1章ー21
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僕はこの事件のキーパーソンであるカティを呼んだ。
カティが父さんの影から出てきて僕の横に並ぶ。
「うげぇ、お前はカティ!なんで生きているんだ!?あのゴブリンの数だぞ、生きてるはずがねぇだろ!」
「お言葉だけど、あたしは生きてるよ!ユーリに助けられたからね!」
ゴルゾフは納得していない様子。
「でもゴブリンが…」
「だから僕がゴブリン全部倒したんだってば。」
間髪を入れず答える。
「そんなはずはねぇ!こんなガキが…。そうだ、おいベルナ!ギルドはⅮランク冒険者の俺とこんなガキのどちらを信用するんだ?…当然、俺だよな?」
う、確かに冒険者じゃない僕の意見はギルドで信用してもらえるか微妙だ。
「もちろん。私はこちらのユーリ少年の言葉を信じますが?むしろ日頃から素行の悪いゴルゾフさんが信じてもらえるとでも思ったんですか?」
よかったー!思った以上にゴルゾフはギルドの中でも嫌われていたみたいで助かった。
「くそ!もういい。このガキぶっ殺してやる!!でしゃばったお前が悪いんだからなぁ!!」
ゴルゾフはそう言うと手に持っていた大剣を振りかぶった。
「ねぇゴルゾフさん?いやゴルゾフ!僕、言ったよね?あのゴブリンを僕が全部倒したって。なんで勝てると思ったの?」
いくらこんな奴でもここで殺すのは流石に不味いよね?それじゃあ…。
ゴルゾフが振り下ろした大剣を半身になって躱す。
剣速が遅すぎる。これなら何度躱しても当たる気がしない。
躱す、躱す、躱す…。僕は剣を抜かずにただ躱し続ける。
ゴルゾフは体力に自信があるのか中々へばってくれない。
おそらくゴルゾフのスキルは体力を強化する物なのだろう。
だが残念だったね。体力に自信があるのはこちらも同じだ。
なんせ僕にはパッシブスキル絶倫があるんだ!
夜の体力だけは誰にも負けない!!
ゴルゾフの剣を何度躱したかも分からなくなった頃…正直、僕は飽きていた。先ほどのように変な事を考えてしまうのもそのせいだろう。
少しも危険を感じないし、これじゃただの作業だ。本当にこれがⅮランク冒険者の実力なのか?
いくらやってもこれ以上は時間の無駄だな。ゴルゾフを恨んでいるカティも飽きてきたみたいで早く終わらせろって目で語っている気がする。僕をジト目で見ている…。
そろそろ終わらせるかな。僕はゴルゾフの振り下ろした剣を片手で摘まむように受ける。
今まで躱されていた剣を突然掴まれて驚いたのだろう。ゴルゾフは硬直していた。
その間にゴルゾフの剣をひねるように回しとる。
これでゴルゾフは素手の状態だ。
「くそガキが!武器を奪うなんて卑怯だぞ!」
いやいや、武器を構えてない子供相手に大剣振り回してたおっさんがいう言葉じゃないですよね?
「いえ、あなたを倒すくらいの事に僕は剣を使いません。これで正々堂々拳での勝負です。」
「バカが!俺はスキル体力増強を持ってるんだ!ガキにいくら殴られても効きゃしねぇよ!」
ゴルゾフは僕を威嚇するつもりなんだろうか、自身の筋肉を見せつけている。
ちょっとキモイ。あまり触りたくないけどしょうがない。
「すいませんけど、あまり触りたくないので本気で行きますね」
そう言った僕はグッと足を踏み込むと瞬時にゴルゾフの懐に侵入した。
僕は先程まではゴルゾフに合わせた動きしかしていなかった。
当然、今までの倍近い速さにゴルゾフは反応出来ていなかった。
成長スキルで鍛えた僕の筋力は見た目こそ普通の10歳の少年だけど、実際にはそこそこ鍛えている大人より強くなっている。
腕相撲ならもう父さんに勝てるくらいだ。
その僕が本気で殴ると…「うげぇぇぇ」こうなる。
ゴルゾフが吐しゃ物を吐きまき散らしながら倒れる。
「やったわね!ありがとうユーリ。本当は殺してやりたいって思っていたけど、あいつの無様な姿を見てあたしもすっきりしたわ。これからこいつどうなるの?」
こいつがどうなるのか?それはここのギルドマスター次第ではあるんだけど…
「おい、ベルナ!これはどうなってやがる?」
今後の話に移ろうとした時、2階から巨漢の男が姿を現した。
「おいおい、なんで俺の弟のゴルゾフが泡吹いてんだよ!?誰がやりやがった!ぶち殺してやるから出てきやがれ!」
受付嬢さんが男の前に出て顛末を伝える。
「なんだと?うちの弟が悪ぃっていうのか?そんなもんそのガキが嘘をついてるに決まってんだろうが!ふざけんじゃねぇぞベルナ!」
話を聞いていたゴルゾフ兄が突然ベルナさんに殴りかかった。
「あぶないっ!」
傍にいた僕は咄嗟に間に入る。ゴルゾフ兄の拳を受け止め、そのまま押し返す。
おそらくこんな子供に押し返されるとは思っていなかったのだろう。
ゴルゾフ兄はたたらを踏んで2、3歩下がる。
ゴルゾフ兄じゃ呼びにくいな。取り敢えずこれからはアニゾフと呼んでおこうかな。
アニゾフは真っ赤な顔で額の血管もヒクヒクしている。
あーこれは多分ぶち切れちゃってるな。子供に力負けした事もそうだが、それも周囲の大勢にみられた事が我慢ならなかったんだろう…。
「まぁアニゾフさん怒らないで下さいよ。そこのゴルゾフはギルドの中で武器を持って暴れていたんですよ?制圧するのは特に問題ないんじゃないですか?」
アニゾフは更に表情を険しくする。
「誰がアニゾフだ!礼儀がねぇのかこのガキ!!俺はここのギルドマスターのゴルゾイだ。ここは俺のギルドだからな、俺の言葉がだけが正義だ。お前が間違ってるんだよ。」
ゴルゾフとゴルゾイ。ゴルゾ兄弟。ややこしい。
やっぱりアニゾフで行こう。
「アニゾフさん、その発言はいかがなものかと思いますよ?誰かが聞いてたりしたら大事になるので撤回しませんか?」
アニゾフさんはギロリと僕を睨みつける。
「いや撤回はないぜ。ここは俺のギルドだ。俺に命令出来るやつなんているはずがねぇ。」
「いや、そんな事ないでしょう?ギルド支部のマスターでも指名した本部のギルド長とか形ばかりとはいえ任命権のあるこのダリル領の領主様とか命令出来る人間はいるんじゃないですか?」
「そんな奴らがこんな所に来るはずがないだろうが!絵空事を抜かしてんじゃねぇ!」
あ~あ、残念だよ。本当に残念だ。
アニゾフに限って言えば元々は無関係なはずだから翻意する機会を与えたんだけど…。
もういいよね?僕はちょっと怒っているんだ。
まだ被害者であるカティに対して誰も謝罪をしていない状況に!!
じゃあそろそろ判決の時間だよ。
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では!!また明日!!