1章ー12
昨日に引き続きブクマ&高評価ありがとうございます☆
むっちゃ嬉しいです!!
それからまた1か月の時が過ぎた。
毎日続けている父さんとの剣術訓練は非常に効果があったらしい。
この1か月の間に手を抜いてくれているとはいえ、父さんの剣を受ける事が出来るようになってきている。
10回中3回は剣での受けに成功している。7回は未だに叩かれるんですけどね。
本来は中々上がらないスキルレベルなんだけど…僕には請願というずるいチート能力がある。
最初こそ自力でのスキルレベルアップを目指していたんだ。
だけど厳しい訓練を繰り返しても剣術、筋力、敏捷成長スキルはいずれもレベルは1つしか上げられなかった。
このペースの成長じゃ遅い!僕はハーレムを目指してるんだ。
ハーレムを作れるような人間になるには、誰よりも強いくらいじゃないと認められやしないだろう。
そこで思い出したのが請願スキルを最初に鑑定した時の内容だった。
確か請願出来るものにスキルレベルってのがあったはず。
それを思い出した僕は、まず請願スキルのレベルを上げようと試してみた。
…まぁそうだよね。試す前から予想はしてたんだけど無理だったよ。
さすがチートでもそれは無理だろう。
なので、ここ約1か月(5週分)の15回の願いのほとんどを僕はスキルレベルのアップに使用してきた。
そしてこれが現在の自分だ。鑑定!
名前:ユーリ・フォン・コーリング
年齢:10歳
体力 : E
筋力 : E
耐久 : F
敏捷 : D
幸運 : SS
※低G~SSS高で表記。
スキル
[ウルトラレア]請願
[一般]鑑定Lv2、水魔法Lv1、筋力成長Lv5(NEW)、敏捷成長Lv5(NEW)、耐久成長Lv5(NEW)、剣術Lv2(NEW)、危険感知Lv1(NEW)、見切りLv1(NEW)
1か月の訓練の結果が出たのか少し能力がアップしている。
今日までに、請願で耐久成長、危険感知、見切りを新スキルとして得た。
それ以外の請願12回分は全て成長スキルを上げる為に使った。
小さな事からコツコツと。
目立つスキル、強いスキルを得る前にまずは僕自身の基礎力をあげていくことにしたんだ。
そして今日から僕の訓練はようやく新しい段階に入ろうとしていた。
「よし、昨日言った通り今日は近くの森にいく。そこで魔物と戦ってみろユーリ」
父さんから森での訓練の許可が出たのだ。
実は近くの森は狩りがしやすいように普段から定期的に間引きがされているので比較的安全らしい。
しかしそんな森にも魔物は存在している。
今回はこの森でスライムとゴブリンを狩る予定だ。
午前中の間は父さんの付き添いで行い、その結果が良ければ午後からは1人での狩りをするという事になっている。
父さん曰く、訓練通りに戦えるなら今の僕でも何の問題もないらしい。
父さん以外と戦った事がないので自分の力をいまいち信じられない。
なにせ10回に7回はボコボコなのだ。
自信なんかもてるわけがない。
身支度を整えた父さんと僕は近くの森に出かけた。
森に到着すると父さんはが僕にショートソードをくれた。
「その小剣はユーリへのプレゼントだ。まだ体が小さいから小剣で十分だろう」
僕は初めて得た本物の武器を見て目を輝かせた。
「ありがとう父さん大事にするよ」
「ユーリ大事にする必要はないぞ。武器なんてものは成長と共に持ち替えていくもんだ。使いつぶすつもりで使ってくれ。あぁでも手入れはしっかりしろよ。」
「はい。手入れの仕方はまた教えて下さいね。今日はこの剣で魔物をたくさん斬ってみせます!」
「ハハハ。その意気だ。この変は魔物も弱いはずだ、訓練がてら午前中のうちに手になじむようにしておけ。では、いくぞ。」
僕たちが森に入って暫くすると遠くにプルプルしているゼリーのような物が見えた。
大きさは30cm~50cmとまちまちで3匹が一緒にいる。
「静かに伏せて俺の話を聞け。あれがスライムだ」
魔物辞典に載っている絵と大体同じだな、というのが第一印象だった。
当然、母からの講義でこの1か月の間に魔物についても学んでいる。
「まずは父さんが見本を見せる。二匹は俺が狩るからしっかり見ておけ」
そういうと茂みから駆け出した父さんが素早くスライムに接近していく。
「まずは良い例からだな」
父さんはスライムの中心、少し色の濃くなった部分に剣を突き込む。
スライムは萎れて動かなくなってしまった。
「スライムは中心部に弱点があるんだ。倒すときは突きが一番効率がいい。では次に悪い例だ」
そういうと次のスライムを袈裟斬りにする父さん。
スライムは袈裟斬りにされて真っ二つだった。
「…・。」
「…・。」
沈黙が流れた。
