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璃津の話し。(仮)   作者: Cafe.ひねもす。
1/3

# 一話「 ハローグッバイ。」

 

「ネットコミュニティー。」



 広くて狭いインターネット世界の中、

 同じ趣味で繋がっている場所。


 オレはそこの人たちが好きで、

 信じて信用していた。



 でも自分に返って来たのは…。



 オレはなんの為にあんなに頑張ったんだろう。

 なんでそこで自分の時間を捨てんたんだろう。


 オレの事、信じてくれる人なんて

 一人もいない。



 無言でオレを睨みつけてる空間。



 特にアイツ。

 死ねばいいのに。


 マジで....死ねばいいのに。



 "……外に出よう。"



 外の空気を吸えば少しはマシになる。

 歩いて歩いて自分なりに頭を冷やす。


 散歩中のわんちゃんの姿を目で追いながら、

 晩ごはんは何にしよう。コンビニはもう嫌だな。

 どんどん単純な思考に戻ってくる。



 ネットの世界なんかスマホの画面から

 消せば終わりなんだ。



 " 知るかっ "

 " アプリ削除完了っ "



 ー「 " 気をつけてー!!!" 」



 .....誰がを死ぬほど嫌っていたら、

 罰が当たるんだね。



 ー「 " 青年ー!! " 」



 ◇ ◇ ◇



 ー「 " 青年、無事か? "」

 ー「 " スマホ歩きしたら駄目だろう。

 君、お名前は? " 」



 " あ…璃津です "

 無意識で下の名前で答えてしまった。

 道端で急に転ぶとは何ってこった。



 ー「 " 無事みたいだな。どこか異常があったら病院な。

 これ重要だぞ。" 」



 なんか見えてる....



 ー「 " ただ俺が見えてるだけー☆ "」




 おじさんが一人……

 浮かんでるような…



 足が無い…??




 ー「 " はははっはっ " 」



 おばけ……?幽霊??



 ー「 " そうとも言える。おじさんまだここに未練が

 残ってなぁ〜 " 」




 これからどうなる?

 ……オレはどうすればいい?




 ー「 " なんか君、落ち着いてるねぇ。

 足が無いおじさんだぞ。怖くないのか?" 」



 全然、落ち着いて無いし。


 ……なんかおじさん、おじさん過ぎて

 怖くは無いと思う。



 ー「 " オイオイ、おじさん生前は結構ーー

 ハンサムだったぞ?" 」


 ー「 " まぁ…この足無いおじさんが怖くない事で…" 」



 たぶん……そうだと思う。



 ー「 " じゃ、この怖く〜ないお化けおじさんの事、

 助けてくれる? " 」



 ◇ ◇ ◇




 行って来ます。



 ー「 " どこに行くのか?バイト? " 」



 おじさんは幽霊だから隠せないと思う。



 オレ、数年前に両親が二人とも

 亡くなってて……両親が残してくれた

 この家と貯金で生きてんの。


 金はどんどん減っていくのに…。


 オレという存在。これから何をしようか、

 何をして生きれば良いのか分かりません。


 心配だけど、分からない。


 考えすぎると不安になるから……

 正気を保つために散歩にでも行くの。



 ー「 " うむ。" 」

 ー「 " じゃ、バイトはどう? " 」



 おじさん、うざっ……



 ー「 " それ以外にもなんかあるみたいだな。" 」



 ……実は転ぶ前におじさんの声が聞こえたんだ。


 幻聴が聞こえて、次は幻覚まで見えて

 マジでヤバいと思った。


 オレは、これからどうなるんだろ。とね。


 おじさんと最初から口を開けて声を出して

 話した事、無いからね……!!



 ー「 " あっ... " 」



 幻覚と幻聴って精神分裂病だよね。

 おじさん本当に幽霊なの…?

 オレをどうするつもり……??



 ー「 " 信じてくれないと思うが、

 おじさんの願いを叶えくれたら空を飛んで行く。" 」



 ー「 " お前さんを苦しめたりなんてしないから、

 おじさんはいいー…いい幽霊だからねぇ!!" 」




 ....いい幽霊ってあり?


