モブと夏休み14
ー7月29日ー
夏休みの宿題を終え、今日は豊田さんと秋葉原デート!楽しみだなぁ〜
「本日は秋葉原特集!かつてオタクの街と呼ばれたこの地は個性的な人々で…」
今日ここで、豊田さんと……えへへ……
「速報です。女子生徒に暴行を加えたとして、私立優満高校教師の小金井東容疑者が逮捕されました…」
これ、先生?!え?
「現在は秋葉原の警察署で勾留されており…」
……なんか、もやもやする。先生に、会いに行けって、心の中の僕が言っているような。
ー警察署ー
今から先生との面会だ。
"ガチャ"
「先生!」
「……」
「何で、何でこんなこと!」
「……」
「だって、先生はもうそんなことしなくてよかったのに!」
あれ、何言ってんだ。
「もうあなたは、よくやった」
何だ、何だ今の僕は、先生……お前……
「お前は、お前はもう充分頑張った!!」
「?!」
嘘、さっきから変なんだけど…
「颯」
「は、はい」
「……能力は、お前に押し付ける」
「はい?」
「正直、私の代で断ち切るべきなんだが、もう、耐えられない…何も考えたくない……目を瞑れ」
「はい……」
………?!な、何だこの、走馬灯のような、僕の知らない記憶……じゃない、これは、実際にあったことだ……
「先生!!」
「うわっ!何だ急に」
「……え?」
「時間です」
「じゃあな、日野颯」
「先生、先生!」
ー万世橋ー
全て思い出した、いや、思い出してしまった。僕はもともと別の世界線にいて、先生がタイムリープを実行したことで、今の世界線になったんだ。だから、あいつらは……
「一体、どうしたら…」
「……あっ、日野氏ー!」
なっ…豊田さん…いや、ここは違う世界線、いて当然だ、むしろ、
「会えてうれしい、本当に…」
"ギュッ"
「ひゃっ?!何ですかー?!世界線変動で大切な人を助けた後の某マッドサイエンティストみたいな反応はー!」
「何だそれ、それより、みんなは?」
「みんなって?」
「立川とか、三鷹とか、中野さんとか、きk…高円寺さんとか」
「三鷹くんはこの前見たけど、あとの3人はわからないのです」
「そっか…ありがと」
「何ですー急に?もしかして、あなたもマッドサイエンティストですかー?」
「ははっ…そうかも」
「それより、行きましょ!ていうか30分も遅れるとか、彼氏失格ですぞ!」
「悪い悪い……え、今なんて?!」
「えっ、彼氏失格ですぞって」
なっ、この世界線だと僕は豊田さんと彼女…やはり少しずつ世界線を移動しているのだろうか
「んー?」
「あぁ、ごめん何でもない」
「それじゃ、行きましょー!」
「うん…」
結局、その後大きな出来事もなく、夏休みも終盤に差し掛かっていた。
ー8月29日ー
あれから1ヶ月か、特に何もなかったな、このまま、夏休み終わっちゃうのかな。
「速報です。秋葉原の路上で大規模な火災が発生しました。この事故で」
?!
ー秋葉原ー
勢いで来たはいいものの、どうしようか、おそらく中野さんの仕業だと思うが…ていうか、僕がアキバ行くとき毎回火災起きてね?……あれ、あいつは……
「なかのs」
「おーっと、バレちまった、か」
「……」
鎮圧部?!なぜこいつらが…
「私なら後ろにいるわよ」
「なっ…」
中野さん…
「あんたら、もう帰っていいわよ」
「えー、久しぶりの再会なのにー、まぁこれも運命、か」
「……」
「また会おうねー」
…何なんだあいつら……まてよ?
「今、久しぶりって言ったな」
「……」
「この世界線で僕と鎮圧部は会ったことがないはずだ、何故知っているんだ」
「……はい?」
「?」
「いや、何のこと?夏休み前以来だから久しぶりって言っただけだけど、世界線って?厨二病?」
「えっ、あ、いや」
「そんなこといいけど、ここで見たこと、絶対言うんじゃないのよ!言ったらコロす」
「い、言わないです…」
こいつは本当にコロしてきそうだな。
「じゃっ、さよなら!」
何だったんだ……
「日野氏」
「豊田さん?!」
「本当にあなたがマッドサイエンティストだったとは」
「え?」
「いやはや、正直私も驚きましたぞ、思い出したのは最近ですが、うっすらと残っている"あの記憶"は、別の世界線の私だということですか」
「なっ、何言ってるの豊田さん、ここはアニメの世界じゃ」
「あの時、私じゃなくて立川くんを選んだのは、正真正銘あなたということですか」
「……」
「沈黙は肯定と捉えますが」
「……」
「残念です、私もあなたの仲間として、一緒に苦楽を共にしてもいいかなと、思ってたんです、でももうやめにします」
「……」
「それと私、彼氏出来たんで」
「あぁ、そうか」
僕、キープだっの??
「あと、朝廷に加入したので」
「はぁ?!」
「そんな驚くことかな?かな?私はもうあなたの敵だし私の敵はあなた、絶対にこの世から消してやる。あぁこれじゃあまるで、闇堕ちした仲間じゃあないか!」
「何で…それじゃあ…今までやってきたことは…何だったんだよ……」
「日野、どうやら私は世界線が変わっても記憶を持っているようだから言っておく、どの世界線にいても、私はお前のことが嫌いだ、そして忘れるな、私をコロしたことも」
……忘れられる訳ないだろ
「じゃあね、最低最悪のマッドサイエンティストさん」
……ぼ、俺は、科学者じゃねぇよ
ー8月31日ー
とりあえず今の目標は、"仲間を集めること"としよう。四ツ谷鋼、阿佐ヶ谷雀、小金井武蔵、高円寺菊、この4人を引き込んで、
「朝廷を、潰す!」
「……母さん、颯がついにおかしくなったぞ」
「ちょ、違うって、父さーん!」
夏休み編-完-




