表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/46

予想外!

 体に魂が戻り目を開けると女神像の前で祈りを捧げていた時のまま。隣のロイドもまだ祈りの最中だ。結構な時間、神域にいたと思っていたがどうやら時間軸が違うらしい。

 祈りを終えミンシアさんに挨拶して帰ろうとしたが見当たらない。どこへ行ったのだろう。そんな疑問をロイドに聞いてみた。


「多分依頼を受けに行ったと思うますよ」

「シスターが依頼を?」

「ああ見えてミンシアさんってBランクの冒険者なんです」

「え!?」


 どうやら教会の掃除が終われば依頼を受けに冒険者ギルドに行くそうだ。あんな綺麗で華奢な人がBランク冒険者だったとは。人は見た目で判断してはいけないな。


 教会での用事も終わり冒険者ギルドに向かう。途中いい匂いがする屋台に寄った。なんかの肉を串にさして焼いている。どうやら雪兎の肉ようだ。鶏肉みたいな食感で秘伝のタレに浸けこまれていてとても美味しかった。ロイドの分と【無限収納】に保存する分を買い食べながら歩き始めた。


 冒険者ギルドに入ると人がほとんどおらず閑散としている。おっさんにお礼を言おうと思っていたが見当たらない。諦めて受付カウンターに向かった。そこには前回対応してくれた受付嬢が座っている。


「ハヤトさん! もう体は平気なのかにゃ?」

「ご心配をおかけしました」

「ほんとにゃ。そう言えば、ギルドマスターからハヤトさんが来たら部屋に通すよう言われてたにゃ。案内するにゃ。ロイド君も一緒にきてにゃ」

「ありがとうございます。えっと……」

「私はカレンにゃ。よろしくにゃ!」


 受付嬢のカレンさんに案内される。カレンさんが扉をノックし室内から声がして入るように言われた。そこには紳士的な初老の男性が座っている。ソファーに座るよう促された。


「儂がカルト支部のギルドマスターのグラルだ」

「俺はハヤトです」

「知っておる。そちらのロイドとローウェルから話は聞いておる」

「そうですか」

「ハヤト殿の持っている武器、ローウェルに言っておったが神々しい感じがしたと……何処で手に入れたのだ?」

「秘密事項です」


  正直に話せば面倒事に巻き込まれる。しかも俺は嘘をつくのが下手だ。秘密にすることにした。 


「まぁ良い。カレンあれを」

「はいにゃ」


 グラルさんに言われカレンさんは重そうな袋をワゴンに乗せテーブルまで運んでくる。なんだろう?


「これはハヤトさんが討伐した吹雪熊の報酬にゃ。報酬額は金貨千枚にゃ」

「「金貨千万枚!!」」


 ロイドと一緒に驚く。吹雪熊はAランクの魔物だ素材が高く売れるとは思っていたがここまで高いとは予想外だ。金貨一枚で一年は過ごせるのにそれが千枚だ。一生遊べてしまう。


「本当なら毛皮が綺麗に残っていたらもう少し高くついたにゃ」

「そ、そうなんですね」

「それとこれも受け取れ」


 グラルさんに言われ銀色のカードを渡された。なんかいやな予感がする。グラルさんが笑っている!


「それはギルドカードだ」


 ギルドカード。

 各ギルドで発行される身分証。特殊な技術を使っている為複製や捏造ができない。ギルドカードには各ランク毎に色で分かれている。Eは銅色、Dは青銅色、Cは鉄色、Bは銀色、Aは金色、Sは白金色。

 てことは……いきなりBランク!


「驚いているようだな」

「ハヤトさん凄いです!」


 グラルさんに訳を聞くと本当は護衛依頼をしていないのでCランクまで上げる予定だったのだがグラルさんの独断でBランクに上げたそうだ。


「ハヤトさん、血を一滴ギルドカードにつけて欲しいにゃ。」


 そう言われてカレンさんから先が尖っている針を渡される。これをやれば正式に登録される。諦めて指にチクっと刺し血を一滴ギルドカードにつける。するとギルドカードは光だす。光が収まるとギルドカードには俺の名前が刻まれていた。


「はい、これで正式に登録完了にゃ。失くすと金貨一枚とEランクからやり直しになるから気をつけるにゃ。それと報酬金のことなんだけど、流石に持ち歩くのは危険にゃ。ギルドで口座作るにゃ?」

「確か……各階層のギルドでお金を出し入れが出来るんでしたっけ? なら、大丈夫です」


 と断り報酬金を【無限収納】にしまった。


「「「報酬金がなくなった!!!」」」


 あっれ、三人が驚いている。やってしまったか? スキルを使っただけなんだが。


「今のは俺のスキルですよ」


 このスキルはバレても問題ないと思い説明したがグラルさんから言われた。


「ハヤト殿、そのスキルは人前で使うのはやめた方が良い」

「何故ですか?」

「そのスキルは貴族や商人が喉から手が出る程のスキルだ」


 詳しく聞くと各階層を移動する商人や貴族の一番の問題は荷物による移動制限だ。その制限が俺のスキルで解決してしまう。魔法の鞄というアイテムも実在するが僅かしかないし俺のスキルの完全下位互換だそうだ。最悪の場合、奴隷にされてしまうそうだ。


「わ、わかりました。気をつけます」

「うむ。それとロイドとカレンも他言無用だぞ?」

「「わかりました(にゃ)」」

「ハヤト殿にはこの鞄をやろう」


 肩にかけるタイプの革で作られた鞄を貰った。


「魔法の鞄に偽装すればとりあえずはハヤト殿が狙われる事は無かろう」

「ありがとうございます」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