 おじさん、オレはただのバカなんだよ。



 オレ、一人だから、

 ネットの人間達を信じて頼ってた。


 同じ趣味で出会って……

 みんなと楽しく話して……


 毎日楽しかったよ。



 でも....


 突然、変な奴が現れてイジメされたんだ。

 皆にも言ったよ…?


 でもオレが悪い悪党になってしまった。


 アイツってホント隠れてオレだけがわかるように

 イジメして来るんだよ?


 何度も辞めろって言った。

 でも続いて続いて…止まらなかった。


 オレの事を真似して、

 ストーカー行為みたいなのもあった。



 ー「 " うん。" 」



 でも負けたくなくて、コミュを続けた。


 イジメとストーキングの証拠となるものを集めて、

 そのデータを管理者に提出したの。



 そしたらね。

 コミュの中でそれも我慢出来ないんですか。

 貴方が辞めて下さいって言われて…。


 オレが変人になったんだよ。


 コミュの空気感から離れたオレって…。

 理解なんて最初からして貰えなかった。


 オレ、どこから…何を間違えたんだろ。



 ー「 " うん。" 」



 オレはただ、みんなと楽しく過ごしたかった。

 イジメ行為的なモノがあるなら解決して平和に。


 でも誤解は重なっていって……


 何度も勇気を出した。ても無視された。

 透明人間扱いされて辛かった。



 ー「 " 大変だったね。" 」



 もう、言葉で解決出来ないのなら

 みんな死ねばいいって思った。



 その結果が……



 おじさんなのか?

 それでおじさんが見えてるのか?



 ー「 " そうかもな。" 」



 ......。



 なんかスッキリした。

 話聞いてくれてありがとう。おじさん。



 ー「 " なんでもいいよ。過去に自信を持って。" 」


 ー「 " 昨日の事を浮かべて、悪くなかった…と

 思えたならそれでいい。君がやってきた事、

 一つ一つが全てムダな事じゃないんだ。" 」




 ゴミ人間でも……?



 ー「 " 人間関係とはなぁ、ギブアンドテイクで

 お前がどんなにいい人であっても相手がゴミ人間なら、

 いい人になれない。" 」


 ー「 " それはしょうーが無いから。世の中って…まぁ、

 そんなもんだよ。" 」




 おじさんは良い事ばっかり言うんだけど

 なんで成仏出来なかったの。

 人でも殺したの。




 ー「 " 失礼な。言ったろ…未練があるんだよ。

 大きな未練がなぁ……。" 」



 それ、本当にオレが出来るの?



 ー「 " 俺たちが会ったのは偶然じゃないと思うぞ。

 なんとかなるだろう。" 」



 ご飯食べようっと……。



 ー「 " うむ!3度の飯は大事!!冷たいものと甘いモノは

 食べすぎず!そして睡眠時間"…… 」




 はいーはいー。



 ◇ ◇ ◇




 ー「 " おはよう。璃津。" 」



 おじさん、オレ…眠れなくてね。

 ずっと考えたんだ。



 その人の事、可哀想に思う事にするね。



 オレ、なんも無いけど……その人よりは

 なんかありそうな予感がする。



 ー「 " それな、宝石も磨いてこそ光る。" 」

 ー「 " 痛い。辛い経験があったからこそ、

 光るんだよ。" 」


 ー「 " 子供の頃、食べられなかった野菜が美味しく

 なるように、いつか掃除と皿洗いを楽しめる大人に

 なるんだ。" 」




 うざっ……


 はぁ…うちのお父さんが生きていたら

 同じ事を言ってたのかな。



 ー「 " 父さんの顔、覚えてる? " 」



 悲しいけど…見れないし触れないから

 どんどん記憶から薄れて行くんだ。


 オレ、臆病だから写真を見る勇気も出なくて。

 でも…ちゃんと覚えてる。名前も。




 ー「 " ……そっか。" 」



 ねえ、今更だけど

 おじさんのお名前も教えてくれる?



