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1章ー6

エルミナと正式な許嫁となる約束をした。


そして…僕はすっかりと忘れていたんだ…。


周りに父さんが、母さんが、兄さん二人が…なんなら執事までいた事を。


「わはははは。さすがユーリは大物だな。家族の前でプロポーズ紛いの事をするとは」


父さんはお腹を抱えて笑っている。


「エルミナさん。これからは私の事はお義母さんと呼んでくれないかしら?」


母さんはすでに僕らが結婚したような気になっているみたい。…と言うか母さん確かさっきすでに義母さんって呼ばれていたよ?


「ユーリ、可愛いお嫁さんを大事にするんだぞ」「俺もまだ婚約してないのに…」


ロイ兄さんとレオン兄さんも祝って?くれた。


「父さん、エルミナはもう正式に許嫁になったんだよね?じゃあスキルの事は言っちゃってもいいのかな?」


父さんは少しだけ悩んだ後、「まぁここまでユーリを想ってくれているエルミナなら大丈夫だろう」そう答えた。


「ユーリ様?スキルって何の事ですか?ユーリ様もスキルが目覚められているんですか?」


エルミナにも家族に伝えたのと同じように僕が目覚めたスキルについて話をした。


「すごいです!ダブルスキルでも物語の主人公みたいなのに…ユーリ様は女神サリア様に祝福されているのですね」


エルミナは僕の話に目を輝かせている。あ~なんて素敵で綺麗な瞳なんだ…。


「そういえばエルミナ?さっきユーリ様もって言ってたけどエルミナもスキルに目覚めているの?」


輝いていた綺麗なエルミナの目が死んだ。あれ?それでも可愛いんだけど怖い。何か聞いたらまずかったのかな…。


「そうですね…。隠してもいつかは話さなければなりませんもの。…ぅりです。」


さすがに聞こえない。これ難聴系じゃなくて本当に聞こえないやつだからね!


「ごめん。もう1度教えてくれるかな。僕の耳が悪いせいで聞き取れなかったんだ。もう少し大きな声でお願い。」


死んだ瞳に涙がうるうるとしている。これも可愛い!でも、やっぱりまだ怖い…。


「だから!りょ…・です」


だってさ、聞こえない物はしょうがないよね?睨まないで…照れちゃうよ。


「どうやら僕の耳は腐ってるみたいなんだ。多分病気のせいじゃないかな。もう1度。本当にもう1回だけ教えて下さい」


エルミナは深いため息と共に頭を下げた後、ぐっと顔を上げると僕を強く見つめた。


いまの仕草、ワンモアプリーズ!


…ごめんなさい、ふざけました。なんで睨みが強くなったんてますかね。心の中で思っただけなんだよ?


そういや菜々美が言ってた気がするな…僕って顔に出やすい方だったっけ…。


「もういいです!ちゃんと言いますよ。私のスキル、生涯たった1つだけの私のスキルは…『料理』です」


エルミナの新雪のように白く可愛い顔が赤く染まっていく。


「私、貴族の…子爵家の娘でありながら料理のスキルなんです。だから、あまり人には知られたくなかったんです」


僕は肩透かしをくらった気分だった。


あまりに言いにくそうだったからてっきり「たいあたり」とか「なきごえ」とかトンデモスキルなのかと思ったよ。


まぁこの世界に「たいあたり」スキルや「なきごえ」スキルがあるかは知らないけどね。


「とってもいいスキルじゃないか!なんで貴族だからって料理スキルじゃまずいんだい?僕はいつかエルミナの作った料理を食べてみたいな」


エルミナは顔を両手で隠すと静かに泣いていた。


「ありがとうございます。料理なんて貴族にふさわしくないスキルだと、子爵家では身の置き場がなく辛い立場にあったのです。そんな私のスキルを…本当に嬉しいです!!もしよろしければ早速このスキルでユーリ様に何か作らせて下さい」


エルミナの強い意向により、みんなで厨房に行くことになった。

どうやらエルミナさんは嬉しすぎてちょっと暴走気味みたいです。でも、そんな子供っぽいエルミナも可愛いな。




厨房では10歳の女の子とは思えない様子でテキパキと料理が出来あがっていく。


素材を切ったり、炒めたり、焙ったり、煮込んだり、盛ったり。


まるでエルミナが何人もいるみたいだ。ものすごく早いスピードで料理が完成していく。


そうかこれがスキルの力なのか…。


これなら暴走気味かな?と心配した事も杞憂に終わるだろうな。


そう思った時に事故は起きてしまった。


スキルにはレベルが存分している。エルミナの料理スキルは1。


人はスキルを使用することは出来る。しかし当たり前の事ではあるのだがスキルレベルを超える動きに体はついてきてくれはしなかったのだ。


突然エルミナの体がふらりと傾いた。


「危ない!」


咄嗟に飛び出した僕はエルミナの体を抱き受け止める。


おそらくスキルの使いすぎでオーバーヒートでも起こしてしまったのだろう。


エルミナが倒れそうになった拍子にエルミナが手にしていたフライパンから油が飛び散っていた。


幸いな事に油に引火した炎は比較的小さい物だった。


しかし、失敗をしてしまったエルミナはそんな小さい炎を見てしまい気が動転している様子だった。


「ごめんなさい。私のせいで…私が失敗したから…。私がなんとかします!」


エルミナは気にしなくてもいいからね。僕たちはまだ子供なんだから失敗から色々学んでいこうよ。今は僕にまかせて。



「大丈夫。僕がなんとかするよ」





僕はエルミナにそう伝えると、そのスキルを発動した。



「スキル『請願』!!女神様。僕の願いを叶えて下さい。」



いま~私の~ねがーいごとがー叶うなーらば~♪


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