1章ー16
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「……よろしくお願いしますお義父様。」
僕は逃げ出した。
しかし父さんに回りこまれてしまった。
どうやら逃げられないようだ。
「ユーリ?話を聞かせてくれるよな?カティさんはちょっと待っていてもらえるかな?」
そういうと少し離れた位置に僕を連れていく父さん。
「ユーリ、説明しろ!なんでこんな羨ましい…いや、ややこしい事態になってるんだ?」
説明か…「冗談のつもりで体で払えって言ったら嫁になりました」じゃあ父さんショックで倒れるよね。
「手短に伝えるとですね。僕がカティのヒーローでカティは助けられたヒロインなんですよ。だからくっついた。以上です。」
「それじゃ分からん。」
ですよね。分かってましたとも。
「もうちょっと説明すると、ゴブリン21匹に囲まれて絶体絶命だったカティを助けた事で惚れられたんだと思います。そして僕も彼女の燃えるような赤い髪と綺麗な瞳(それから重装備の胸部装甲)に惹かれています。話をしている間に結婚が決まりました。」
父さんは開いた口がふさがらないようだ。
「前半部分は分かったし理解も出来るが、最後だけ飛躍していないか?まぁお互いがいいのなら俺は口出ししないがエルミナはどうするんだ?」
「エルミナとの関係も続けるよ。ちゃんとハーレムの夢も伝える。」
「カティさんには伝えたのか?」
「まだです…。」
「死ぬなよ。ハーレムを理解してくれたとしてもハーレム間での戦いは避けられないぞ。なぜだか分かるか?カティもエルミナもきっと正妻狙いだぞ」
「正妻なんて必要ないですよ。みんな仲良くが一番だから」
みんな平等が一番じゃないの?
「あのなユーリ。正妻を決めておかないと困るのはお前自身だぞ。例えば跡継ぎはどう決めるんだ?妻が一人なら長男に継がせればいいだろう。だがお前が目指すのはハーレムなんだろう?ハーレムだからこそしっかりと正妻を決めないといけないんだ。」
僕は目から鱗が落ちた気分だった。
こちらでは10歳。前世ではそもそも貴族としての知識がない為、一度も跡継ぎの事なんて考えた事がなかった。
「分かった。みんなが争わないように、しっかり考えておく事にするよ」
それにしてもどのタイミングで二人に伝えるべきか悩むな。
いっそ同時に話した方がいいのかな?
まぁまだ時間はあるんだ。じっくりあせらずに行こう。
「ねえ?話っていうのは終わったの?そろそろ出発しようよ!」
カティがしびれを切らしたようでこちらにやってくる。
「よし、じゃあ屋敷に行こう!父さん、今日はカティを屋敷に招待するよ。森であった詳しい話はその時にしようと思う」
「ああいいぞ。では屋敷に戻るぞ」
それを聞いたカティはクスクスと口元を抑えながら笑う。
笑ったカティも可愛いな。笑って肩が揺れると装甲も揺れる。
よし、これからは毎日笑って過ごしてもらおう。いえ、決して邪な気持ちではありませんとも!!
「ユーリ君もお義父様も屋敷って大げさに言いすぎよ。貴族様じゃないんだから・・フフフ」
僕も父さんもまさしく貴族である。
「ユーリ、まさかこれも?」
「うん、まだ伝えてない。伝えようとしたんだけどタイミングを逃しちゃって・・。この様子じゃ口で言っても信じてもらえそうにないから実際に見てもらおうよ」
「カティは絶対に怒るぞ?俺は知らんからな?」
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「何よこれ!大きな屋敷!?いやむしろ小さめのお城じゃない!?」
まぁ領土を治める伯爵家の家だからね。控えめに言って…まぁ城だよね。
「ユーリ君、貴族様だったの?なんで教えてくれなかったのよ!?」
「ごめんカティ。伝えようとは思っていたんだけど口でいくら伝えても信じてもらえないと思ったんだ。だったら見せた方が早いかな?って思ったんだけど…」
どうやらサプライズ!実は貴族でしたドッキリはお気に召さなかった様子。
「あのね?信じなかったかどうかは分からないけど、もうちょっと伝える努力はしてよね?」
まぁ僕もそう思うんだけどね。
どうも前世の頃から妹以外の同年代の女性に避けられ気味というか、話を聞いてもらえなかったりと嫌な経験があるもんだから、ひよってしまうというか相手に踏み込めない時があるんだよね。
でも、なぜかこちらの世界に来てからは女の子に避けられる事もなくなったし、僕の悪癖も改善していけたらいいなぁ。
「とにかく疲れただろうし僕もへとへとだから屋敷に入ろう。父さん以外の家族にも紹介するよ」
ちなみにカティは家族に大歓迎された。
そりゃ美人なお嫁さん候補がやってきたんだもの皆喜ぶよね。
まぁレオン兄さんだけは軽く僕を睨みながら「なんで俺には・・・」とか呟いてたけど僕は知らないよ。頑張っていい彼女をみつけてくるんだね兄さん。
僕は自分の部屋に戻った。
その際にカティは「一緒のお部屋でもいいわよ?」と流し目をしてくる始末。
お願いだ!誘うのはやめて欲しい!ロリ巨乳さんのお誘いを受けた日にゃ僕がもたない。
なんせ僕の例のスキルはパッシブなんだから、いつでも全開状態なんだ。
僕は丁重にカティを客間に案内したのだった。
