色々貰いました。
「それなら大丈夫です! 私と眷属契約をすれば問題ないのです」
眷属契約――
神の眷属になる為の契約。契約を行えば前世の記憶を持った状態で、この世界のありとあらゆる知識と特別なスキルを肉体に刻み、再構築し転生できるとのことだ。
「メリットしかないと思うんだけど、デメリットとかあるの?」
「デメリットですか? うーん……特にないと思いますが、強いて言えば隼斗さんの位置情報が分かってしまうぐらいですね」
GPSか! 思わず心の中でツッコミをしてしまった。
「一応、聞くけど眷属契約を行わない場合はどうなるの?」
「行わない場合でも転生自体はできますよ。
ただ……赤ん坊から始り、前世の記憶とここで聞いた事、話した事全てを忘れます。
それと特別のスキルが一つしか与えられないのです」
「そうなんだ。
うーん、前世の記憶は別にいいとして……クレアのこと忘れるのは嫌だな……うん、決めた! 俺、クレアの事忘れたくないから眷属契約するよ」
「私の事を……理由を聞いてもいいですか?」
「言わないと、だめ?」
「はい、お願いします。」
「……ひ、一目惚れだったから! 忘れたくないだけ!」
言った瞬間全身が熱くなったのがわかった。
「……ふふふ、わかりました。
では、眷属契約を行います! 目を閉じてください」
言われたとおりに目を閉じた。クレアが近づいてくる。やがて俺の前で立ち止まり、俺の唇にクレアの唇が重なった。
俺は目を開けクレアをみたがクレアは動かない。どうすればいいのか分さんからなくなり、呆然としていた。
ほんの数秒の出来事なのに時間が止まったような気がした。クレアは唇を離し、元の位置に戻った。
俺のファーストキスはクレアに奪われてしまった。
「……」
「ありがとうございます、隼斗さん。
さっきの言葉、とても嬉しいです。
その……嫌でしたでしょうか?」
「えっ! 全然いやまったく嫌じゃなく! 少し、少しだけ驚いただけだから! うん」
よくわからない言い訳をしてしまった。平常心を取り戻すべく大きく深呼吸した。なんとか落ち着きを取り戻し、クレアにスキルの事を尋ねた
「隼斗さんには、【自動翻訳】【世界地図】【無限収納】【武器の達人】【完全耐性】の力を与えました」
【自動翻訳】
あらゆる言葉や文字が自動で翻訳してくれる。常時発動型。
【世界地図】
各階層ごとの地図を映し出す。半径三百メートル以内の敵や味方等を色により区別される。任意発動型。
【無限収納】
亜空間を作り出し、収納する。生物は収納不可。容量無限。任意発動型。
【武器の達人】
あらゆる全ての武器の使い方、動かし方などを瞬時に理解し、再現できる。身体能力が上がる。。常時発動型。
【完全耐性】
あらゆる耐性を持ち無効化する。常時発動型。
任意発動型はスキルを唱えれば使えるものだ。常時発動型は意識しなくても発動し続けるそうだ。
「こんなにスキル貰っていいの?」
「はい、大丈夫です。
これぐらいあれば隼斗さんを神域から安心して見守れますし、隼斗さんも危険を少なく旅が出来ます」
「そうなんだ……ありがとう。」
「あと武器もお渡ししますね」
そう言った後、何もない空間から次々と武器を取り出した。俺が渡されたのは全部で九個の武器だ。剣・刀・戦槍・大鎌・大槌・手甲・弓・盾・杖……多くない? しかもなんか神々しんだけど! 使うの怖いんだが!
「結構な種類があるんだけど、【武器の達人】があるから使える感じなの?」
「はい! これでより一層安心できます。
あとは……食材や生活品をですかね。
必要なものを【無限収納】に入れときます。
スキルを使ってみてください」
俺は【無限収納】と唱え、すると目の前に黒い穴が開いた。少し怖かったが勇気を出して手を突っ込んだ。すると収納されているアイテムの一覧がスクリーン上で映し出されていた。
「……うん、確認した、これぐらいあれば大丈夫だと思うよ」
そういいながら貰った武器を【無限収納】仕舞った。
「わかりました。
まだ隼斗さんとはお話していたいのですが、そろそろ時間のようです」
すると温かい光が俺の身体を包み始めた
「転生後には隼斗さんの肉体は再構築され、その時に世界の知識も刻まれるので安心してください」
「わかった! そうだ、クレアに聞きたいことがあるんだ」
「なんでしょうか?」
「転生したらもうクレアに会えないのか?」
「私が地上に降りない限り会えません。
ただ、教会で祈りをしてくれるなら会話だけならできます」
「わかった! 教会いったら必ずお祈りすよ! まってて」
「はい、待ってます! お気を付けを!」
そのセリフを最後に光はより激しくなり俺を飲み込んだ