう」
そう言って鋼さんは部屋を出た。続くように俺と雀さんも部屋を出た。
「よし、あとは雀連れてミッションコンプリートだな」
「でも…」
「クラスメイトか?今のままいったら確実にやられる、まずは仲間を見つけるところからだろ?忘れたか?」
「すいません」
「さっ、後は階段登って帰ればミッションクリアだ!行くぞ!」
「ざんねーん!あなたたちはここで、ゲームオーバー」
「なっ」
「鋼さん!」
「危ない!」
"ドカッ"
その勢いで部屋に飛ばされた、そしてすぐに、外から爆発音が響いた。
「あ、ああ、ああああああああああああ!!!」
「は…やて、もどるんじゃ」
「雀さん!」
「戻るんじゃあ!」
「戻れぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
なんでこんなに、世の中は上手くいかないんだろうか
-階段-
数日かけて戻ってきた、あの女の人を討伐したことも確認した。
「颯、お前やっぱすげえよ、俺じゃ耐えられない」
「俺だって、我に帰ったら飛び降りたくなりますよ」
「よし、地上についた、長かったー!」
「雀さん、俺たちのこと、覚えてますか?」
「あぁ、思い出したぞい、颯じゃな!鋼じゃな!」
「雀さん!」
「雀!」
「「よっしゃああああ!!!」」
"グイィィィィィン"
まただ、また頭が、かち割れそうだ……
「なんじゃ、今の頭痛は…」
「颯、もしかして世界線変動したか?」
「鋼さん、なんで…」
「この前も頭痛を感じたんだ、そしたら俺たち以外の人間が能力を持つようになってたり、なんかおかしなことになった」
「オラも、よく考えたらおかしいと思ってたんじゃ」
「なにより」
「オラたち」
「「颯のことを覚えている」」
「……2人とも…」
「もしかしたら、颯と出会ったことで記憶が呼び起こされて、颯と世界線を超えても互いを認識し合っているのかもしれない」
「なにより鋼の頭脳が冴えている、明らかにおかしい世界線じゃ!」
「おい!そりゃ関係ねぇだろ!なぁ颯?」
「そんなことないじゃろ、颯」
「2人とも…」
「安心しな、どの世界線にいっても、前の世界線のこともこれから向かう世界線でも忘れない」
「オラたちはずっと、颯の味方じゃよ」
「みんな…」
「おいおい泣くなよ、こっちまでしんみりするじゃないか」
「そうじゃ、オラは……オラは、本当の仲間を手に入れたのかもな…颯」
「雀さん」
俺たち2人は抱き合って泣いた、こんなに泣くのは産まれて初めてだ。
「お前ら…泣きすぎだろ……」
その輪に鋼さんも入った。そして3人は朝日が昇っていることにも気づかないまま、泣いて泣いて泣き続けた。
"ガラガラ"
「………」
「………」
「………」
「………せんせー、不審者いる」




