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モブとラブコメ


2027年4月10日。ここは私立優満高校。そこそこの偏差値だが生徒たちの意識は高く、毎日楽しい学校生活を送っていた。だが、2年の始まりに……


「転校生を紹介する」


転校生?女子かなー?


「初めまして、立川進です。これからよろしくお願いします」


なんだこのイケメン、うちのクラスの顔面偏差値一気に上がったぞ。


「あの子かっこい……い?」

「……あ、お前!あの時の!」

「はぁ?何であんたがここにいるのよ?」

「それはこっちの台詞だ!」


なんだなんだ、この一生見ることの出来ないはずだった光景は、まるでラブコメ……てことは、あいつは主人公で神田さんはヒロイン……僕、モブキャラ?いやまて、友達キャラならっ


「席は……神田カンナの隣りな」

「……何であんたが隣りなんだろ、あーあ最悪」

「だから、こっちのせりふだ!」

「まあまあ、そこらへんにしとけ」

「君は?」

「俺は三鷹孝介、よろしくな」

「よろしく!」


まじか、主人公の友達キャラ三鷹にとられた……


「ちょっとあんた、カンナ傷つけたら承知しないかんね!」

「雫……」


おぉい!ヒロインの友達キャラは中野さんかよ……


「まぁみんな仲良くしてやってくれ、それじゃホームルーム終わりな」



ー放課後ー

「日野、帰ろうぜ!」

「おう!」


モブキャラでも友達はいる、こいつは荻窪。中学からの付き合いで遊ぶときも学校行くときもこいつと一緒だ……この感じがモブなんだよなぁ。


「なぁ、今日の転校生、けっこうイケメンだったよな」

「それな、なんか主人公って感じ」

「主人公?まぁでもクラスを引っ張ってくれそうだよね」

「あぁ、ある意味な」

「そうだ、日野って好きな人いる?」

「急になんだよ、いないけど」

「俺、神田さんが好きなんだ」

「うん、え?」

「俺、頑張って仲良くなって、告白するんだ!」

「そ、そうか、頑張れよ」



ー翌日ー

「おい、立川って言ったな、神田さんは渡さないからな!」

「はぁ?別に神田とかどうでもっ…いいし…」

「あっそ、じゃあ神田さんは俺が」

「まて」

「な、なに?」

「神田は、誰のものでもない!」

「……ふん、勝手に言ってろ」

「まて!お前の名前は?」

「……荻窪(おぎくぼ)俊平(しゅんぺい)だ」

「その名前、覚えたからな」


なんじゃこの茶番。隠れて見てたけど、荻窪モブから主人公のライバルまで格上げかよ……僕の唯一のモブ仲間が……



ー5月12日ー

それは突然起きた。


「ーーーーー!」


ん?なんか外から声が?


「なんか外うるさくね?」

「開けてみよーぜー」

「あの子、同じクラスの……」


あいつ、立川?!


「みんな逃げてくれーー!この学校は1時間後に爆破される!俺は、未来から来たんだー!」

「ねぇ、なに言ってるのあの子?」

「精神の病?」

「あいつ、頭いってんな」


いやまて、これは主人公タイムリープしてるな。多分ループして数回目ぐらいだろうか、てことは、ここは助かる世界線なのでは?


「そこの君ー!教室に戻りなさい!」

「嫌です!ていうか、犯人あなたですよー!」


おいおい急展開きたよこれ!


「なにふざけたことを言っているんだ!さっさと戻れーー!」

「あなたは、俺のことを嫌っている、だから、俺をコロすために学校中に爆弾を設置した。違うか!!」

「……」

「先生、嘘でしょ?」

「おい、まじかよ」


……ちょっ、これやばい!


「お前らー!逃げろー!」



ー数時間後ー

なんとか全員が逃げることができた。これも主人公のお陰だな。


「あんた、思ったよりやるじゃない。少しは見直した」

「はいはい、ツンデレ感謝」

「デレてない!」

「お前、神田さんをいじるな!」

「いやいじってないだろ!」

「まあまあ、2人とも落ち着けって。そうだ、帰り4人でご飯食べにいこうよ!」

「賛成!2人とも強制参加ね」

「えー?」

「こいつとかよ……」


あーくたばれ、あっちで物語進んでるよ、でも正直立川と神田はまだ許せる。三鷹はただのいい奴だから文句なし。問題はあの野郎だよ、荻窪。あいつ、ライバルになってから一切僕と関わらなくなった。今まで一緒に帰ってたのに、それはないだろ!もうこいつ嫌いだよ!


「日野氏日野氏」

「うわっ、えっとー?」

「おぉ失敬、我豊田と申します。同じクラスの」

「あぁ豊田さんか、ごめんごめん」

「それより日野氏、気づきましたね」

「気づいたって?」

「あの集団が物語の主人公で、我々がいわゆるモブだということに」

「!!」

「安心してくだされ、我もこっち側ですぞ」

「まじ?それは嬉しい……うん」

「そうだ、この後お暇ですか?」

「うーうん、暇」

「我は日野氏がアニオタだと見抜きました。せっかくですから我の家で語り合いましょう!」

「えっ、家で?!」

「それじゃあ、放課後よろしくです!」


いっちゃった。出会って間もない女子の家行くことになった。でも、めっちゃ可愛いじゃん。ヒロイン級じゃん。これは青春送れそ……まて、ヒロイン級の顔……青髪……あれ、負けヒロイン枠って……いた?



ー放課後ー

「よろしくね、豊田さん」

「えあ、あぁ、よろしくです……」

「そうだ、豊田さんも一緒にファミレス行こうよ!」

「それ、いいかもな」

「お前が仕切んな」

「豊田さん、どうかな?」

「あや、でも、日野くんと予定が……」

「それ、明日でもいいっしょ!ほら行こ!」

「え、ちょっ」

「そういえば、名前なんて言うの?」

「……火憐かれん

「いい名前じゃん、よろしくね、火憐」


……あぁ死ね、はい死ね。なにあの三鷹とかいうヤリチン野郎、世界一嫌いな奴だわ。真面目でクールを装って中身は猿じゃねぇか去勢しとけ!!……はぁ、まさかラブコメのモブキャラがこんなにも辛いとは……

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