〈 第壱之策 〉この世界におさらばを。そして───
俺は常々疑問に思うことがある。なぜ人は家柄や容姿だので媚びへつらうのか。ホント気色悪い。そして、その多くが女性だ。毎日毎日告白やらされあまつさえストーカー行為に至った女性もいる、その時は流石に常識を疑った程だ。
ホント嫌になり学校へ向かう足取りも重く感じる程だ。今からでもすごく帰りたいところだが、流石にそうもいかない。俺が通っている高校はいわゆるボンボンの金持ちとかが通う良いところの学校だ。1度休んだだけでもそれなりに成績に響き、名家である研堂家にも泥を塗ることになるし父親から凄い怒られることも目に見えている。
そんな目に見えている結末を知っていながらサボるなど愚者がすることだと、脳では分かってはいるのだが身体は分かってはいないようで大きな溜息を吐いてしまう。
『 ど〜したよ、亮? 』
小首を傾げ隣から問いかけてくるコイツは俺の学校での唯一無二の友人である北嶋海斗だ。海斗は容姿や家柄に関係なく気さくに接してくれる奴で海斗のお陰で俺は今の今までなんとか学校に来られているのだ、もしコイツと出会わなければ俺の周りの人間関係に疲れ学校を退学していたであろう。陰ながら感謝を抱いている相手である。まぁ、本人に言うと〔どったのお前?気色悪る熱でもあんじゃねぇーの?〕とかなんやら言われそうなので絶対に口が裂けても言わないが。
『 別に…なんでもねぇーよ 』
『 ふーん 』
直接海斗の顔を見てはいないが、生ぬるい視線を向けられていることは分かる。それと同時になんでも無い訳じゃないこともお見通しであろうことも。
海斗と俺は中学校時代からの付き合いであり、それなりに長い時間を共に過ごしてきた。お互いの考えること考えそうなことはそれなりに理解出来るし察しが付く。
『 んじゃ、遠回りして学校行かね?少し遠回りした所で学校には余裕で間に合うんだしよ 』
海斗がそんな事を肩を竦めながら言い出す。俺たちはいつも早い時間に登校している、そのためホームルームの30分前には学校へ到着してしまっていて、まぁまぁ暇な時間を過ごしていたりしているのだ。海斗の言う通り遠回りした所でホームルームの15分前ぐらいには着くから学校には余裕で間に合う。
これも海斗の優しさであろう、今はただその優しさに甘え軽く頷き了承する。見透かされていることは余り解せないが…。
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俺達は本来の通学路とは別の道を歩んでいた。
『 なんでこんな細い道を選んだんだよ… 』
恨めしそうに後ろを歩く海斗の方へ振り向く。
『 良いだろ、こっちの方が一番の遠回りなんだしよ 』
遠回りだと言っても流石にこの道だけはないだろと思う。やたら道は長いくせに幅は人一人半ぐらいの横幅だと言うのに、幸いのことなのか前から来る人が居ないのが唯一の救いであった。
『 遠回りが長く出来れば道のりはなんでもいいってもんじゃ無いと思うんだけどな… 』
乾いた笑いしか正直出てこない。海斗としても俺が嫌いだから…とかそんな理由でこんな道を行っている訳じゃないと理解している、逆にこれは海斗は俺を心配しておこなっている行動だということも理解出来てはいる。出来てはいるのだが心配してくれているのなら道のりももう少し考えてほしかったと高望みを少ししてしまう。まぁ、心配してわざわざ遠回りしてくれたことだけでも感謝はしようこーゆー海斗の優しさには何度も救われてきたことだし。
『 で、亮…どーなってんだよ? 』
先程とは変わった声のトーンが亮に向けられる。どーなってるとはつまるところ俺と父親の関係だった。
俺と父親の中は小学生の3年生の頃だったろうかその頃から犬猿の仲だった。その原因になったのは俺の将来の事でだった─────────
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『 なんでなの!なんで先生になっちゃいけないの! 』
あの頃の俺は教師になるのが夢だった
