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ラブコメのモブキャラがこんなにも辛いとは  作者: 佐和田
モブの気炎万丈日記(2編)

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23/27

モブと理


ー6年前ー

「菊ー!菊ー!」


菊とはぐれちゃった。だから夜の学校は嫌だって言ったのにー!怖い、怖いよー……


「君!」

「うわぁぁ?!」

「どうしてうちの高校に?こんな小さい子が」

「いや、菊が勝手に!僕は悪くなくて、」

「落ち着いて、とりあえず警察呼ぶから」

「嫌、だめ!ごめんなさい!」

「そう言われても…」

「まぁいいだろ、雀くん」

「お疲れ様です!三鷹様!」

「僕、菊っていうのは、この子かな?」


そう言ったお兄さんは、おんぶしていた女の子をおろした。


「は、颯!」

「菊!」

「ごめん、ごめん!」

「うん、僕もごめん…」

「雀、2人を家まで」

「なんでオラが?」

「ガキ2人じゃ危ないだろ、ほらタク代」

「えぇー」

「じゃあ任せた、私もこの子らと同じくらいの息子が待っているから」

「わかりました、お疲れ様です」


このお兄さんは優しい?けど、あのおじさんは、怖い。


「ほら行くよ、オラも帰って課題やんないと」




ー9月4日ー

「ぐはっ!はぁ、はぁ、はぁ……」

「日野颯、どうした?」

「日野くん、大丈夫かい?急に息切れみたいな…」

「えっ…あぁ、何でもない」

「そうか……」


ここは、面会室…大体1日前か……


「時間です」

「えっとー」


メモ帳…書いてある!自分が身につけているものもタイムリープしたら引き継がれるって仮説は正しかったみたいだ。


「それじゃあ帰ります」

「あぁ、今度は土産話でももってきてくれ」

「行こうか、日野くん」

「あぁ」



ー万世橋ー

「…それ、メモ帳かい?ずいぶん細かく書いているんだね」

「まあな…八王子様は、先帰っていいよ」

「寂しいことを言うねー君は、ほら、クラスの中心であり光であり神であるこの僕が、一緒にいたそーに見ているよー?」


なんか、気持ち悪いな、同じことを繰り返すって。


「昔は、こんなキャラじゃなかっただろ、菊が見たらびっくりするぞ」

「なっ、その話はいいから、てか、僕のことは暁でいいから」

「そしたら周りの女子ファンにヘイト買うだろ、昨日の立川みたいになっちゃう」

「お願い!僕にも名前で呼んでよ…」

「じゃ、学校以外でな」

「うん…じゃあ僕は君のこと颯って呼ぶよ?」

「別にいいよ、昔からの仲だし」

「そーだよ!幼稚園からずーーっと一緒だからね!」

「でもフランス行って離れてただろ」

「それは…まぁ、経験だから」

「それで、まだいるのか」

「えっ…いいじゃん、別に、幼馴染だよ僕たち?」

「話なら、学校でいっぱい聞くから」

「……なんか、颯のほうが変わったね」

「そりゃ、時代に合わせて変化するさ、年取って変化に適応出来なくなったら、死に時だな」


俺がタイムリープに適応出来なくなった時も、な。


「あっそ、まぁいいよ、僕は別のお友達と帰るから!」


……そういえば、この後!


「気をつけっ……」


鋼さん!話しかけないと!


「じゃあな!暁!」

「ちょっ!……うん、またね、颯……こんなに成長したのに、悲しみの境地だね」



「鋼さん!」

「………」


俺のこと、覚えてくれてるよな…….


「…………」

「……お前」


………


「颯じゃねぇか!おい!!」

「鋼さん!!」

「「うおおぉぉぉぉぉおい!おい!おい!おい!おい!おい!おい!」」


よかったー!!


"グイィィィィィン"


「うっ…あぁ、頭が……あぁ………はぁ、は、はぁ」


ま、まただ、世界線変動って、こんな痛いのかよ……きちぃ……


"シーン"


「おっ……ぐぉっほん!会えてうれしいよ、颯」

「お、俺もですよ、鋼さん」

「"俺"だって、成長しやがってー!」

「ちょっ、やめてくださいよー!」

「それで、他のみんなは?1人か?」

「いやっ、それが……」


鋼さんに、ことの経緯を説明した


「そうか…颯も大変だったのか」

「俺も?」

「あぁいや、この世界線、相当やばいぞ、みーんな能力もってるんだぞ!」

「知ってます」

「知ってるのね」

「他には?」

「後は、阿佐ヶ谷雀、あいつ朝廷で働いている」

「………」

「これも、知ってるのか?」

「鋼さん、俺、未来からきました」


頼む、信じてくれ……


「お前、そうだったのか」

「鋼さん!」

「そりゃ、このことまだ誰にも話してないからな、俺もそこまで鈍感じゃない」

「あの、今すぐ助けないと、雀さんが!」

「一旦落ち着け、そういうことなら、いい考えがある」



ー北町高校ー

「ここって、北町じゃないですか、優満の向かいの」

「まぁ来いよ」

「はい…」



「この体育倉庫の下に、じゃん!」

「隠しドア!」


なんか、最近よく体育倉庫来るな。


「前俺と話してた女、覚えてるか」

「あぁあの」

「雀の仕事仲間っぽくてな、ちょっと持ち上げたらころっと溢したんだよ」

「鋼さん、一生ついていきます!」

「おう!行くぞ」


"バン!"


一瞬で、絶望へと叩き落とされた。目の前で、大切な仲間が、撃たれた。


「本当、男ってバカばっか」

「お前」


あのときの。


「この筋肉オバケ、勘違いしてたっぽいけど、全然罠だし!きれいに引っかかってくれたなー。これで、三鷹様にお近づきになれる…!」


もう、戻らなければならないのか。


「もどれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


人生、上手くいくことはない、ましてや、都合良く物事が進むなんて、主人公じゃない限り、ありえないことなんだ。


"ラブコメのモブキャラが、こんなにも辛いとは"


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