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ラブコメのモブキャラがこんなにも辛いとは  作者: 佐和田
モブの気炎万丈日記(2編)

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24/27

モブと情熱


あの後、裏口から逃げて大通りまで出た。そして日付が変わったと同時にタイムリープをし、鋼さんと再開するところまで経った。そして鋼さんにこれから起こる事について語った。


「そうか、あの女、気づいてやがったか」

「なのであの裏口を使うのも厳しいと思います」

「そうだな、じゃあもう1つ方法があるんだ。そっちを試してみよう」


-深夜-

結局、北町の裏口から入り、遠回りして体育倉庫に入る作戦にした。


「あの女の人はどうするんですか?」

「うーん、倒すしかないかな」

「でも相手は銃持ちですよ」

「だから、これ」

「これは…」

「俺になんかあったときは、そいつで回復さしてくれ」

「…わかりました」


寿命が長いことを祈ろう。


「あとこれ、スタンガン」

「どうやって使うんですか?」

「まぁ、敵に向かってやるんだ、あとは習うより慣れろってやつだ」

「わかりました…」

「よし、行くぞ!」

「はい!」



-体育館-

「これだけ広いと、敵に見つかりそうで怖いですね」

「まぁ流石に大丈夫だろ」

「なにが、大丈夫だって?」

「避けろ!颯!」

"バン"

「鋼さん!」

「いいから隠れて!あと回復してくれ!」

「はい!」

「素手相手に私が負けるとでも?」

「悪いがお前に相手してる暇はないんだ、さっさと消えてもらおうか!」

"バン"


鋼さんは華麗に避けた、はずだった。


「ガハッ」

「鋼さん!」


弾丸の軌道が、変わった?


「ふっ、お前の能力、ずるくないか?」

「あなたこそ、その弾丸をものともしない筋肉、ずるいんじゃない?」

「名前の通り、鋼なんだよ、そんな軟弱な弾にはびくともしないね」

「あらそう、じゃあ…」


そう言うと女の人は舞台裏に入りって、すぐに大きな武器を持って戻ってきた。


「ははっ、舞台袖にロケランが置いてるのかよ、とんだ学校だな」

「鋼さん!逃げて!」

「颯も逃げろ!先に倉庫に行くんだ!」

「でも!」

「後から行く!約束する!」

「…はい!」

「逃がさないわよ!」

"ドカン"

「グハッ」

「行かさねぇよ」

「ちょっと、やめて!」

「女をやるのは趣味じゃないが、やられる前にやれってこった」

"ピッ"

「応援求む!体育館!あとガキが1人地下に入った!」

「チッ、せっかくかっこつけたんだから、話しきけや!」


"グシャ"


-階段-

振り返らないで降り続けた。上のほうからグシャっと音がした気がしたが、鋼さんにダメージは入っていない。一安心、と思った時、下のほうから階段を駆け上がる音か聞こえてきた。


「くそっ、鋼さんは降りてきてなさそうだし、どうすれば…」


そうあたりをうろうろ見渡していると、職員用の休憩室を見つけた、たまらず中に入るとすぐに、俺たちを捕えようしている人たちが階段を駆け上がっていった。


「一難は去ったか」

「いたぞ!四ツ谷だ!」


鋼さん!?大丈夫か…と鋼さんのHPを確認しようとした時、この部屋に入ろうとしている人影が見えた。急いでロッカーに隠れると、外から3人組の男たちが入ってきた。


「いやー疲れた、それにしても騒がしいな」

「反朝廷の連中が侵入してきたらしいです」

「おー怖い怖い、俺たちも呼ばれたりするかもな、なあ阿佐ヶ谷」


雀さん!?


「……」

「どうした?体調悪いのか?」

「あぁいや、なんでも」

「あっ今連絡入りました!顔写真付きです!」

「こいつらか、いかにも悪い顔してんな」

「名前は四ツ谷鋼と、日野颯」

「はっ!」

「どうした!阿佐ヶ谷」

「あぁいや、なんか頭がいたくてのぉ、その顔と名前を見ていると、頭が痛くなってしょうがないんじゃ」

「骨の髄まで朝廷の犬だな」

「お前らもじゃろ」

「そうだな!あはははは!」


雀さん、もしかして思い出してきてるんじゃ?


"コンコン"

「なんだ、わざわざノックしてきて」

「入っていいですよー!」

「おじゃましまーす」

「なっ、お前は!」

「すぐに連絡を!」

"グシャ""グシャ"

「ふう、颯、もう出てきてもいいぞ」


ロッカーが出ると、足元には血が流れていた。


「あぁ下は見るな汚いから、雀も、一旦外に出よう」


そう言って鋼さんは部屋を出た。続くように俺と雀さんも部屋を出た。


「よし、あとは雀連れてミッションコンプリートだな」

「でも…」

「クラスメイトか?今のままいったら確実にやられる、まずは仲間を見つけるところからだろ?忘れたか?」

「すいません」

「さっ、後は階段登って帰ればミッションクリアだ!行くぞ!」

「ざんねーん!あなたたちはここで、ゲームオーバー」

「なっ」

「鋼さん!」

「危ない!」

"ドカッ"


その勢いで部屋に飛ばされた、そしてすぐに、外から爆発音が響いた。


「あ、ああ、ああああああああああああ!!!」

「は…やて、もどるんじゃ」

「雀さん!」

「戻るんじゃあ!」

「戻れぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


なんでこんなに、世の中は上手くいかないんだろうか



-階段-

数日かけて戻ってきた、あの女の人を討伐したことも確認した。


「颯、お前やっぱすげえよ、俺じゃ耐えられない」

「俺だって、我に帰ったら飛び降りたくなりますよ」

「よし、地上についた、長かったー!」

「雀さん、俺たちのこと、覚えてますか?」

「あぁ、思い出したぞい、颯じゃな!鋼じゃな!」

「雀さん!」

「雀!」

「「よっしゃああああ!!!」」


"グイィィィィィン"


まただ、また頭が、かち割れそうだ……


「なんじゃ、今の頭痛は…」

「颯、もしかして世界線変動したか?」

「鋼さん、なんで…」

「この前も頭痛を感じたんだ、そしたら俺たち以外の人間が能力を持つようになってたり、なんかおかしなことになった」

「オラも、よく考えたらおかしいと思ってたんじゃ」

「なにより」

「オラたち」

「「颯のことを覚えている」」

「……2人とも…」

「もしかしたら、颯と出会ったことで記憶が呼び起こされて、颯と世界線を超えても互いを認識し合っているのかもしれない」

「なにより鋼の頭脳が冴えている、明らかにおかしい世界線じゃ!」

「おい!そりゃ関係ねぇだろ!なぁ颯?」

「そんなことないじゃろ、颯」

「2人とも…」

「安心しな、どの世界線にいっても、前の世界線のこともこれから向かう世界線でも忘れない」

「オラたちはずっと、颯の味方じゃよ」

「みんな…」

「おいおい泣くなよ、こっちまでしんみりするじゃないか」

「そうじゃ、オラは……オラは、本当の仲間を手に入れたのかもな…颯」

「雀さん」


俺たち2人は抱き合って泣いた、こんなに泣くのは産まれて初めてだ。


「お前ら…泣きすぎだろ……」


その輪に鋼さんも入った。そして3人は朝日が昇っていることにも気づかないまま、泣いて泣いて泣き続けた。


"ガラガラ"

「………」

「………」

「………」

「………せんせー、不審者いる」







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