俺はある戦国時代の人達の描かれている本を手に取ったことがあった。最初は興味薄でペラペラとページをめくり、適当に見る程度だったがある時俺の目に1人の人物がとどまった。その人物の名は諸葛亮、後に三国志演義で孔明という今では誰もが知っている名前が定着した人物だ。そこからだ、俺は歴史が好きになり三国志で生きた武将達が好きになったのだ。まぁ、孔明は武将じゃないけど孔明は特別である、うん。
『 オマエは俺の跡を継ぐんだよ! 』
毎日毎日、耳にタコができる程父から聞いた言葉だ。当然の事ながら俺は毎日毎日反発した、俺の行く先を勝手に決めるな、勝手にレールを引くな…と。だが、当然と言うべきかそんな言葉は父には届かず、分かるまで暴力と言う手段で子供を黙らせてくるクズ親にまでなった。
唯一俺の夢を応援してくれたのは母親だけだったが、その行為が余っ程気に食わなかったのだろう父は俺だけじゃなく母にまで、暴行を奮った。
父の暴行は酷かった、と言う一言ではとても言い表せないほど最低な物だった。そして俺が小学四年生の頃、母は自殺した。父の暴行に耐えきらなかったのだ。
その一見で警察沙汰になったがただの育児の疲れによる自殺と決定付けられた。
父の昔からの友人であり、刑事のお偉さんである1人を脅し無理矢理にそう決定付けさせた。どんな決定的証拠を警察に出しても結局はそのお偉いさんに握り潰されて無駄と終わる。だから、物理的の復讐は残り殺人のみになる。だけど、殺したところで母は帰って来ないし、喜んでもくれないだろう。だから、俺は決めたんだ。物理的な復讐が無料なのなら精神的の復讐を…と。だから俺はますます夢を叶えなくちゃならない。
それから俺は夢を追い続けた。図書館で独学に歴史を学んだ。わからないことがあれば学校の教師或いはそこらの中高生にすら話を聞いた。俺はそこまで無我夢中になっていた。
そして、小学六年生になった頃父は俺から興味をなくしていった。自分の言葉に聞く耳を持たないと理解したのだろう。父が俺に興味をなくしたことは良かった…だが、興味をなくした子は要らないらしい。俺を家から追い出したのだ。
そこから俺は祖父母の家に転がり込んで父から注がれながった分の愛情を一杯注いでもらった────
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『 おーい!亮!大丈夫か!? 』
その声ではっ、と我に返る。
少し嫌な過去を思い出していた。
『 あ、あぁ…平気だ… 』
心配そうに海斗が俺の顔色を窺う。海斗は俺の事情は結構知っている人物であり、たまに俺を心配してか飯に誘ったりしてくるのだが、今回みたいに直接ストレートに聞いてくることは少ない。逆を言えば直接聞いてくるほどそこまで俺は顔に出ていたのだろう。
『 なんか悪いな、心配かけてよ… 』
わざとらしく笑いながら少し声のトーンを上げこの暗い空気を終わらせようとしたが、一向に後ろに居るはずの海斗から言葉が帰って来ない。
不思議と思い、後ろを振り返って見れば黒い覆面を被った2人の男があり、その1人である大男に海斗が担がれていた。
『 お前ら何も──────── 』
ありえない光景に声を荒あげようとした亮であったがもう1人の男が亮に手を伸ばし何かを首元に突きつけられた瞬間ビリッ…と衝撃が走り、そこで意識が途絶えた。
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『 どっすんだよ!このガキ!!全然使い物になんねぇじゃねぇか! 』
1人の男が廃墟であろうかその壁を蹴りながら大声で悪態を付く。その大声でやっと意識が戻って来る。どうやら誘拐に合ったみたいだと理解するのに時間は必要なかった。そして理解と同時にこの歳になって誘拐に会うとかダサいなと言う自分への自嘲だった。
身動きは取れない。椅子に座らされたままロープでがっちりと縛られていて口も塞がっている。唯一視界だけ塞がられて無いのが幸いだ。目線である程度は見える。そして、その確認できる範囲で海斗の姿は無い。こことは別の場所へ居ると言う可能性もあるが、共に連れてこられずあの細道に放置されている可能性もある。出来れば後者である事を祈りたい。
『 落ち着けよ…チッ…まさか自分の子供を助けねぇとはな…。 』
