1章ー2
連続投稿って疲れますね。
説明回が続いてすいません。ヒロインはよ出てこい!
「ユーリ、大丈夫なのか?」
信じられないものを見たような、それでも心配そうな表情で父カインが問いかけてくる。
「うん。みんなしてどうしたの?僕は元気だよ。」
腕をぐるぐると回したり伸びをして元気さをアピールしてみる。なんだか僕が動くたびにみんな驚いてるみたい。
「えっとね、ユーリちゃんが元気なのは嬉しいのよ?でも…」
母マリアはそう言葉を詰まらせる。
「ユーリちゃん…さっきまで呼吸していなかったの。重い病気でね、もう長くないって言われてて…みんなでお別れの挨拶をしていた所なの…。」
ん?あぁそうだった。死んだ体に転生させるって女神サリア様が言っていたはず。
と、言うことはもう苦しい思いはしなくてもいいんだ。病気も治ってるみたいに調子がいい。
「女神様が僕を助けてくれたみたいだよ。もう苦しくないよ。悲しい思いをさせてごめんね。父さん、母さん」
そう言った瞬間には抱きしめられていた。
父さんに母さんに兄さん2人合わせて4人に抱きしめられた。逃げ場所がない…。
「これからは今まで出来なった事をたくさんしような?」
父さんに頭をなでられた。
「ユーリちゃん、何かやりたい事ある?お母さんなんだって叶えてあげるんだから!」
母さんはほっぺにキスをしてくる。ちょっと恥ずかしい。
前世からしたらご馳走様って感じなんだろうけど今の僕にとっては、いくら若々してもお母さんだ。あまり嬉しいものでもない。
「えっと、じゃあ今はとりあえず1つだけ…」
僕はお腹をおさえながら気恥ずかしそうに言った。
「おいしいご飯をお腹いっぱい食べたいかな」
みんな笑顔になった。僕も笑った。
僕は病気が治って元気になったからお腹もすいたみたい。
伯爵家の料理人が作った料理はそれはそれはおいしかった。
前世の濃い味付けに慣れていた僕にでも非常においしく感じられた。
「さてユーリよ。お腹も膨れた事だしユーリが助かった奇跡についてもう少し詳しく教えてくれないか」
うーん、父さん達にはどこまで話せばいいのかな?前世とか分かんないだろうし、やっぱり女神様のおかげという事にしておくのが一番かな。それにこれ自体は嘘じゃないからね。
「さっきベッドで眠っていると苦しんでいた僕の夢の中に女神のサリア様が現れたんです」
この世界は基本的には1神教で成り立っている。
サリア様はこの世界では唯一の神としてあがめられているおり、サリア様を崇める『聖サリア教』と言えばどこの国でも国教に指定されている。
獣人族や魔族はその限りではないけど、人間やその他亜人種間では絶対の神、それがサリア様だ。
「そうか。サリア様が助けて下さったのだな。サリア様、感謝いたします。ユーリはサリア様に救ってもらえるなんて大物になれるのかもしれないな」
今は病気で衰えた体力を元に戻す事に専念しないと大物どころか小物にも慣れないな。こんなみすぼらしい子供だったら夢なんか叶えられない。
「ユーリはきっとサリア様から素敵なスキルが頂けるはずだぞ。スキルの目覚めが今から楽しみだよ」
そういえば以前、母さんに聞いた事がある。スキルとは女神サリア様からの贈り物であると考えられている。
スキルが目覚めるタイミングは人によってそれぞれだけれど、普通の場合15歳の成人の頃までには目覚めるとされている。
「父さんはどんなスキルを頂いたの?」
そういえば今まで父さんのスキルも母さんのスキルも何を頂いたのか知らなかった。
「俺は剣術だな。剣がうまく使えるようになるスキルだ。剣を長く使っているとスキルレベルも上がって今ではレベル6だよ。このグラン王国内でも5本の指には入るんじゃないかと俺は思っている」
と自慢気に話す父さん。国の研究所の調べた所によるとスキルはレベル10まであるらしい。
…らしいというのも実際には確認されていないみたいで、父さんのいう通りレベル6でも一般的には凄腕だと言われている。大体の人はレベルがあまり上がらずにレベル3や4で生涯を終えるらしい。
本当に母さんには今までたくさんの事を教えてもらっている。
母さんは博識で明らかに10歳が知るべき事ではない事柄までいろいろな知識を得られた。
僕も母さんに似たんだろうか【知りたい】という気持ちは誰より強い気がする。
そうだ。もし願いが叶うのならば僕が女神様から頂けるスキルは知識を得られるような物がいいな。
『女神サリア様、お願いします。知識にまつわる…例えば鑑定が出来るようなスキルを僕に下さい!』
僕は女神様に願った。そして…
『スキル【請願】を発動します。ユーリは新たに鑑定のスキルを得ました』
僕の初めての請願は叶ってしまった。
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