モブと新学期
ー9月1日ー
今日から2学期が始まる。うちのクラスの担任は変わり、だんだんと受験ムードになってきているが…
「「受験どころじゃねーな」」
「日野!」
「荻窪、何で」
「何でって、クラスメイトだろ」
「……」
「それより、残念だったなー、彼女取られて」
「別に」
「強がりやがって、しかもよりによって、三鷹とはなー」
「なっ」
あいつだったのか…いや、何故だ?たしかに俺は豊田さんをコロした。だが、もとは三鷹のせいじゃないか!わからん…
「あっ、噂をすれば」
「おはよう、荻窪」
「あぁ、おはよ」
「あぁ君もいたのか、日野くん、気づかなくて悪い、あまり目立たないものだから」
「……」
「ほら、火憐もあいさつ」
「おはよーございますー!荻窪氏。と、モブA」
「日野……」
「……」
「じゃあね、2人とも」
……我慢だ、まずは仲間を集めることが第一だ、あいつらは二の次……
ー放課後ー
とりあえず菊に会いにいこう
「日野ー!!」
「んだよお前、俺はこれから用事が」
「体育倉庫、行ってみ」
「何で」
「いいから!」
「はぁ?」
なんなんだこいつ
ー体育倉庫ー
まぁ、体育倉庫って時点で、察するけど………
"ドカッ"
「いやっ……」
「お前の全てを知りたいんだ……」
あーもうやめ!やめやめ!まじで2人ともどういう神経してんだ!ったく……死ねよ
「……颯?」
?!その声!
「菊!」
「久しぶりだね、げn」
"ギュッ"
「会いたかった……」
「な、なにー!」
"ベチッ"
「変態!」
「あっごめん」
「颯って、そんな積極的だったっけ?ちょっと意外かも」
「あいや、なんか、ね」
菊は覚えてないか……
「私の知っている颯は、かっこよくて、いざとなったら頼りになって、"どの世界線でも私に会いに来てくれる"」
「?!菊…」
「あれ、私いまなん…」
"ギューッ"
「…て……」
「……菊、俺と付き合ってくれ」
「……この、変態!」
"ベチッ"
「なんでぇ〜〜??」
どうやら、何であんなことを言ったのか自分でもわからないらしい、記憶としては残っているが、思い出せないということか……?
「一人称、変えたんだ」
「あぁ、過去の自分から、今の自分に変わるため、悪役を、懲らしめるため」
「何言ってんの?やっぱ変だね」
「ごめん」
そうじゃなきゃ、俺のメンタルがもたないだろ
「颯、今日、親いない」
?!?!
「来て」
「あ、ああぁあぁぁあぁもちろん!」
ー9月2日ー
「同じ家から一緒に登校だなんて、まるで同棲してるみたいだね!」
「そう、だね」
ついに、俺は……的な展開にはならなかった。何故菊があんなことを言ったのか、何故三鷹と豊田…さんがくっついたのか、なんとなく頭で考えてはみたが、結論は出ずそのまま寝落ちしてしまい、今に至る。
「そーゆーことは、全てが終わってから」
「?!……予知でもしたのか」
「うん、2ヶ月後のね」
「なっ!能力を知ってるのか!」
「知ってるもなにも、日本人はみんなもってるじゃない」
「嘘……だろ……」
ここは、なんちゅー世界線なんだ……
「まぁ、世界線変動すれば、この能力もリセットされるらしいけど」
「それ、どこ情報だ」
「どこ情報って、常識でしょ、そんなの」
「そ、そうか、それで予知のほうはどうだった」
「やっぱり、転校してた、ボスニア・ヘルツェゴビナに」
「ボスニア・ヘルツェゴビナか、ヨーロッパに行くんだな」
「この世界線ではね」
「てことは、まずは菊がボスニア・ヘルツェゴビナに行かないようにしないと」
「言いたいだけでしょ、ボスニア・ヘルツェゴビナ」
「バレますよねー」
「……うしし……」
ー昼休みー
仲間を探すといっても、学校があるから行動時間が圧倒的に少ないな……
「おい、日野」
「はい?」
「こい」
「え、えぇ?」
立川、怒ってる?
ー廊下ー
「お前も、気づいてるか」
「気づいてるって?」
「とぼけんな、世界線変動だ」
「なっ」
「やっぱりな」
「どうして」
「日野、ちょっとやばいかもしれないぞ」
「?」
「少し前に他の奴らにも探りを入れたんだ、神田、中野、三鷹、みんな気づいている」
「なん、だと…」
三鷹たちもわかってるのか…かなりピンチだな
「それで、協力しないか?」
「協力?」
「実は、1人で調べていたんだ、"朝廷"のこと」
「なにっ」
「そしたらとんでもない資料を見つけた、三鷹のやつ、日野をコロすために、高円寺と神田を誘拐したらしい」
「嘘だろ?!菊とはさっきまで一緒だったんだぞ!」
「落ち着け!さっき見ちまったんだ、あの2人がワゴンに乗せられているとこ」
「まじかよ…」
「とにかく、俺は神田を、あんたは高円寺を助けるため、協力してくれ」
「……」
「お前と協力だなんて心外だが、一応信頼している、この手を握ってくれ」
俺だって、心外だけど、
「まぁ、いいだろう」
「それじゃあ、今週末にうちに来てくれ、場所は言わなくてもわかるよな、不法侵入くん」
「やめてくれ」
あれはやらされたんだし…
「じゃ」
「どこ行くんだ」
「ちょっとサボる」
「あそう…」
ー教室ー
「……ここの正誤問題は今度テストに出すぞー」
はぁ、俺もこんなつまらない授業抜けて、あの人たち探したいんだけどなー
"ガチャン"
「な、なんだ君たちは」
「おいおーい、そんな不審者扱いしないでくれない、か」
「……」
鎮圧部!
「日野くーん!ちょーっとお話があるから、廊下に出てきてくれない、か?」
何がしたいんだ……こいつら……




