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再びダンジョンへ

 次の日、ハヤトたちは朝食を終えるとすぐダンジョンに向かう。道中はリルの背に乗り、早朝の村に帰る冒険者が多く、行がほとんどいなくダンジョンには直ぐに辿り着く。


「お、おはようございます!」


 入り口に着くと年若そうな赤毛の青年衛兵が挨拶してくる。ヴェスナーがギルドカードを青年衛兵に渡す。


「パーティー『銀の槍』ですね。……他の冒険者からの話だとダンジョン内での魔物が活発になっているようなのでお気をつけて!」

「了解、行ってくるぜ」


 ギルドカードを受け取り、青年衛兵にお礼を言い離れる。ひんやりとしたダンジョンに入った瞬間リルが言う。


『ふむ。どうやらあの衛兵が言った事は間違いないようだ』

「魔物が活発になっていること?」


 ハヤトが尋ねるとリルは頷く。


「よし、警戒して進むぞ」

「了解っす!」

「わかった」


 先頭にセゾン、ヴェスナー、クシュ、ハヤトと横にリルの順に隊列を組み慎重に進む。しばらく通路を進むと急に岩陰に隠れセゾンは言う。


「敵っす。氷小鬼が十体っす」

「クシュ」

「うん」


 ヴェスナーの一言でクシュは全員に強化魔法を掛ける。氷小鬼は未だこちらに気づいていな様子。


「行くぞ」


 全員無言で頷いた後、ヴェスナーとセゾンは走り出す。ハヤトは念のためクシュについている。


「クキャッ!」

「おせぇ! ふん!」


 移動速度も強化されヴェスナーは一番最初に気づいた氷小鬼を一振りで倒し、続けて二体目を倒す。


「くらえっ!」


 セゾンは喉元を一瞬で切り殺し、水で作った短剣を氷小鬼の額に命中させ二体目を撃破。

 残り一体になった氷小鬼が、セゾンに飛びかかるが頭上から氷が落ちてきて潰れる。


「ナイス、ハヤト!」

「ふー」


 倒した氷小鬼を回収しハヤトは【無限収納】にしまい進む。そして数分歩くとまた遭遇する。


「ガウガウ!」

「グルルルル」


 まるで雪のような白い毛を纏う、危険度Dの雪狼(スノーウルフ)が十体。臭いで気づかれたのかこちらを睨んでいる。

 ハヤトたちと雪狼の群れは睨み合う。


『リルお願い』

『任せろ!』


 リルに念話で指示を出し、魔力を乗せた咆哮を雪狼の群れに当てる。すると雪狼の群れは怖気づいて一歩後退する。その隙を逃さずハヤトたちは畳み掛け一瞬で倒す。


「リルありがとな」

「さすがっす!」

「流石だぜ、リル」

「リル凄い!」

『ふん』


 四人に褒められ、照れたのかリルは顔を背けるが尻尾は凄く振っている。


 雪狼を回収しさらに進むと、また雪狼の群れに遭遇する数はさらに増えて三十体。まだこちらに気づいていない。


「一気に数が増えてきたな」

「三十体……」

「どうするっすか?」


 クシュはリルを撫でながら静かに聞いている。


「俺とリルでやるよ」

「……わかった。気をつけるんだぞ」

「わかってる。それと撃ち漏らしたのは頼んだ」


 そう言いハヤトとリルが前に出る。当然の如く雪狼の群れはハヤトとリルを警戒している。


「行くよ、リル」

『おう!』

「氷獄の銀狼よ、我と一つとなりて具現せよ。フィンブルリル!」


 ハヤトは三位一体を使う。

 リルは光の粒子に変わり両手の手甲に吸い込まれハヤトの髪がリルの毛色と同じく銀色に。瞳も黒から黄金に輝く金色に変わる。


「ガウガウ!」

「グルルルル!」

「ワオーン!」


 一匹が咆えると一斉にハヤトに襲い掛かる。


「はぁああ!」


 ハヤトは地面を殴ると鋭い氷の波が地面を這うように雪狼の群れを襲う。ほとんど倒せたが一体だけが残る。よく見ると他の雪狼より体格が大きく色が少し濃い。


「グルルルル!!」


 殺気を込めた睨みでハヤトを見る。牙を剥き出しに駆ける。


 手をかざし無数の鋭い氷塊を撃ち放つ。雪狼は避け切れずに一発を受けると動きが止まり、全弾当たり倒れる。

 ハヤトは【世界地図】で全て倒したのを確認し三位一体を解く。ヴェスナーが駆け寄り、クシュとセゾンは回収しに行く。


「お疲れ、身体は何ともないか?」

「うん、他の武器と共鳴しない限り平気だって昨日言ったけど」


 ハヤトは笑うながら返答する。


「念のためだ、ハヤト直ぐ無理するからさ」

「はは……」

「二人も早く回収するっす!」

「手伝う!」


 遠くからセゾンとクシュに言われ二人は慌てて回収する。その時、セゾンが大声を上げる。


「みんなこっち来てっす」


 大きく手を振っているセゾンの所に集まる。


「これ見てほしいっす」


 そこには周りと少し色の違う壁がある。押してみるも引いてみるも動かない。よく見ると中心に窪みがある。


「よく見つけたね」

「たまたまっすよ」

「何かを嵌めると開く系か」

「探すっすよ!」

「見つける!」


 各々探し始めるが特にセゾンとクシュはやる気満々。リルは興味が内容でその場で待っている。

 ハヤトが少し濃い目の雪狼の近くで探していると窪みと同じ大きさの球を見つける。


「魔核? こいつのか? うーん、一応持っていこう」


 死骸も回収し、十分探した後再び集まり結果を告げる。


「こっちはなんも」

「こっちもっす……」

「私も……」


 なにも見つけれずにセゾンとクシュは落ち込む。


「ハヤトは?」


 ヴェスナーに尋ねられハヤトは【無限収納】にしまった魔核を取り出し、三人に見せる。


「窪みに合いそうなのは見つけたけど……」 

「魔核か……とりあえず入れてみようぜ」

「うん」


 ハヤトは魔核を窪みに入れるとぴったりと収まる。すると、ガチャっと音がしゆっくり開く。中を覗くとヒカリゴケみたいなものが発光し程よい明るさの道になっている。


「警戒して進むぞ」


 ハヤトたちは慎重に進む。しばらく歩くと広い空間にでた。そこには何もなく行き止まりだ。


「宝箱無いんすか……」


 てっきり財宝があると思っていたセゾンは落ち込む。


「セゾンが悪い……」

「何で俺なんすか!」

「しゃあない、戻るぞ」


 ハヤトたちが引き返そうとその時、突然地面に魔法陣が浮かび上がる。


「罠か!」

「早く魔法陣から出るっす! いた!」


 見えない壁に強く額を当てセゾンはしゃがむ。ハヤトとリルは体当たりするがびくともしない。そして光は強くなる。


「みんな集まれ」


 身体を密着させ集まると更に光が強くなり、ハヤトたちは光に包まれた。


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