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朝目を覚ますと、明らかにおかしい魔力を感じた。
まあ普通の魔力、ってのがよくわからないのだが。
「あなたも感じますか?」
苺さんにそう言われ、
「ああ、感じる」
自然と言葉が出てしまった。
「何だこの魔力は…」
「これは、恐らく魔人が放っているものですね…」
「魔人?」
「ええ、発生源の位置は見当がつきます。
行きましょう」
街の外、ずっとずっと北の方へいった。
そして…
「まさかもう嗅ぎ付けた奴がいたなんて」
あの後、途中で洞窟を見つけた。
その奥に、紫の屋敷が立っていた。
そして今、その最深部に来ている。
「魔力が薄ければバレないとでも?独特の癖があるので丸わかりですよ…
魔人の女王、夜桜」
苺さんは、紫の上着と黒いタイツを身につけた、髪が綺麗な青と紫のグラデーションになっている女の子と普通に喋っている。
「あらそう…
先に異人用の神経毒でも撒いておくべきだったかしら」
「一応尋ねましょう、何故こんなことを?」
「魔人が地上に進出するにあたって、邪魔な光の力を弱めるためよ。
もう、こんな狭い所で燻ってるのはうんざりなのよ」
「ふーん…」
ここで女の子は、俺の方を見てきた。
「そこの男は、私に喰われる為に出向いてくれたの?」
「いや、お前を倒しにきた」
彼女はへぇ…とため息をつき、
「今時の人間が、こんな面白い事を言えるとはね…」
と呟いた。
そして、
「その妄想、体ごと溶かしてやるわ!
奥義 [蠱毒の霧]!」
「あらあら、血の気の多い事で…
まあ、あなたなら大した事はないでしょう。
速やかに終わらせ、帰りましょう」
「そうだな…
[皇の威圧感]」