そうして屋敷で暫しの休息を終えた僕たちは、父さんの仕事部屋に通された。
「少しは休めたか?早速で悪いんだが森での顛末を話してもらえるか?」
「父さん、まずは僕の知ってることから話すよ」
昼に父さんと別れてから訓練を続けた事、請願スキルで新たにアイテムボックスと超回復のスキル、実験として魔物の『あるスキル』を得た事、叫び声が聞こえて駆け付けた事、横柄な冒険者の事、そしてカティを助けた事を順番に話していった。
森での出来事は半日で起こったにしては濃い時間だったので説明もそれなりの時間を要した。
「細々と聞きたい事がたくさんあるが、まずはそれだけの事があったのによく無事で帰ってきてくれた。生きていてくれてありがとう」
そう言って頭を撫でられる。
「では、いくつか質問をするから答えてくれ。まずは魔物のスキルについてだ。どういうスキルなんだ?」
えぇぇぇ。それ聞いちゃうの?僕、うまくはぐらかせたと思ったんだけど…。よし、少し話題を修正して絶倫だけはばれない様にしよう。さすがに森で絶倫スキルを得たとか言えない。
「父さん。魔物にスキルが存在する事、しかも魔物のスキルは僕たち人間と同じように1つだけである事に何か意味があると思いますか?もしかして僕たちが信奉する女神様と同じように魔物にもスキルを与えた存在がいるという可能性はあるの?」
我ながら再びうまく話をはぐらかせた気がする。
「我々の信じる神は女神サリア様だけだ。ただ他の種族にもそれぞれ信じる存在というものは存在する。獣人族は大地信仰だな。その土地や海などそれぞれに神がいると考えているらしい。それと魔族は魔神を崇拝している物が多い。結局、魔物の事は分からんな。だが魔物にスキルを与える存在がいると仮定して行動した方がいいとは思うぞ」
よし、真面目な話で乗り切れた。僕って詐欺師の才能あるんじゃないかな?
「それで魔物から得たスキルはそんなに言いたくない物だったのか?もう細かくは聞かんが程ほどにしておけよ?それからバレたらやばいと顔に書いてあるぞ。少しはポーカーフェイスも身に付けろ」
詐欺師の才能は0みたいです。
「次は質問というか、こちらから決定事項を話すぞ?カティと婚約関係になる事は確定なんだよな?」
「うん。もう腹は括ったよ」「はい。あたしもユーリ君と絶対に結婚するわ!あそこで助けられたのは正直、運命だったと思うのよ」
見た目は朗らかに笑っているもののカティの圧は凄く強い。絶対に結婚してやるという気迫に満ちている気がする。僕は何も言えない。…腹は括ったよ。
エルミナの時は僕が篭絡されて、今回は猛禽類に捕らえられた感じ。
ハーレムってこうだっけ?なんか違う気がするなぁ…。
「それなら伯爵家としての力を少し貸してやる。明日、一緒に冒険者ギルドに行くぞ。お前達を餌にして逃げた卑怯な冒険者に少し灸を据えてやる。ユーリと婚約するならカティもこれからは家族として扱う。家族に危害を加えるものを俺は許さないからな。」
「ありがとうございますお義父様。」
こうして外堀は埋められていくんですね。参考になります!次に生かせるとは限らないけどね!
「さて、明日の為にも次はカティから話を聞かせてもらおうか?」
考えを整理するように少し時間を置くとカティは昨日の事を父さんに話し始める。
「あたしは昨日…。」
夜は次第に更けていく。
そんな中カティは昨日から今日にかけての顛末を語ってくれた。
話が終わると父さんは何かを考えるように真剣な表情をして腕を組んでいる。
僕はカティから1度聞いた話だったけど、やっぱりあの横柄な冒険者だけは許せないな。
それに冒険者協会の対応もなおざりだと思う。
確かにしっかり確認しないまま流されるようにパーティ参加を決めてしまったカティにも非はあると思う。
しかし、少なくとも指導役の冒険者の選別は冒険者協会の方でしっかりするべきだ。
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しばらく何やら考えていた父さんは小さく頷いた後、顔を上げる。
「確かカティが登録したのは森の向こう側にある、隣の領のギルドだったな?侯爵家に協力を頼むか。」
父さんには何か考えがある様子だ。こういう時の父さんは頼りになる。
カティの事も家族だって言ってたくれてたし父さんが味方だと心強い!
「そうとなったら早く寝ておけよ。明日は朝早くにでるぞ!」
そう言われて僕達はそれぞれの部屋に戻った。
…そう戻ったはずなんだ。
それなのになんでカティが僕の部屋にいるの!?
しかもそこは僕のベッドだよ?
「せっかく婚約したんだものユーリ君ともっと話したかったから…忍び込んだの。」
「あはは。カティは行動的だね。僕も伝える事があったんだ。ちょうどよかったよ。」
「話?いい話なら聞くわ」
「多分いい話だよ。僕はまだカティの事を好きとはっきり言える程の感情はないと思う。でもカティは可愛いし一緒にいると元気をもらえる。僕はこれから少しずつカティを好きになりたい。だからこんな僕だけど婚約してくれますか?」
カティは目を見開いて驚いた様子であったものの、程なくして深く頷いた。
そのあと、二人に起こった出来事に関しては二人だけの秘密だ。
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