# 二話「 プリズム。」
お父さん……無事で空登れたの……。
ここは冬になった。
オレはまた一人で一歳、歳をとったよ。
お母さんと一緒に…元気で……幸せでいて……
いつまでも、いつまでも……
ー「 " 星が好きなんですか? "」
" まぁ... "
ー「 " お仕事の帰りですか?いつもここで空を
眺めていますね。恋しい人でも、いるんですか? " 」
そんなに見てたのか、オレ...
" いや…失礼します… "
ー「 " じゃあ。またね。" 」
わわわー…危ない人なんじゃないの……
美形の人だった。魅力的な人だからこそだ。
気をつけよう。
次の日 >
ー「 " また、お会いしましたね。" 」
" あああ…どうも… "
" えっと……"
ー「 " ははは…怪しいものではありません。
あそこのカフェで働いています。" 」
ー「 " お茶でもいかがですか? " 」
◇ ◇ ◇
お言葉に甘えて店に入ってしまった。
早速、コーヒーの匂いが迎えてくれる。
流行ってるお洒落なカフェでは無いけど、
柔らかい雰囲気がして、とても良いと思った。
オレもいつかこんな店を開きたいなぁ。
" すみません…… "
" オレ、人に慣れてなくて… "
ー「 " 私もそうですよ。人に声をかけるとか、
勇気出しました。" 」
" えっと…なんでオレに? "
ー「 " 珍しくて、つい。空の向こうの誰かを
ずっと待っているようで…話をかけているような、
私にも分かる気がしたのです。" 」
彼が淹れてくれた温かいラテは凄く美味しくて
……幸せの味がした。
好きな仕事をしている彼が
眩しく見えた。
◇ ◇ ◇
朝に起きる。
お布団の誘惑から勝った自分が偉い。
そうだ…。自分を褒めて育てるんだ。
お父さんの小言が聞こえなくなった
部屋は寂しいけど、
考えば……。
オレはどうやって今まで
一人でやって来たのか、分からない。
両親の葬式で死ぬほど泣いて部屋に籠もった。
親戚からの心配の電話も避け続けて…。
たまに朝、外を出ると……
目がチカチカしてて……
眩しくて……。
ポロリ涙が出る。
……別に泣いてもいいと思う。
◇ ◇ ◇
" お疲れ様でしたー "
" あっ…… "
" どうも…… "
ここでバイトしているのを彼にバレてしまった。
ー「 " こんばんは。ここで買い物をしてたんです。" 」
ここでバイトしてるのが恥ずかしい。
彼は好きな仕事をしてキラキラ光っているのに。
ー「 " えっと…ご飯、一緒に食べますか? " 」
彼はなんでオレなんかを気使ってくれるんだろう。
イケメンで服のセンスも良くて……。
....で、オレは今、彼の家にいる。
一緒に夜ご飯を食べる事になった。
ー「 " 私、全然自炊してなくて…料理下手なんです。
何か頼みますか?食べたいものがあれば…… " 」
" …オレが作っても良いですか? "
" その…簡単なものでもいいなら…… "
お父さんが3度の飯は大事だと
何度も何度も煩く言ってたから、
流石に毎日三食を食べるのは無理だけど
簡単なレシピから調べて自分で作って食べたら、
それが悪くなくて...
お腹以外にも何かが満たさせる気がした。
ツナマヨパスタを作った。
適当に作った特別な料理でもないのに。
彼は美味しく食べてくれた…。
嬉しい。
思わずじっと見ていたら目が合って…
彼は少し照れたように笑った。
かわいいー!!
◇ ◇ ◇
" 貴方もゲームするんですね。"
ー 「 " 大好きですよ。" 」
" オレもやってるゲームなので一緒にやりたいです!! "
オレも彼を誘ってみた。
ー「 " じゃあ、フレンド申請しますね。" 」
それをきっかけで彼と友達になった。
彼と一緒にいるとミルクがたっぷり入った
暖かい冬のココアのように、
ホイップクリームのみたいに
ふわふわっと……心地良い。
ー「 " ごちそうさまでした。美味しかったです。" 」
" ありがとうです…!!"
彼と夜ご飯を一緒に食べるようになって、
料理が好きだと思えるようになった。
ネットや本のレシピを真似して
自分のレシピも考えるようにもなった。
たまにコミュのアイツの事が浮かぶ。
今考えると……
オレがちゃんと仕事をして、
現実を生きる契機になったのは
アイツのお陰なのかもしれぬ。
感謝は出来ないけど。
オレにやった事、100万倍以上回収して
滅びて欲しい。マジで。
もう、それなんかより……
彼が美味しく食べてくれる顔を見るのか
好きなのだ。
自分だけの時間が減るのは嫌だけど
体力が持つか心配だけど、
料理勉強するか…!!!
料理関連のバイトも見つけて始めた。
登る階段をアップグレードしたんだから
やっぱりハードルは高く、難しい。
汗ばむ毎日だけど、不思議と
頭の中は冴えてくる。
オレも彼みたいにいつか…輝きたい。
◇ ◇ ◇
" 将来…オレと……"
ー「 " うん?? " 」
" オレのバリスタさんになって下さい…!!"
ー「 " これはプロポーズなんですか? " 」
彼に話す。彼と一緒なら、どこでも
どこまでも行ける気がする。
ー「 " 私が宇宙人だとしても信じてくれますか?" 」
" もし宇宙人だとしても…"
" 貴方なら尊重します。"
" 地球に来たのも理由があると思います。"
" 貴方の話しなら全部聞きたい…!!"
言葉は伝えるものだ。
心は言葉で伝えるしかない。
まだまだ、頑張りたい気持ちだけで、
現実的に金も無いし。
でも自分が自分を馬鹿にしたら終わりだ。
" 貴方に出会えて良かったです…"
" オレに声をかけたくれて本当に感謝してます。"
" これからもよろしくお願い…致します!! "
ー「 " じゃあ。私たち将来の、
相棒としてよろしくね。"」
" はいーー!!! "
彼はオレをバカにしなかった。
それだけでも胸がいっぱいになる。
久しぶりに彼と空を眺めて星を見た。
まだまだ絵描く未来は遠いって分かってる。
でも夢を大切にしたい。
するものだ。