その言葉だけで理解してしまった。いや、出来てしまった。恐らくと言うか絶対こいつらは身代金目当てで俺を誘拐したのだろう。表上俺はまだ、あのクソ親父の息子と言う事になっている。そして、親父に電話をかけた誘拐犯達であったがスッパリと息子を切り離したことを悪態をつき無駄な危険を踏んだ事に苛立っているのだろう。
祖父母が亡くなる前に2人が話してるのを盗み聞きした事がある。俺の親父は俺を家から追い出したあと、孤児院を周り優秀な孤児を探していたと。そして父親が理想とする優秀な孤児が見つかり自分の手で育てていることを。
然程悲しくはなかった。この場ではまず、もう、助かることは無いだろうと確信していた。犯人の顔を見たわけではないが、声や体格はもうバレている。そのひと握りの情報だけでも犯人は絞れこめたりする。それを考えれば此処で俺を殺す事を厭わないだろう。
だが。その死という現実にあまり恐怖はなかった。むしろ喜ばしいまであった。やっと楽になれる。死んだ母に祖父母に会える…と言う喜びの方が強かった。それほどまでにこの世界は生きにくかったのだろう。
あぁ…でも心残りが無いと言えば嘘になる。夢だった教師にはなりたかったし。海斗には最後の最後まで迷惑を掛けたから謝りたかったなぁ…そう思いにふけっていると大男では無い方、亮を気絶させた方の細身の男が亮の方を振り向くと意識を取り戻している事に気づいて、こちらへと歩み寄ってくる。
そして、そのまま、額にと拳銃を突き付けられる。どうやら、互いの間で話は決まったみたいだ。殺すと言う結論に
『 最後に言い残す言葉ぐらいは聞いてやるよ。 』
3人しか居ない廃墟の中に男の声が響き渡る。どうやら、遺言ぐらい話させてもらえるみたいだが、まぁ当然だがこんな奴らにいい残すことはなく、首を横に振る。
『 じゃあ…てめェには悪ぃが死んでもらうな 』
それを最後に廃墟全体にパッーーンと言う発砲音が響き渡った。
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痛みを感じなかった。それどころか感覚において感じることが出来る。その場に正座して座ってる感覚があり、近くからは淹れたてであろうか香ばしいお茶の匂いが漂ってきているのが分かり、前からは人の気配すら感じる。まだ、俺は殺されていないのだろうか…?と恐る恐る目を開けるとそこにははやり卓袱台の上に置かれたお茶がある。しかも3つ、そして、ゆっくりと視線を正面に向けると………
そこには長く髭を生やし腰ぐらいまでだろうか白い髪を伸ばした老人とボーイッシュ系の髪をした中性的な顔立ちをした少年…?少女…?が目の前に座っていた──────
どうも。お久しぶりです。
まずは感謝の言葉を!!!Twitterにて、この小説の宣伝をし、思った以上の反応を頂き有難う御座います!!
そして、感想やいいねなども数件も頂きました!!
いや、たったの数件かよと思われるかもしれまさんが、一応言います!!勢いで始めた新参者です私は!!そんな、私に対して数件も頂いたんですよ!嬉しい限りです。ここだけの話もらった直後マジ泣きしました。ホントに読んでくれている人がいるんたと実感しました!!
ホントにいいねや感想ブックマーク付けてくれた皆様ありがとうございます!!。
さて、先に感謝の気持ちを伝えちゃったので〆そうになっちゃいましたが、少し言い訳させてください!!
すっっごい日にち空いちゃいました。(遠い目)
本当はですよ、週1投稿目指そうとしてたのですが、いやぁ〜短く収まらない収まらないで結構な月日が流れちゃいましたよ。
長すぎても読むの飽きられちゃいそうだし、かと言って短すぎても内容伝わらなそうだしで、大変でした(笑)
だから、今回もこんな中途半端で終わったんですよ、ホントは転生してしまった!?うそ!?みたいなところまで書きたかったんですが、そーすると更に時間かかりかそうで、早くしないといけないと言う焦るからこうなりました事を謝罪します。
さて、色々書きたいこと書いたので語彙力はクソですが、今後ともこの勢いと思いつきでやり始めた語彙力のなく誤字の多い小説をお願いします。
P,S, あ、月に1回は必ず投稿します、早い時は週1やら2やら、、、、