「えぇとな袈裟斬りだと刃に抵抗が生まれやすくてな。途中までしか斬れない事があるから注意しろと伝えたかったんだが…。この辺のスライムは弱いし、俺は剣術Lv6だからな。まぁこんなもんだ。」
力の差があれば多少のごり押しも大丈夫ってことだね。でも、僕はまだまだ非力なんだから弁えていこう。
「じゃあ次は僕の番ですね」
こちらを恐れるようにして逃げ出そうとしていた最後のスライムをみる。
スライムは逃げ出した。しかしスライムは回り込まれてしまった。逃げられない。
「まずは敵を知らないとね。鑑定!」
種族:スライム
体力:G
筋力:G
耐久:G
敏捷:G
幸運:G
スキル:吸収
概要:ゼリー状の生き物。魔物の中では最弱な為、魔物以外の生物を吸収して養分にしている。
9匹集まってもキングにはなれない。
概要にはもう突っ込むのはやめた。きっと僕の前世から影響を受けているに違いない。
多分、あのゲームだな。
「それにしても以外…でもないのかな?魔物にもスキルが1つだけある。」
辞典には魔物のスキルは載っていなかった。
「スキルって女神様からの贈り物だったはずなんだけど、魔物にも女神様は贈り物をしているのかな?」
考えても答えは出ない。とりあえず今は目の前の魔物に集中しよう。
僕は父さんの言うとおりに僕は素早く近づいて中心部を突く。
すると父さんの時と同じように一撃でスライムを倒す事が出来た。
「よくやったなユーリ。魔物にはそれぞれ討伐を示す証があるんだがスライムだと中心のコアだ。これは何かに利用する事は出来ないので傷がついていても問題ない。」
父さんはスライムから小さな球体を取り出す。へぇこれがコアか。
「また魔物には素材になる部位が存在する。スライムは体を構成する粘液だな」
うへぇドロドロしてるや。触りたくない。
「これは回復薬の材料にもなるスライムゼリーだ。冒険者協会に持っていけば買い取ってもらえるぞ。また今度一緒に行くことにしようか」
それからは父さんが見守る中、スライムを何度か倒してみた。
だいぶ、慣れてきたみたいで3匹程度なら他をけん制しながら1人でも倒せるようになった。
「よし、そろそろスライムはいいだろう。このまま少しだけ森の奥にいくぞ。この先からはゴブリンの生息域になるから気をつけろよ」
父さんの指示に従い周囲を警戒しながら森を進む。
「それにしてもユーリは筋がいいな。まだ10歳なのに臆することなく剣が触れている。」
…自分でもそれは驚いている。何故か魔物に怯える事もないし魔物を倒す事への忌避感もない。
前世の自分であれば生き物を殺す事への忌避はあった。
こちらの世界でも10歳という年齢だと魔物が怖いと感じる事もあるだろうと思う。
転生してきた事によって忌避感が薄れたのか、二人の記憶、人生が1つになった事で様々な事に精神的な耐性を持つ事になったのか…。
とにかく魔物は全く怖くない、倒す事への忌避感も今の僕には存在していない。
それは今後に向けて大きな助けになるような気がした。
少し森が深くなってきた辺りで父さんは再び茂みに隠れるように僕に伝えた。
目線を先に向けると…「いた」。
「父さん、あれってゴブリンだよね。実に醜悪そうな顔をしているし緑色の体色をしている。僕より少し小さいくらいの身長…120cmくらいかな。…2匹だけだね」
父さんは姿勢を低くしてゴブリンから目を離さずに言った。
「そうだあれがゴブリンだ。気をつけろよ?ゴブリンも弱い魔物だが、あいつらは武器を作る事は出来なくても拾った武器くらい扱える知能は持っているぞ」
そう言って遠くのゴブリンを見つめる。
「ただ今回は当たりだな。あのゴブリン達はどうやら武器は持っていなさそうだ。さっきと同じようにいまずは俺が1匹仕留める。ユーリはそれを観察しておけ」
「父さんちょっと待って。今回はゆっくりと鑑定する余裕なさそうだから、ここから鑑定してみてもいいかな?」
「ん?こんなに遠くから鑑定出来るのか?」
ゴブリンとの距離は30m程、今までの鑑定だと届かなかったけれど何だかいける気がするんだよね。
もしかしたらさっきのスライムを鑑定した時に鑑定のLvが上がったのかも…後で確認しよう。
「では…鑑定するね」
種族:ゴブリン
体力:G+
筋力:G+
耐久:G
敏捷:G+
幸運:G
スキル:絶倫
概要:繁殖力が強く、倒しても倒してもキリがない。他種との交配が可能な為、人間や亜人が被害に会う事が増加している。ギルドでは優先的な討伐が推奨されている。
あれ?概要がふざけてこなかった。これはこれでなんだか物足りないな。
それにしても繁殖力が強いだけあってスキルもそれっぽい感じである。
醜悪な顔をしているのに案外戦いに向いた魔物ではないみたいだ。
そしてスキルはまた1つだけ。うーん、何かひっかかるんだよな…。
優しい女神様が魔物にスキルなんて贈るのかな??
