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とある魔皇になった人間の話  作者: スルート
魔皇の手記
14/24

14ページ目

ニームの町の建物は、白と青い色のものが多かった。

「ずいぶんおしゃれな町だな…」


「そうでしょう?

建物がみんな白と青なのは、ここだけなのよ。

そして…話す必要がないのもおそらくここだけね」

話す必要がない、ってどういう事だ?

そう言おうとしたら、頭の中に複数の声が聞こえてきた。

『あの人、何者?』

『人間…みたいだけど、それにしては随分強い魔力を持ってるね。

サンライトの司祭さんも一緒だし、大賢者か何かじゃないの?』

『なんで大賢者がここにくるの?』

『それはわかんないけど…てか、これ向こうに聞こえてない?』

『あ!ヤバっ!』

声の方を見ると、三人の水兵がこっちをチラチラ見ながら話していた。

…いや、話してはない。

彼女らは口を動かしていない。

声が、直接頭に入ってくる。

聞こえてるよ、ばっちり。

「え、私達の心の声が聞こえるの?」

口でそう言ったのは、エミナさんの娘さん…ユキちゃんだった。

「そうみたいね。

…まあ、こういう事よ。水兵は元々、声で話さなくとも心の中で念じる事で会話ができるのだけど、ニームではそれが普通なのよ」


「テレパシーってか」


「まあそんな感じね。

…しかし」

エミナさんは俺を物珍しそうに見てきた。

「水兵以外で、彼女らの話を聴ける者はそういない。

あなた、心を読む能力でも持ってるの?」


「意図して読める訳じゃないが…

たまに聞こえる事があるな」


「そう…能力というか、不完全な性質、って感じなのね。

『彼は魔皇よ、今ここを案内しているの。

あなた達は仕事に戻りなさい』」

口では俺に話しつつ、心の中では向こうの三人に向かって話していた。

それを聞いた三人は、エミナさんに一礼してどこかへ去っていった。

仕事に戻ったんだろうか。



この時、今まで黙っていた苺さんの心の声も聞こえた。

『彼にそんな力があったなんて…

もしかして、私の心の声も聞こえているの?

だとしたら…はあああ!』


なんだか知らないが、取り乱しているみたいだ。


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