14ページ目
ニームの町の建物は、白と青い色のものが多かった。
「ずいぶんおしゃれな町だな…」
「そうでしょう?
建物がみんな白と青なのは、ここだけなのよ。
そして…話す必要がないのもおそらくここだけね」
話す必要がない、ってどういう事だ?
そう言おうとしたら、頭の中に複数の声が聞こえてきた。
『あの人、何者?』
『人間…みたいだけど、それにしては随分強い魔力を持ってるね。
サンライトの司祭さんも一緒だし、大賢者か何かじゃないの?』
『なんで大賢者がここにくるの?』
『それはわかんないけど…てか、これ向こうに聞こえてない?』
『あ!ヤバっ!』
声の方を見ると、三人の水兵がこっちをチラチラ見ながら話していた。
…いや、話してはない。
彼女らは口を動かしていない。
声が、直接頭に入ってくる。
聞こえてるよ、ばっちり。
「え、私達の心の声が聞こえるの?」
口でそう言ったのは、エミナさんの娘さん…ユキちゃんだった。
「そうみたいね。
…まあ、こういう事よ。水兵は元々、声で話さなくとも心の中で念じる事で会話ができるのだけど、ニームではそれが普通なのよ」
「テレパシーってか」
「まあそんな感じね。
…しかし」
エミナさんは俺を物珍しそうに見てきた。
「水兵以外で、彼女らの話を聴ける者はそういない。
あなた、心を読む能力でも持ってるの?」
「意図して読める訳じゃないが…
たまに聞こえる事があるな」
「そう…能力というか、不完全な性質、って感じなのね。
『彼は魔皇よ、今ここを案内しているの。
あなた達は仕事に戻りなさい』」
口では俺に話しつつ、心の中では向こうの三人に向かって話していた。
それを聞いた三人は、エミナさんに一礼してどこかへ去っていった。
仕事に戻ったんだろうか。
この時、今まで黙っていた苺さんの心の声も聞こえた。
『彼にそんな力があったなんて…
もしかして、私の心の声も聞こえているの?
だとしたら…はあああ!』
なんだか知らないが、取り乱しているみたいだ。




