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久々の依頼

 グラムさんから渡されたのはこの階層世界の統治者【氷帝】からの手紙だった。どうして俺に?と思っているとグラムさんが開けるよう促された。内容は劫火竜を討伐したことにより報酬と勲章を授けるとことで王都まで来るようにとのこと。


「グラムさん王都までどのくらいかかりますか?」

「王都までは馬車で五日ほどだな。二日後の定期便に乗るとよいぞ」

「二日後……わかりました」

「よろしく頼む」


 そう言いグラムさんは帰っていった。

 その日の夕飯はアンネさん特製のクリームシチューだった。ロイドの昇格祝いにだそうだ。具沢山で濃厚なシチューはシチューは美味しかった。だけどロイドは静かに食べている。いつも騒がしいほど話しかけてくるロイドが静かに食べているのをみてアンネさんと二人で首を傾けた。


「ロイド、美味しくなかった?」

「ううん、美味しいよ。ただ……考え事してただけだよ。ごちそうさまでした」


 ロイドは珍しくおかわりをせずに食器を下げ、自室に戻っていった。俺は気になって早々に夕食をたべロイドの部屋を訪ねた。扉をノックしても返事がない。扉を少し開け中を確認したがロイドはもう寝ているようだ。寝息も立てている。居間に戻るとアンネさんに聞かれた。


「どうでした?」

「もう寝てるようで、聞けませんでした」

「そう……」

「すいません、役に立てず……」

「気にしないで。明日早いんでしょ? ハヤトさんも早く寝てください」

「わかりました。おやすみなさい」


 自室に戻りロイドの事を考えていたらいつの間にか寝ていた。

 

 翌日、特に心配することもなくロイドはいつも通りに戻っていた。何考えてたのか聞いても「秘密です」って言われ教えてくれない。俺は諦めロイドを依頼に誘った。


「ロイド今日一緒に依頼受けないか?」

「うん!」

「よし、決まりだ」


 朝食を食べ終え冒険者ギルドに向かった。朝だからか依頼を受ける冒険者が多い。ロイドのランクが上がったことでランクCの依頼まで受けるれるようになった。依頼ボードに向かうと後ろから声を掛けられた。シスターのミンシアさんだ。


「ハヤトさん、ロイド君おはようございます」

「おはようございます、ミンシアさん。依頼ですか?」

「ええ。教会の薬草が足りなくなったので。お二人はお決めになられたのですか?」

「まだ決めてないです。ロイドがランクCに上がったのでなにか……」

「まぁ、ロイド君。ランクCに昇格したんですね。おめでとうございます」

「へへ、ありがとうございます」


 ロイドは照れて鼻を掻いているが嬉しそうだ。俺はミンシアさんにおすすめな依頼書が無いか尋ねた。


「そうですね……これなんてどうですか?」


 ミンシアさんが選んでくれたのは氷柱猪(アイシクルボア)の討伐依頼書だ。


 氷柱猪(アイシクルボア)

 氷の階層世界で独自に進化した猪の魔物。凍った二本の大きい牙のような氷柱と分厚い毛皮を持っているのが特徴。凍った二本の大きい牙のような氷柱を使った強烈な突進攻撃をしてくるが一直線なため避けやすい。危険度Cの魔物。

 

 依頼書をロイドに渡し少し考えているようだ。


「ハヤトさん、これ受けましょう!」

「わかった」

「私も同行してもよろしいですか?」


 ミンシアさんが同行してくれるそうだ。ミンシアさんのランクは俺と同じランクBだ。見ているだけになるけどいいのかな?


「見ているだけになりますよ?」

「ええ。構いません。それに道中で薬草も取れますので」

「そうですか。ロイドもいいか?」

「うん。よろしくお願いします!」


 ということで俺、ロイド、ミンシアさんの三人で依頼を受けた。

 門を出て二時間ほど歩いて森の中で激しくぶつかる音が響く。【世界地図】で確認しながら進んでいった。しばらく歩くと【世界地図】に複数の反応。色は青。敵対してない魔物を示す。


「どうやら縄張り争いをしているようですね」

「ハヤトさんどうしますか?」


 一体になるのを待つか。二体討伐するか。こちらは三人……どうするか。


「俺が一体を抑えるので残り一体をロイドとミンシアさんにお願いします」

「わかりましたわ」

「わかった」


 作戦も決まり【無限収納】から氷獄の手甲を取り出す。一気に駆け寄り氷柱猪の横っ腹に重たい一撃を与えぶっ飛ばした。丁度、木にあたり気絶した。

 もう一体は何が起こったのか解らず動きが止まった。その隙にロイドは矢を放ち片目を潰す。ミンシアさんは動かない。ロイドに任せるのかな?

 片目を潰された氷柱猪は暴れまわって岩や木々にぶつかっている。ぶっ飛ばした氷柱猪は意識を取り戻し怒りに満ちている目で俺を睨み突進してきた。

 俺は身体を半回転させ突進を躱し、すれ違いざまに横っ腹にもう一度重たい一撃を入れ再度吹き飛び動かなくなった。【世界地図】では白色。死体を表す。もう一体も白色になった。近づくと額に矢が刺さっていた。

 

「薄い部分をピンポイとで射貫くとはすごいな」

「ミンシアさんに弱点を教えてもらって」

「いえいえ、ロイド君の腕がよかったからですよ」


 俺が寝ている間にロイドは弓の腕を相当上げたようだ。ロイドの頭を撫で褒めた。


「強くなったな」

「うん! 強くなってハヤトさんの技教えてもらうんだ!」

「覚えてたんだ……わかった。ロイドがもう少し強くなったら教えるよ」

「やった! 約束だよ!」


 ロイドと約束を交わし氷柱猪を回収していると突然狼のような遠吠えが聞こえたのと同時に【世界地図】に反応が出た。色はなくunknownの表記だけだ。


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