初めての村そして……絡まれました。
門をくぐるとそこには青みがかった黒いレンガで建てられ家、屋根も同じレンガが使われているようだが白い雪で隠れている。まるで昔みた映画に出てきた魔法使いの街みたいだ。この階層では一般的な家だが知識では知っていても実際に見るのとは違って目を奪われた。カメラがあれば本当に撮りたい景色だ!
そんなこと思っているとロイドからこの後の聞かれた。そのままギルドを向かうと伝えると一旦家に帰って心配してる家族に知らせたいと。門兵のアーケンさんがあんなに心配していたんだ。家族ならもっと心配しているはずだ。
「急いでいないから構わないよ」
「ありがとうハヤトさん!」
ロイドに案内され十分程で家に着いた。家の煙突から煙が出ている。留守ではないようだ。
「母さん、ただいま!」
ロイドは勢いよく扉を開けると、奥からロイドに似た黒髪黒目のロングヘアーの女性がロイドに駆け寄った。
「おかえりなさい。よかった……どこも怪我してない?」
「うん、大丈夫だよ。心配かけてごめんなさい」
感動の再会に若干蚊帳の外に置かれているような気がするが空気を読んでここは見守ろう。そんな二人のやり取りをみててふと両親の事を思い出した。厳しかったけど色々と教えてくれた俺の憧れの父さん。優しく時に叱ってくれた母さん。元気にしているかな……
「? そちらの方は?」
俺の存在に気が付いた母親がロイドに尋ね俺の紹介を交えながらお互いに挨拶をしこれまでの経緯を話した。話が終わりロイドの母親アンネさんに感謝されお礼がしたいと言われた。俺は遠慮したがアンネさんに押し切られて今晩の夕食にお邪魔することになった。母強しだな。
一旦アンネさんとは別れロイドに案内され冒険者ギルドに向かった。ロイドの家から二十分ほど歩き大きな建物が見えてくる。外観は青みがかった黒いレンガと周りの家と変わらず。ただ二階建てになっており四角いような建物だ。扉を開けると何人かの冒険者がいた。こちらを視線が集まったがロイドは気にせづに受付カウンターのところまで手を引かれた。ちょっと恥ずかしい……
カウンターには栗色の髪の毛のショートボブの明るい女性が座っていた。そして頭の上には獣の耳がある。この世界で初めて見る獣人族だ。
「冒険者ギルド、カルト支部へようこそにゃ。本日はどのようなご用件ですかにゃ?」
受付嬢に用件を言われこれまでの経緯を話した。するとギルドマスターを呼んでくることになり俺たちは待つことにした。ただ待つのもなんだし依頼が貼られているボードを見に行った。一通りみていると後ろから声を掛けられた。
「おい、ガキども! ここはランクC以上が受ける依頼ボードだ! 邪魔だ!」
振り向くとそこには身長は俺より高く百八十はありそうでガタイもしっかりしており厳つい顔のスキンヘッドのおっさんがいた。どうやらCランク以上の依頼ボードのところにいたらしく邪魔のようだ。ということはこのおっさんはCランク以上か。
冒険者には六つのランクがある。登録したときはEランクから始る。EからCまでは多くの依頼を達成すれば昇格できる。CからBには護衛依頼を達成すれば昇格できる。しかしBからAは昇格試験がありギルドから信頼られていないと受けれず合格しなければ昇格できなく一気に難易度が上がる。さらにAからSになるためには【十帝】の推薦がないとなれない狭き門だ。
直ぐ離れようとしたが通りすがりに「雑魚はあっちの依頼ボードだ。とっと失せろ」と言われた。そこまで言わなくてもいいと思うんだが……
もう関わりたくないので移動をしようとしたら、ロイドは我慢できず言い返してしまった。
「ハヤトさんは雑魚じゃない! 訂正してください!」
「雑魚に雑魚と言って何が悪い!」
「ハヤトさんは一人で吹雪熊を倒せるぐらい強いです!」
「「「え!?」」」
興奮したロイドはついぽろっと言ってしまい周りにいた冒険者達は驚いている。
「嘘言ってんじゃねえ! そんなひょろっとした小さい奴が危険度Aの吹雪熊を倒せるわけない!」
「嘘じゃないよ! ハヤトさん、素材を出してください!」
急に話を振らた。出そうか迷ったが先ほどのおっさんのセリフにほんの少しだけムカつき出して驚かせようと思った。近くにいた受付嬢に許可を取り素材を披露した。予想した通りの反応だったがおっさんだけは違った。
「ほう、ただの雑魚ではなかったか。なら、俺様に勝てれば訂正してやろう!」
「その言葉忘れないでくださいね!」
俺の意見は聞かれず何故かおっさんと戦うことになった。今更断れない雰囲気だ。仕方ない、やるだけやってみよう。
おっさんの後をついていきギルドの裏にある訓練場に移動した。訓練場の観客席にはそこそこ人が集まった。
互いに訓練場の中央に移動。おっさんは背中に担いでいる全体的に黒を主張した切れ味の良さそうな両手斧。俺は【無限収納】から颶風の弓を取り出す。俺がなにもないところから弓を取り出すと周りは驚いているがおっさんは不敵に笑っている。おっさんからルールを言われた。
「ルールは相手が気絶もしくは降参するまでは続けられるぜ。アース! 審判を頼むぜ」
「了解したっす。ローウェルの旦那」
互いに武器を構えた。審判のアースさんの合図をまった。アースさんは親指でコインを上に飛ばした。どうやら地面についたら合図のようだ。
チィリンーーっと地面のあたったコインの音が鳴り響いた。