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「次は、あそこに行きましょう!」
苺さんはカフェを出た後も、俺を引っ張っていく。
しかし、苺さんがこんなに積極的だとは思わなかった。
ひょっとしたら、こういう経験をしたことがないのかもしれない。
司祭となると、なかなか外にも出れないだろうしな…
ん?そういえば、苺さんは結局なんて所の、どのくらいの地位の司祭なんだろう?
結局、昼にはファミレスに来た。
「なあ、苺さん?」
「何でしょう?」
「あんたは、結局どこの司祭なんだ?」
「私は、サンライトという国の最高司祭ですよ」
「へぇ…」
サンライトってのは、ここからずっと西にある魔法使いの国だ。
そこの最高司祭ってことは…
なんだ?王様みたいなもんか?
「そんな司祭さんが、なんだってこんなことしてんだ?」
「今は言いません。
あなたが、私を受け入れてくれたら話します」
「?」
受け入れる、ってどういう事だろう。
その後は服を買ったり、映画を見たりした。
完全に休日の友達同士の遊びそのものだが…
この人は友達ではない。
…いや、友達…みたいなもの…なのか?
なんだろう…この不思議な、暖かいような、複雑なような、気持ちは。
夜中、ふと目が覚めた。
何か声が聞こえてきたので苺さんの方を見ると、書物を広げて手を目の前で合わせて何か言っていた。
最初は祈りでも捧げてるのかなと思ったけど、よく聞いてると違った。
「ムベス…トゥク…デュラ…カリスティ…
カノム…ルーメゲレス…マラー…
カノテロバン·クォート·サノレマ…」
所々聞こえなくて、一瞬意味がわからなかったけど、すぐに理解できた。
高位の魔法使い系の異人にだけ通じる言葉で喋ってるみたいだが、訳すと「彼の者に無病息災を…抄の身に一時の幸せを…抄皇らに永遠の安泰を…」って言ってる。
抄、抄皇、ってのは高位の異人が使う言葉で、前者は女が使う一人称。後者は「私達」とか「我々」って意味がある。
あれ?なんでこんなのわかるんだ?