モブと夏休み6
ー秋葉原ー
「あれ?規制線が張られてるぞい」
「きっと、昨夜の事件のせいでしょう」
「で、どうすんだっけ?」
「鋼さんもう忘れたんですか?まず二手に分かれます」
ー出発前ー
「四ツ谷鋼、高円寺菊、阿佐ヶ谷雀の3人でラジ館前まで行きます」
「そして、中野雫を拘束します」
「拘束じゃなくてころ」
「兄さん、我慢してください。流石にそれは出来ないです」
「でも!」
「我慢です、これも作戦の1つなんです」
「……ふん」
「話がそれましたが、残りの私と兄さんと日野颯くんはここから遠隔でサポート、て言っても、私たちは指示厨みたいなものですが」
「大丈夫、颯がサポートしてくれるから」
「おぉ、それは心強い!頼むぞ、颯」
「よろしく頼むぞい」
「あ、は、、はい」
「あと、この作戦中は名前で呼び合いましょう」
「フルネームは長いしな、いいぞ」
「……」
「おいおいここにきて緊張か?もっとシャキッとしろー!背筋も曲がってるぞ!」
「すいません…」
「教師ムーブで草」
「なっ、もう教師じゃないし!」
「あははは、そういえばそうだったね」
「ったく、颯」
「はっ、はい」
「……頼んだ」
「……はい!」
「けっこう見やすいですね」
「最新の物ですから!」
「ほら、これつけろ」
「おぉー!それっぽい!あー、あー」
「本当、颯は子供っぽいな」
「子供ですがー?」
「好奇心旺盛ってこと、2年も持ってたら少しは生徒のことは分かるんだよ」
「そう、かなー?」
「でも、存在感は無いな、モブキャラみたい」
「うん、それは分かります」
「なんの話してんのよー」
「菊、聞こえてたのか……」
「まる聞こえ、こっちはラジ館入った」
「これから探すぜー、どぞー」
「あんま目立つなよー、んじゃ、見たかったら教えてくれ」
「了解!」
「これ、防犯カメラの映像ですよね」
「そうだな」
「その、もし死角に中野さんがいたら、どう指示すれば?」
「大丈夫、彼女を屋上に誘導するよう伝えておいたから、そしたら出番ですよ」
「はい……」
ー30分後ー
「ぜーんぜんいないでーす」
「どうしたものか」
「あっ、ここのドア、開いてるぞい!」
「それは、非常階段か?」
「これ、屋上まで行けるんじゃ?」
「……行ってみよう」
「「了解」」
「いたぞ……」
「後ろから慎重に」
「なに喋ってんのぉ?」
「ちっ気づかれた、お前らいくぞ!!」
「…?!、爆弾落ちる!」
「なっ、みんな引くのじゃ!!」
「……」
"ドカーン"
ー地上組ー
"ドカーン"
「「「?!」」」
「兄さん今の!」
「宣戦布告ってかぁ!よし、出番だ。颯HPは?」
「まだ3人のHP減ってないです!」
「武蔵はドローンだ!」
「はい!」
「菊!さっきも言ったが、あまり予知すんなよ!雀は水分補給しっかりな!鋼は隙を見てぶちかませ!」
「「「了解!!」」」
「ふぅ、おりゃあ!」
「あっづ!!」
「今だぁ!!」
"ドォン"
「なーんてね」
「ぐはっ」
「鋼のHP90減少!」
「こんなの、かすり傷だ!」
「ちょっとちょっと、あんたらいきなり過ぎ!私だってタイミングってのが」
"ドォン"
「ぎゃっ!」
「油断すんなばーか」
「もう許さない、お前らまとめてさよならだ」
"ドッカーン"
「全体のHP150減少!鋼のHPがやばい!」
「……半分回復しろ」
「はい」
"faaan"
「助かったぜ」
「おりゃ」
「ふっ、そんなの痛くm」
"ドカーーン"
「ぐはぁぁ!!」
「……よし、縛るぞ」
「オラがやるぞ」
「…2人とも離れて!!」
「?!」
"ドカーーン"
「?!、全体のHP350減少!雀が戦闘不能!」
