世界創世のおとぎ話
―――遥か昔、一つの光り輝く種子が大地に落ちた。
種子は徐々に芽を出し、一つの大樹となった。
大樹は後の世界で〈ユグドラシル〉と名付けられ、〈世界樹〉として崇められた。
〈ユグドラシル〉は自らの力で二つの聖なる宝石を生み出した。
それは同じく後に、〈知恵〉を司る〈アダム〉、〈生命〉を司る〈イヴ〉と名付けられ、二大天使として崇められた。
その後、世界には多くの命が溢れた。
植物、動物、精霊、そして人間―――。
人間は徐々にその数を増やしていき、集落を作り、やがて文明を生み出した。
また時空の歪みにより、異世界の種族が移り住んできた。
それからしばらくの間、この世界は平和だった。
だが、何の前触れもなく、世界は突然黒く染まっていった。
突如現れた異界の闇―――〈死を呼ぶ闇〉。
巨大なその闇は世界を包み、多くの生命を穢していった。
本来なら清らかな精霊も穢れ、大地に魔物が増えた。
穢れた人間の心によって、闇は世界中に侵食していった。
その戦いの中で、〈アダム〉もその闇によって貫かれ、死んでいった。
〈ユグドラシル〉は世界の穢れを懸命に食い止めていた。
そんな穢れた世界の中に、ある一つの光が現れた。
それは、同じく異世界から現れた十二の生命体―――。
十二の生命は〈古代の十二闘士〉と呼ばれ、世界の人々の希望の光となった。
十二闘士は力を合わせ、多くの精霊や人間たちと共に戦った。
そして、戦いが始まって数百年後―――十二闘士とイヴによって、〈死を呼ぶ闇〉は封印された。
だが、長年に渡った戦争の傷跡は世界や十二闘士たちに深く刻まれた。
〈ユグドラシル〉、〈イヴ〉、そして〈古代の十二闘士〉は、自らの傷を癒すため、そして世界を見守るために眠りに就いた。
―――世界全土を巻き込み、多くの生命を奪った〈死を呼ぶ闇〉。
そしてそれを封印し、世界を救った〈古代の十二闘士〉。
生き残った人々はこの戦争を〈聖魔大戦〉と呼び、世界中にそれを刻んだ石碑や遺跡を残した。
また、ある者たちはそれを書物に残し、後の人々たちにこの世の成り立ちと多くの伝説を残した。
その書物は世界の始まりを伝えるものという意味を込めて〈始祖の聖典〉と名付けられた。
この、世界創生の物語は、今なお世界に深く刻まれ続けている。