 ー「 " 死んだ人間の名前なんか別にいいだろう。

 それより、朝ごはんだーー!!" 」




 うざいーー

 ちゃんと食べるよ...。



 ◇ ◇ ◇



 お化けおじさんと2ヶ月を過ごした。

 おじさんが煩すぎてアルバイトも始めた。



 ー「 " ミスなんて誰でもやってる。

 怖がらなくても良い。学びながら成長するのが

 大事なんだ。" 」



 おじさんのその言葉のお陰で

 なんだか余裕が出来た。


 ゲームのクエストみたいに

 ひとつ、ひとつ。


 クリアして成長するのが大事なんだ。




 意地悪な人も勿論いる。


 でもネットの世界よりはマシな気がする。


 現実では努力すれば認めてくれるし。

 お金という報酬も貰える。



 オレはもう…。

 透明人間じゃないんだ。


 生きているんだ。



 ◇ ◇ ◇



 なんだか軽い気分になった。

 全部おじさんのお陰だ。



 汗かいて食べるご飯を美味しく感じる。

 夢も出来た。いつか小さなお店を開いたい。



 オレは何が出きるんだろ。



 そう思えば.....

 学生の頃、オレは文と絵を書くのが好きで、

 周りの人より、少し才能があった。



 国語の先生に褒められて、

 作文コンクールを勧めて下さったり。


 自分の絵を見に来る子たちもいた。

 描いた絵を消しゴムで消したりすると

 勿体ないとまで言われたのだ。



 今更だけど…ありがたい。

 その気持ち、大切に取って置きたい。



 でも、その時も最低の奴がいて、

 学校が大嫌いになって学校を辞めて漫画家になると

 言い張って両親に苦労をかけた。




 あれ...?


 お父さんの.....

 顔.....



 ◇ ◇ ◇



 お父さんー



 ー「 " お帰り〜 " 」



 ごめんなさい。お父さんの顔忘れちまって……

 オレって本当に最低でバカな奴だよ。



 ー「 " 母さんは大人の事情によって一緒に

 来れなかった。ごめんな。" 」



 なんで老けたのーー幽霊なのにー



 ー「 " こらっ。失礼な。天国でも人は人なんだぞ。

 俺はこの顔でお前に会えて嬉しいよ。" 」



 ー「 " 寂しくさせてしまったな。お前がいつも心配で

 心配で神さまに祈ったら叶えてくれたよ。" 」


 ー「 " 一人でよく頑張ったね。よしよし。" 」



 おじさんーーー...




 ー「 " 璃津、お前の人生はお前だけの人生なんだ。

 私たちの大切な息子だ。なんでもやれば出来るさ。」



 ー「 これからもっと辛い事があっても、

 もっと酷い奴が現れても、人から傷つけられて…

 人を傷つけてしまって…


 辛いと思えるお前は良い子なんだよ。"」



 ー「 " 自分を信じて生きて欲しい。

 ...負けるなよ。"」




 " うん。"




 ー「 " 父さんの名前、呼んでくれるかい。" 」




 " …っ。 "

 



 ー「 " ありがとう。それが聞きたかった。"」



 ー「 " 愛してるよ。" 」

 ー「 " いつまでも...いつまでも..." 」



 ー「 " .....この気持ちだけは永遠だ。"」




 お父さんと過ごして楽しかった!!

 一生忘れない!!!



 ……またね!!


 ……また、ね。



 ◇ ◇ ◇



 古いアルバムを開いた。

 赤ちゃんのオレも若い両親の姿も

 なんどもなんども、見返して頭の中に刻んだ。



 両親がこの世から居なくなった事を、

 自分が一人になってしまった事も、


 事実を認めたくなくて、

 確認したくなくて。



 墓参りに一度も行っていない。



 寂しくさせたのはオレも同じだ。

 親不孝な奴の前によく来てくれたね。

 お父さん。



 そして若い頃は本当にハンサムだったね。

 お母さんも美人で、この遺伝子はどこに行ったのやら。



 神様がオレのところに父さんを

 送ってくれたのは、あり得ない話で、

 誰も信じてくれないだろう。



 でも、前みたいに誰かに信じて

 貰えなくてもいい。



 神様とお父さんに応援されて、

 愛されて、祝福されたんだ。



 オレには寝て起きれば明日がある。


 自分の人生の中でルートを作るのも、

 ルートを回収するのも自分自身だ。



 ハッピーエンディングを迎える為に

 花を咲かせよ。



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