「鑑定は出来たのか?あまりボヤっとしていると危険だぞ。」
父さんに注意されてしまった。そうだ、今は離れているといっても魔物は目の前にいるんだ。
少なくとも魔物と対峙する時くらいはしっかり気を引き締める事にしよう。
「よし、じゃあ父さんが行ってくる。本来なら茂みに隠れながら近づいて気づかれる前に首をはねるのが一番なんだが。今回はユーリの見本とする為、正面から対峙するからな。」
そう言ってゴブリンの前に飛び出す父さん。
父さんに気づいたゴブリンは警戒する様子もなく父さんに飛び掛かっていく。
その泥まみれの爪で父さんを引っ搔こうとするのだが、あまりにも遅い。
父さんの剣を見慣れてしまった僕には非常に遅く、また単調な攻撃に見えた。
父さんはまずゴブリンが伸ばしてきた爪を避け、その腕を斬り落とした。
「GYAAA!!」
斬られた腕をおさえて大きな声でうずくまるゴブリン。
父さんはその首を刎ねた。流れるように華麗な動きだった。
首を失ったゴブリンは当然の事ながらもう動くことはなかった。
それを近くで見ていたもう1匹のゴブリンは仲間の死に戸惑っているのかその場から動かない。
「ユーリ来い!次はお前の番だ。俺の見本通りにやってみせろ。」
僕はその声に反射的に飛び出した。
硬直から抜け出したのか、つい先ほどまで硬まっていたゴブリンが僕を見てニヤリと笑ったようにみえた。
愚直にも先程のゴブリンと同じように爪で引っ掻こうとしてくるゴブリン。
「おりゃああ!」
掛け声と共にその腕を躱し斬る。肉を斬る嫌な感触があった。
しかし骨で剣が止まった様子で腕を両断する事は叶わなかった。
だが、深く身を斬られた為か効果は抜群だった様子。
僕に腕を切り付けられたゴブリンは腕をおさえてうずくまってしまっていた。
僕は躊躇せず首を斬り、そして胸を突いた。
「まぁ及第点だろう。臆する事はなかったし力も増してくれば両断も出来るようになる。なにせまだ10歳だからな。首も両断は出来なかったが、そのあとすぐに胸を突いた判断は正しいぞ。魔物はしっかりトドメをささないと何をしてくるか分からんからな。」
やっぱり人型の魔物を倒しても忌避感は沸かなかった。
それからは、先ほどのスライムの時と同じようにしてゴブリンを倒していった。
ゴブリンはスライムと違って3匹同時に相手をするのは難しかった。
怪我無く倒せるのはせいぜい2匹くらいなものだろうと思う。
ゴブリンはよく群れを作る習性があるらしく、大きな群れと対峙する事を想像すると思わず身震いしてしまった。
「よし、午前中はこれぐらいでいいだろう。スライムとゴブリン相手ならば問題はなさそうだ。午後からは一人で狩ってみるか?」
やった。父さんからのお墨付きが出たぞ!
「うん、頑張るよ。でも、父さんはどうするの?」
「あのな、俺はこれでも伯爵家の主だぞ。暇じゃないんだよ…書類仕事もあるんだ。そうだな…日が暮れるまでに切り上げて森の入り口まで戻って来い。また迎えに来るからな。」
そうか、父さんにも仕事があるんだよね。いつも付き合ってもらっているから気にしてなかった。
貴族家当主の仕事も大変そうだな。
でも、僕もいつかは自分の力で叙爵して貴族に戻るつもりなんだ。
これからは父さんの仕事もしっかり見ておいて、少しでも覚えておこう。
「あぁ言い忘れていたが、定期的に間引いているとはいえ相手はポコポコと増えるゴブリンだ。ゴブリンの大きな集団に出くわしたら遠くからでも分かるはずだから絶対に避けるようにな」
二人で昼食を摂った後、そう言って父さんは屋敷に戻っていった。
あのね父さん?父さんは知らないと思うんだけど、それはね僕の前世ではフラグっていうんだよ。
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