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十一品目:かつめし

 紗羅は朝練に行き、一度家に戻って来て学校に行く、と言っていた。

 それまでに紗羅のお弁当を作る。

 用意するのは冷凍保存していたミニとんかつ。解凍している間にタレを作る。130gのデミグラスソースに、ウスターソースとケチャップを大さじ1入れ、バターを少々加えて煮る。


 ソースが出来たら粗熱を取って小さな容器にとんかつにかけるだけの量を入れる。


 パスタを茹でる。パスタ――スパゲッティが揚げ物や焼き物の下に敷かれているのは、スパゲッティが余分な油や熱で容器が溶けるのを防ぐ役割があるのだ。油くさいなら食べなくて良いし、ソースと絡めて食べても構わない。そこはお好みだ。


 解凍したとんかつを揚げる。


 ――あとは金平牛蒡にするかマカロニにするか……。


 迷いに迷いにピリッとした金平牛蒡にする。かつめしのソースのかかったカツとご飯の箸休めにピリ辛の金平牛蒡が良いアクセントになるだろう。


 カレー皿にご飯を盛ってカツを乗せ、タレをかけて朝御飯にする。



 お弁当箱を開ける。真っ白なご飯ととんかつが目に飛び込んできた。とんかつの下には味付けのされていない真っ白なスパゲッティ。


「わお、サラさんの今日のお弁当、ドストレートなカツ弁だね」


 アイさんがお姉ちゃんのお弁当に注目する。


「んー……お姉ちゃんが普通にカツ弁作るとは思えないんだよね」


「そちらは、ソース? でしょうか」


「ん? たぶん」


 テンさんの言葉に小さな容器を開けると、ソースが入っていた。


「もしかしたら、カツをご飯の上に乗せて、ソースをかけて、とんかつとソースの絡んだご飯を一緒に食べる、『かつ飯』というご当地グルメではないでしょうか」


「アイさん聞いたことがあるかも、兵庫県南部のご当地グルメだ!!」


「やっぱり。お姉ちゃん、なんか最近ご当地グルメ料理はまってるみたいだし。でもだからって何故、お弁当に選ぶかな……」


 お弁当を作ってくれるのは嬉しいけど、作ってもらっておいて文句を言うのは間違っているけど、ちょっと疑問だ。やんちゃって広島焼き風オムソバだってそうだ。


「たぶんですが、このようにするためでは、と」


 テンさんが私のお弁当箱の蓋を拭い、そこに自身のお弁当からおかずを乗せてくれる。


「あっ!交換だね!! じゃあアイさんも」


 二人に私からもカツを返して、お姉ちゃん特製のソースをすすめる。


 テンさんは和食、アイさんは可愛い家庭的なお弁当。私はお姉ちゃんの変わり種。


 ――あぁ、話題作りだ。


 何気に、私もお姉ちゃんと同じで話題には乏しい。


 ゴールデンタイムは練習しているし、それ以外は勉強か、使用曲や撮影していた練習動画をチェックしたり、オーケストラやミュージカル、映画を見たり、息抜きにお姉ちゃんのゲームを借りてたり、アニメを見たりだ。まぁ、お姉ちゃんみたいに生粋のヲタクではないけれど。


 大抵はオケとかミュージカルなんて興味がなくて、「あー……うん」「ゴメン分からないや」という返事が返ってくる。


 後、周りが流行ってるとか話題だって乗っていると、私は逆に辟易してしまう。


 話題になる前から知っているし、他にも名曲、神曲はあると思って周りを冷めて見てしまうのだ。話題に乗ったら乗ったで、それ以外にも他の曲も良いよ、と勧めても、彼らは興味がないのだ。


 「うぇ、キモ! 何、熱く語ってんの」「なんか語りだした。引くわー」ってな感じだ。


 あと、まぁ、うん。本気で何かに取り組んでる者と、そうでない者は基本的に合わないと思う。ましてや、それが何者でもないものたちとなら尚更だ。


 ――何目線とか、何様? って思われるかも知れないけどね。

 

 アイさんとテンさんも何か物足りなく感じてるみたいだしね。


 因みにアイさんはダンスをやってて、テンさんはピアノだ。


「ねえ、『守破離』って何時からが正解だと思う?」


 私の質問に二人がピクッと反応する。


「急にどうしたのですか?」


「うん、このところちょっと思うことがあってさぁ……」

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