25ページ目
何年もの間、手記を書くのを疎かにしてしまっていた。
今書いているこれは、掃除の時にふと気づいて、書き始めたものだ。
しかも、なんページか破れている。最悪だ。
まあ気を取り直して…
あの後、苺さんの国であるサンライトに連れていかれた。
そして、向こうの術士とか賢者とかに紹介された。
その時、苺さんは俺の事を恋人、とか彼氏、とは呼ばずに旅先で見知った魔皇、とだけ呼んでいた。
さすがに国の元首が、そんなことを言うのはまずいよな。
そして、国のお偉方にも顔を見せられた。
お偉方は、人間あがりの魔皇は珍しいとか何とか言ってた。
そんなこんなで、俺は正式に国外に苺さんと同居して、世界の平和を守る魔皇として認められた。
まあ俺は何もしてなくて、苺さんが色々働きかけてくれたのだが。
気づけば、苺さんと付き合い始めてから25年が経っていた。
前は特に変化はないと書いたが、全くなかった訳ではない。
俺と一緒にいるとき、苺さんが俺と手を繋いだり笑ったりする機会が増えた。
それから、少しずつ彼女から敬語が抜けていった。
聞けば、苺さんが敬語を使うのは他人だけらしい。
てことは、俺のことはもう他人とは見てないのか。
それは、素直に嬉しい。
ここ数年間、大きな事件は起きていない。
このまま平和が続いてほしいなと言ったら、苺さんはそうね、と言いながらも、でもちょっとつまらないかも、なんて言ってた。
まあ、それは否定しない。
何もいざこざが起こらない世界なんて、つまらないよな。




