天才機械技師スキルSSSの天才悪役令嬢はヒロインと組んで国を建て直す!王子?あぁ、腕からロケットパンチ出るようにしておきました
「レイチェル・スカーレット!今日をもって君との婚約は破棄させてもらう!」
パーティー会場の大広間に男の声が響く。
彼こそは私の婚約者、名前は……えーっと、名前……思い出せないな……。
そして彼が抱き寄せているのはミレイユ、異世界転移してきたとか噂の聖女様だ。
「君の悪事はもうバレている!ミレイユにした嫌がらせの数々、そして僕の恋人を傷つけた罪を償ってもらおう!」
「……罪?私がですか?婚約者そっちのけで急に浮気相手の聖女(笑)との婚約を正式では無い場で叫んだ愚かな王子ではなく?私が?」
「な、何を言う!僕のミレイユだけでなく僕まで侮辱するか……!ミレイユ、君からも言ってやってくれ!」
彼は猿のように顔を真っ赤にして抱きしめているミレイユに言った
「わ、私のことはいいの、ノア……確かに、酷いこともされたけど、謝ってくれればそれでいいの…」
なよなよと泣き真似をしながらそう呟くミレイユ
忘れていた、王子の名前はノア。そう、ノアだ。
「ミレイユ!あぁ、君はなんて優しいんだ……きっとあの悪女も君の優しさに触れて優しい心をとりもどせることだろう……!」
全く、茶番すぎてため息しか出ない
周りのオーディエンスも騒がしくて不愉快だ
「静粛に!……私主催のパーティでそのような下らない茶番をするのはやめていただけますか?……大体、今日この場の主役はこの私!天才機械技師レイチェル・スカーレット!」
抱き合った王子とミレイユを押しのけてレッドカーペットの上を堂々と歩く
「そして!天才であるこの私が作った聖女型アンドロイド、我が帝国のジャンヌ・ダルクO‐28です!」
スポットライトに照らされたステージの上、私は高らかに声を張り上げ、私の最高傑作を群衆に公開する
「あぁ、最高だ……この人と見間違えるほど精巧なフォルム、肌触り、質感……そしてこのアンドロイドは従来の聖女、そう!ミレイユ、貴方です。貴方だけが使える光の魔力を生成することができるのです!」
明らかに困惑している王子とミレイユにも分かるように、丁寧に説明してやる。
「いいですか?光の魔法というのは聖女のみが使える特殊な力……そうですね?ですがそれも過去の話!この機体は体内に特殊な魔力生成機を積んでいまして、その魔力生成機が空気中のマナを……」
「おい!どういうことだ!?何を言っているのかさっぱり分からないぞ!」
「そ、そうよ!大体聖女を量産って、そんなこと出来るわけないでしょ!」
叫ぶ王子、そしてそれに同意して叫ぶミレイユ
「ふむ、そう思うのも仕方ありませんわ!さぁ!御手元の資料の12Pをご覧下さい!」
予め部下に配らせておいた資料を開き、白スクリーンに、魔力で説明図を映し出す
「なっ……どういうことだ……!?さっぱり分からない……!」
分からないを連呼する王子、教養が足りていないのでは?
「くっ……つまりは大気中のマナを自動で吸収して凝縮させ、そこに砕いた魔石をブレンド……なっ、確かにこの手法なら……いや、でも……」
ふむ、ミレイユはよく分かっているようですね。
「っ……素人質問で恐縮ですが……これでは内部にゴミが溜まるのでは……」
「いい質問ですミレイユ嬢!わかっているでは無いですか!ですが心配は無用!1ヶ月に1度程度掃除をしてくだされば5年は問題なく稼働致しますわ!」
「なっ、な……認めざるを得ませんね……これはまさに世紀の大発明、このへなちょこ王子の婚約者の座……いえ、未来の女王の座は貴方のものです、レイチェル・スカーレット様……」
ミレイユはその場に膝をつく
「いいえ、ミレイユ嬢。それは違いますわ」
1歩1歩、ステージを下り、彼女の元へ歩みを進める
「この国は、私たちが作るのです!そう!この天才機械技師レイチェル・スカーレット!そして貴方、この帝国でただ1人のオリジナル聖女、ミレイユ・クローティカ!私たちが組めばこの帝国は将来永劫栄えることでしょう!」
「レイチェル嬢……ふ、悪くないです。今までの確執は水に流すとしましょう」
ミレイユはゆるふわパーマの金髪をサラリとかき揚げ、不敵に笑った。
私たちは力強く手を繋ぎ、人々の歓声を浴びて堂々とレッドカーペットの上を歩いた
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