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真実

「ん……朝か……」


 目を覚ましたハヤトは両隣で寝ているリルとロイドを起こさないようにそっとベットから下りる。


『何処へ行く?』


 ドアを閉めるときにリルが話しかけてくる。


「リルおはよう。顔洗いくだけだよ」

『我も行くぞ』


 リルはハヤトに駆け寄り一緒に洗面所に向かう。


『我も頼む』

「わかった」


ハヤトは自分の顔を洗い終わった後リルは洗うよう要求した。


「おはようございます、ハヤトさん。リル」


 後ろからアンネが声を掛ける。


「おはようございます」

「わふ」


 アンネはしゃがみリルを一撫でする


「いつもより早いですね。寝れなかったんですか?」


 頭を掻きながらハヤトは言う。


「はは……そんなところです」

「ふふ」


 アンネと話しながらリルの顔を拭く。


「アンネさん、この時間って教会開いてますか?」

「どうでしょう?」

「そうですか……一応行ってみます」

「朝食までには戻ってくださいね」

「はい」


 アンネは台所に向かう。


「リルも行くか?」

『女神のところか?』

「うん」

『……行くとしよう』


 教会に着くと門は閉まっていた。


「やっぱり開いてないか……帰るか」

「わふ」


 リルは念話ではなく鳴いて返事をする。帰ろうとしたとき教会の扉が開く音がしてハヤトは首を向けた。


「ハヤトさん?」


 扉から出てきたのはミンシアだ。


「ミンシアさん!おはようございます」


 手を振りながらハヤトはミンシアを呼ぶ。


「どうしたんですかこんな朝早く神獣様とご一緒で?」

「実は今日王都行きの馬車に乗るので挨拶にと思って。本当は昨日したかったんですが……すいません急で……」

「そうですか……気を付けて行ってくださいね。ハヤトさんに女神のご加護がありますように……」


 ミンシアは手を合わせ膝を付き祈りをする。


「ありがとうございます」


 祈りが終わり立ち上がるミンシアにお礼を言うハヤト。


「ミンシアさん、女神像に祈りをしたいんですが入れますか?」

「本当は出来ないのですが、特別に許可しましょう」

「ありがとうございます」


 お礼を言ったあとミンシアと共に女神像の前まで向かう。リルは何故か静かだ。


「では、私はこれで」


 ミンシアは静かに部屋を出る。

 出ていくのを確認してハヤトは祈りを始めた。リルは目を瞑る。するといつもの感覚に襲われ目を開けると白一色の神域に訪れた。

 目の前には女神クレアが微笑みながら立っている。


「お久しぶりです、ハヤトさん」

「久しぶり、クレア。なかなか来れなくてごめん」

「本当ですよ」


 クレアは頬を膨らませぷいっと顔を逸らす。


「ごめんなさい」


 誠心誠意に謝るハヤト。


「……ふふ、もういいですよ。今日はどうしたんですか?」

「今日馬車に乗って王都に行くんだ。それでしばらく会えにいけないってことを伝えたくって」

「そうですか……」


 寂しそうな顔をするクレア。


「王都に着いたら教会に行くよ」

「約束ですよ」

「了解」


 ハヤトとクレアは笑いあった。


「旅にはフィンブルリルもご一緒ですよね?」

「一緒だけど気づいてたの?」

「はい。ハヤトさんがフィンブルリルと契約した時に懐かし力を感じたんです」


 ハヤトはリルと契約したあと一度もクレアに会いに来ていない。


「フィンブルリルは今どこにいますか?」

「一緒に祈りしていたから来ていると思ったんだけど……」


 ハヤトはきょろきょろと周りを見る


「ハヤトさんの中にいますね……出て来てください!フィンブルリル」


 そういうとハヤトの身体が光りだし、光がハヤトから離れ、本来の大きさの姿にリルが構成される。


『……久しぶりだの女神』

「三千年ぶりですね」


 クレアはリルに近づき優しく頭を抱きしめる。


「やっと目覚めたのですね、よかった……」

『うぬ』

「ハヤトさん、お話したいことがあります」

 

 クレアは語る。

 争いを止めない人間たちに愛想を尽かして神獣武器を女神に渡し眠りに就いたあと、人々はそれでも争いを止めなかった。女神は怒り一つだった世界を神獣達を核にして十の階層世界に別けた。この事実は時代が流れるにつれて人々は忘れていった。

 ハヤトに神獣武器を渡した本当の理由は長い眠りに就いた神獣達を目覚めさせるためだった。。


「ハヤトさんを利用してしまってごめんなさい」


 クレアは深く頭を下げ謝罪をする。


「クレア、顔を上げて」


 そう言われクレアは言う通りにする。


「あのさ、クレア。俺の安全のためにって渡したのも嘘なの?」

「違います!ハヤトさんを想って渡したのは嘘ではないです!」


 力ずよく言うクレア。


「じゃあ、ならこの件はもういいよ」


 ハヤトの一言に驚くクレアは尋ねる。


「怒ってないんですか?」

「怒ってはないかな。どちらかというと頼って欲しかったかな……」


 クレアは黙ってハヤトの言葉を聞く。


「まだ頼りないと思うけど……これでも俺、クレアの眷属だよ。俺を信じて頼ってほしい」

「ありがとう……ございます……ハヤトさん……」


 ハヤトの言葉で涙を流すクレア。


「リルもなにか言うことは?」


 黙っていたリルにハヤトはジト目で話しかける。


『う、うぬ。済まなかった』

「リルが素直に謝った。珍しい……はは」

『な!調子に乗りおって!』


 じゃれつくハヤトとリルの様子を見てクレアは微笑む。


「ハヤトさん」

「ん?」


 じゃれあうのを止めるハヤトとリル。


「改めてお願いします。神獣達を長い眠りから目覚めさせてあげてください」

「おう、任せろ!」


 胸を叩き力強くハヤト。そんな姿頼もしく見えクレアは満面の笑顔を見せる


「よろしくお願いします」

『我からもよろしく頼む』


 時間が来たようでハヤトとリルの身体が光りだす。


「しばらく先になるけどまた来るよ」

「待ってます」


 光が一段と強くなる。


「ハヤトさん、あとで【無限収納】をみておいてください」

「?わかった!」


 強くなった光はハヤトとリルが消えるのと同時に光も消える。

 

「お願いしましたよハヤトさん……」


 クレアは自分一人しかいない神域でハヤトとリルが消えた跡をみながら呟いた。



 


  


















 

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