「クソ!!不意打ちしやがって」
「はぁーっはっは、本当バカなのねーあんたら。私だってあんたらと同じ能力者、一般人なら即死の攻撃だって耐えれるんだよ!」
「3人のHP上げろ!」
「はい!」
「雀!そいつ多分火炎無効だ!守りに徹しろ!」
「おぅ!」
「あら、たしか高円寺さんじゃない。私前にも言ったよね?そんなとこ抜けて私のとこに入ろって」
「…中野雫、終わりよ」
「なっ」
「おらぁぁぁぁ!!」
"ドカーン"
「ぐはっ!!」
"バタン"
「油断してんのはどっちよ」
「うぐぐぐ……」
菊、かっこいい…昨日まで怖がっていた人とはまるで別人だな。
「お前、思ったより強くないな」
「……」
「運ぶか」
「手伝うぞい」
「頼む」
ー秘密基地ー
「よし、こんなものか」
「やっと終わったー!」
「あっさりと終わったね」
「日野颯、お手柄だぞ」
「ありがとう、ございます」
「これで問題も片付いたし、8月5日を待つだけですね」
「やっと、戻れる……」
「……ちょっ、みんな来い!」
「どうした!」
「立川進が……消えた」
「なっ」
「嘘……」
「昨日まではここにいたはずです」
「……あの」
「なんだ」
「僕たち、騙されたんじゃ?」
「騙された?」
「どういうことだ」
「中野さんを囮にして、その間に、やられた。とか……」
「惜しいわね」
「「「「「?!」」」」」
「中野さん?!えっえ?!」
「そいつ、偽物に決まってるでしょ、あんなのとうちのどこが似てるのよ!」
「いや、まんまじゃねえか!」
「はぁ?目元のほくろ!うちにはないから!」
「確かに、よく考えたら、あいつのツンデレ要素がなかったし、一人称も違う……何故気づかなかったんだ私は……」
「まぁあんたらはもうおしまい。ゲームオーバーよ」
「ちょっ!」
「じゃーねー!」
「まて!」
「日野颯!」
「?!」
「……行っても無駄だ」
「でも」
「無駄なんだ!」
「……」
「……ちっ、くそ!!」
「オラ、もうなに何がなんだか……」
「俺たち、偽物相手に勝ってイキってた訳か」
「でも、なんで立川を?」
「あいつらは、私たちを潰す気だ」
「潰す……」
「日野颯くん、実は、立川進が、地球を消してしまう元凶なんです」
「……嘘、だろ」
「彼には日野颯くんのように人を回復させる能力があります。しかし、その副作用は……」
「これを見てくれ」
「……これは、地球?」
「これは1年前、そしてこれが」
「……?!」
「今の地球だ」
「なっ……」
地球が、丸くない……
「日本の反対側から、どんどん削れているんだ、このままでは、地球が消える」
本当に、地球が消えてる……
「だが、立川進の能力は弱くなっている、8月5日にはその能力、能力を使用した記憶はなくなるだろう」
「じゃあ!」
「だが、中野雫が立川進をヤッてしまったら、地球もそろってなくなってしまう」
「な、なんでそんなこと」
「何度も経験してきたからだ!」
「なっ……」
「私たちが戦っているのは、朝廷というグループだ」
「朝廷?昔あったあの?」
「現状は、この国を裏で支配してる巨大組織だ」
「おぉ…」
「そいつらの目的は、立川進を保護することだ。理由は分かるな」
「地球消滅を阻止するため……」
「だが、それは間違っている」
「オラは昔、朝廷で警備の仕事をしていたんじゃ、その時、ある物を拾ってな」
「ある物?」
「これじゃ」
「これは……」
「世界線変動における事実変化確認実験?なんだこれ」
「最初は私もなんだこれとなった。でも読んでいくうちに、すごい事実が載っていたんだ」
「……」
「朝廷は、すでに何回か、世界線変動に、成功していたんだ」




